フェントン・ロビンソンによるグルーヴィ&ゴージャスなストマン フェントン・ロビンソンによるグルーヴィ&ゴージャスなストマン

フェントン・ロビンソンによる
グルーヴィ&ゴージャスなストマン

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はファンキー&メロウな名ギタリスト=フェントン・ロビンソンによるカバーをお届け! フェントンはレパートリーとして何度もストマンを演奏しているので、いろんなバージョンを探して聴いてみて下さい!

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


“黒人っぽさ”がひとつの売りとなった60年代

ボズ・スキャッグスがカバーした「サムバディ・ローン・ミー・ア・ダイム」のオリジネイター、シカゴのモダン・ブルースマン、フェントン・ロビンソン。ロックつながりでいえば、スティーヴィー・レイ・ヴォーンがカヴァーした「テキサス・フラッド」のオリジナル、ラリー・デイヴィスの録音でギターを弾いていたのがフェントンだった。そのブルースのまろやかな味わいから、日本では特に“メロウ・ブルース・ジニアス”と呼ばれていたもの。

そのフェントンがナッシュヴィルのソウル・レーベル、セヴンティ7に録音した初アルバム『Monday Morning Blues & Boogie』に同曲を収録。同盤は、レーベル・サイドがフェントンの良さを理解しておらず、ファズ・ギターも入った迷盤に。

この曲も、特に捻りのない8ビート・アレンジで、正直少々残念な出来。ただし、『Out Of Chicago』(JSP)で聴ける、89年にイギリスで残したライブ録音では、ボビー・ブランド版を下敷きにしつつ、普通の3コードのスロー・ブルースとして演奏。ウェイン・ベネット系から発展させ、独自のフレージングをまぶしたギターも堪能できる。

別件だが、アリゲイター盤の『Somebody Loan Me A Dime』(74年)収録の「ゴーイング・トゥ・シカゴ」は、〈ストマン進行〉を使ったスロー・ブルース傑作で、一聴の価値あり。