スローなストマンで光るエリック・クラプトンの円熟味 スローなストマンで光るエリック・クラプトンの円熟味

スローなストマンで光る
エリック・クラプトンの円熟味

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はエリック・クラプトンが『Slowhand』発売に向けた、1977年のライブで披露したバージョンをお届け。同作の35周年記念盤に収録されたほか、1996年のオムニバス『Crossroads 2 (live in the seventies)』でもその音が聴けますね!

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


成熟したECが味わえる
オトナの「ストーミー・マンデイ」

1977年、『Slowhand』発売に向けたツアー中、4月27日のロンドンはハマースミス・オデオン公演での録音が公式に残されている。「ファーザー・アップ・ザ・ロード」とともにステージ終盤に向けて演奏されていたようだ。

B.B.キング風なイントロから始まり、テンポは相当にスロー。“ストマン進行”ではない普通の3コード・ブルースだが、7小節目の3、4拍目に5度のオーギュメント・コードを入れているのが、レイ・チャールズの「ドラウニン・イン・マイ・オウン・ティアーズ」にも似て、歌い口もどこかレイを意識した風。かつ、ギターにバディ・ガイ・リックが盛り込まれているのが面白い。ジョン・メイオールのバックでガンガン弾いていた若い頃(『Looking Back』)とは、また違う成熟した熱さだ。

ギター・ソロのあと、最後の“ロード・ハヴ・マーシー”の歌は、『Slowhand』の「レイ・ダウン・サリー」や「ザ・コア」の共作者(後者はデュオ相手)で、バック・コーラスでツアーに参加していた女性シンガー、マーシー・レヴィが熱唱。エリックのギターがそれに応えるという珍しい展開に。演奏は13分に及ぶし、凄いスローなのにダレないのがさすがだ。