D.W.ニコルズ『CRAFT WORKS 2』 D.W.ニコルズ『CRAFT WORKS 2』

D.W.ニコルズ
『CRAFT WORKS 2』

文=編集部

楽しく、温かいアコギ・アンサンブル!

D.W.ニコルズが2020年9月にリリースした『CRAFT WORKS』は、彼らの代表曲を生楽器のみでリアレンジ、録音やミックスも自ら行なったセルフ・レコーディング作品だ。本作はその第二弾。タイトルどおり手作り感のある温かな音像で、聴き手の生活を優しく彩ってくれる。

鈴木のギターも聴きどころ満載で、ポップな歌のメロディとつかず離れず、かと言って裏方すぎない絶妙なポジショニングがお見事。

ブルーグラス感のある弦楽器アンサンブルの「休日前夜」では、リゾネーターのスライドを隠し味的に加えたり、アコギのバッキングが2番でベース・ランを交えたストロークに変わったりと、歌の支えに徹しながらも飽きさせない工夫が巧みだ。マンドリン風の刻みをウクレレで表現しているのも、全体のブルーグラス的な雰囲気の演出にひと役買っていると思う。

また、「春うらら」と「41」ではオープンGでのスライド・ソロが入るが、前者は大きな音価でバックのグルーヴィさとのコントラストを演出し、後者ではゆったりとした流れを汲んだ美しいメロディを聴かせてくれる。良い意味で“ギター・ソロだ!”と身構えさせないその自然さにも、“クラフト・ワーク”的な温かな手触りを感じるポイントだ。

対して「あの街この街」では、“ザ・ギター・ソロ”な入りからチョーキングも交えた起承転結のある流れで、ギタリストのエゴイスティックな部分もしっかりとアピール。『ニューレコード』(2011年)収録版だと歪んだサウンドでドライブ感のあるソロだったが、クロマチック・アプローチなども聴ける円熟味のある雰囲気に仕上げているのは本作ならではだろう。

このようにそれぞれオリジナルと聴き比べてみるのも面白いかもしれない。

作品データ

『CRAFT WORKS 2』
D.W. ニコルズ

haleiwa Records/HLIW-031/2021年2月2日リリース

―Track List―

01. 休日前夜
02. 春うらら
03. あの街この街
04. アドベンチャー
05. あくび
06. うえい
07. 41
08. カフェオレさん

―Guitarists―

鈴木健太、わたなべだいすけ