長いキャリアで多くの「ストマン」を残してきたジミー・ウィザースプーン。 長いキャリアで多くの「ストマン」を残してきたジミー・ウィザースプーン。

長いキャリアで多くの「ストマン」を残してきたジミー・ウィザースプーン。

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はジミー・ウィザースプーンによるカバーを紹介! 「ストマン」スタンダードのレパートリーとしていた彼は、長いキャリアの中で数多くのバージョンを残した。Apple Musicにはギター・レスの『Rockin’ L.A.』収録版だけしかアップされていないので、ほかのバージョンは自力で盤を探す or YouTubeで検索などしてみてほしい。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


研鑽を積んだ末に辿り着いた
「ストーミー・マンデイ」の極み

「エイント・ノーバディズ・ビジネス」で知られるブルース・シャウター~ジャズ・ブルース・シンガーのジミー・ウィザースプーン。1940年後半にデビューし、97年に亡くなるまで、50年代末の数年間を除き、コンスタントに活動し、膨大な量のレコードを残している。

彼はスタンダード・ブルースのひとつとして、特に後年のライブ盤でよく「ストマン」を取り上げていた。

ロベン・フォードとのライブでは3バージョン残している。生前最後のアルバムとなった『Live At The Mint』もフォードとのライブで、同曲を収録。ウィザースプーン本人は、普通にスタンダードとして歌っているし、さすがにフォードも“Tボーンだ、ウェイン・ベネットだ”ではない、独自の世界にいっている。

ほかにギター・レス・バンド、ピアノ・トリオの演奏もいくつかあるし、デューク・ロビラード・バンドとの共演ライブも死後に発売されたが、ウィザースプーンは声が出ずに絶不調。ロビラードのTボーンに成り切りぶりだけが目立った。

個人的にベストとしたいのは、おそらく60年録音で、ケントからシングルにもなった、『Sings The Blues』(Crown/CDがAceから)収録版。ウィザースプーンの歌も新鮮、スモール・コンボに乗ったロイ・ゲインズと思われるテキサス・スタイルのギター・サポートが光る。