大人の色気ムンムンのラティモアによるカバー 大人の色気ムンムンのラティモアによるカバー

大人の色気ムンムンのラティモアによるカバー

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はフリー・ソウルでも語られることの多いシンガー=ラティモアの逸品をご紹介! ジョーイ・ムルシアのいぶし銀なプレイが聴ける73年作『Latimore』に収録の「ストマン」は、残念ながらギター・レスだが、ピアノのアレンジにギター的アプローチがふんだんに隠されている。ソウル/ジャズ・アレンジのアイディアとしてぜひチェックを!

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


躍進のきっかけとなった「ストーミー・マンデイ」

毎週月曜日、このコーナーで、天下のブルース・スタンダード「ストーミー・マンデイ・ブルース」のさまざまなアーティストによるさまざまなバージョンをご紹介しているわけだが、今回のラティモア、これまでに取り上げたアーティストの中で、一番知られてないかも。

日本ではディープ・ソウル・ファンに一定の人気、知名度はあるはずだが、“ギタマガWEB読者層には、一番ピンと来ない名前ではないかな?”、というのが正直なところ。

本名はベンジャミン・ラティモア。39年テネシー州出身だが、マイアミを拠点にしてきたシンガー/ピアニスト/ソングライター。60年代半ばから活動していたが、75年にブルージィ・バラード「レッツ・ストレイトゥン・アウト」がソウル・チャート1位となる。

80~90年代はマラコに録音。ブルージィな味わいを持った渋いバリトン・ヴォイスで、南部のおば様方のセックス・シンボル的シンガーに。「ストーミー・マンデイ」は、74年発表。ルー・ロウルズ・スタイルのジャジィな4ビートで、自らピアノを弾きながら、粋に迫った。これがソウル・チャート27位、ポップでも102位という初ヒットとなり、その後の進路を切り開いたのだ。