ザ・キャンディメンをご存知?未来のアトランタ・リズム・セクションによる「ストマン」 ザ・キャンディメンをご存知?未来のアトランタ・リズム・セクションによる「ストマン」

ザ・キャンディメンをご存知?
未来のアトランタ・リズム・セクションによる「ストマン」

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。今週は職人集団・アトランタ・リズム・セクションの母体となったアメリカン・ロックバンド=ザ・キャンディメンによる演奏をお届け! ギタリストは、ロイ・オービソンのバックでも活躍したジョン・レイニー・アドキンス

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈


職人集団の卵たちによる初々しいカバー

複数形の、ザ・キャンディメン。67年に「ジョージア・パインズ」、68年に「ウェイズ」のチャート・ヒットを持つアメリカン・バンドで、『The Candymen』(1967年)、『The Candymen Bring You Candy Power』(1968年)の2枚のLPを残す。と知ったかぶりしているが、実は名前を聞くのも、音を聴くのも今回が初めて(汗)。

「ストーミー・マンデイ」は最初のLPであるセルフ・タイトル作に収録。同盤ではドン・コヴェイの「シー・ソウ」などもカバーしているが、全体にサイケデリック・ロック/ポップ、フォーク・ロック色が強く、曲によっては当時のビートルズの影響もモロ受け、という感じ。正直、「ストマン」カバーは、ちょっと唐突な印象。

肝心の演奏はエレピが3連を刻むスロー・ブルースで、“ストマン進行”使用。E♭オーギュメントで始まるイントロ、ギターのコードの動き、裏でアクセントを入れる感じなどは、オールマン・ブラザーズに先んじるボビー・ブランド版のロック化(?)。ファズがかかったハードなギター・ソロが展開され、むしろブリティッシュ・インヴェイジョンの影響といった雰囲気も強い。

彼らは2枚のLPを残し、解散……と思いきや、アトランタ・リズム・セクションへと姿を変えて、70年代にはミリオン・セラーも生むのだった。人に、いやバンドに歴史あり。