5つのトピックで知る、クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム。 5つのトピックで知る、クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム。

5つのトピックで知る、クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム。

まずはクリストーン・“キングフィッシュ”・イングラムの基本情報をおさらいしておこう。ブルース・シーンを牽引する存在となった若き巨人はどのようなギタリストなのか、影響を受けたギタリストのフェイバリット・アルバムもご紹介! 初心者はまずこちらから!

文=福崎敬太 Photo by Laura Carbone

1.
クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラムの基本情報

1999年1月19日生まれ。数多くのブルース・レジェンドゆかりの地、米ミシシッピ州クラークスデイルが出身地だ。5歳の頃に父が観せてくれたマディ・ウォーターズのドキュメンタリー映像をきっかけにブルースにのめり込む。すぐにドラムを始め、その後ベースへ転向し、11歳でギターを始めた。その翌年から地元にある“デルタ・ブルース・ミュージアム”にてレッスンを受け始め、ビル・ハウル-N-マッド・ペリーらに師事。“キングフィッシュ”という名前もそこで授かった。その後、後述するホワイトハウスでの演奏などで一気に注目集めた彼は、さまざまなアーティストと共演しながら成長。2019年に名門アリゲーター・レコードから1st作『Kingfish』でデビューを果たした。

2.
レジェンド・ミュージシャンたちともコラボレーション

ブルース・シーンで一躍スターとなった若きキングフィッシュ。2017年には自身も影響を受けたと語るエリック・ゲイルズと、『Middle Of The Road』収録の「Help Yourself」で共演を果たす。2020年にはブーツィー・コリンズの「Creepin’」(『The Power Of The One』収録)や「Stars」に参加したほか、同年のイベント“Keeping The Blues Alive 2020”でジョー・ボナマッサとのセッションも実現した。そして忘れてはならないのが、レコーディング費用を出資してくれたりと様々なサポートをしてくれたというリヴィング・レジェンド=バディ・ガイとの関係だ。バディとはライブでの共演はもちろん1st作収録の「Fresh Out」で共にギターを鳴らした。

3.
15歳の時にホワイト・ハウスでデビュー!?

2014年、キングフィッシュが当時受けていたデルタ・ブルース・ミュージアム(DBM)の教育プログラムが、権威ある“ナショナル・アーツ・アンド・ヒューマニティーズ・ユース・プログラム・アワード”を受賞した。この年の主催は当時の大統領夫人であるミシェル・オバマ。授賞式はホワイト・ハウスで行なわれ、当時15歳だったキングフィッシュはDBMの代表メンバーとして演奏を披露した。上の動画はその授賞式の模様で、8分15秒頃からパフォーマンスが始まる。楽曲は「Sweet Home Chicago」で、立派なボーカルと、まだ発展途上だがしっかりとしたギター・ソロを聴かせている。

4.
クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラムに
影響を与えたギタリストたち。

『I Wanna Get Funky』
アルバート・キング

“スローだけどファンキーな「’Til My Back Ain’t Got No Bone」ははずせないね”と、影響を受けたギタリストで真っ先に名前があがったのがアルバート・キング。スタックス期のファンキーなプレイが聴ける『I Wanna Get Funky』(1974年)がお気に入り。

『Layin’ Down the Blues』
エリック・ゲイルズ

共演も果たしたエリック・ゲイルズは、ロックに弾きまくる際の雰囲気にかなり近いものを感じる。2009年のブルース・ビューロー・レーベル時代のベストがフェイバリット。“ジミ・ヘンドリックスとともに、ブルース・ロックの道を示してくれた1人”とのことだ。

『Purple Rain』
プリンス

キングフィッシュによる「Purple Rain」のカバーを聴いてぶっ飛んだ人も多いのでは? もちろん本作の影響も強く“ソロでの音使いはとてもメロディックだし、「Dreamer」でのプレイはブルース・ロック感が満載だよね!”と語るとおり、プリンスをギタリストとしても意識している。

『Live at the Regal』
B.B. キング

不朽不滅のブルース名盤『Live at the Regal』もフェイバリットにあがった。ギターが小さく見えるほどの巨躯と圧倒的なボーカルに、B.B.の影を重ねた人も少なくないだろう。ソリッドなピッキング・ニュアンスはアルバート・キング、メジャー・スケールへの意識はB.B.、という感じか?

5.
新世代のブルースの巨人を生んだ地、クラークスデイル

キングフィッシュが生まれたミシシッピ州クラークスデイルは、多くのブルース・ファンにとって特別な場所かと思う。ジョン・リー・フッカーを生み、マディ・ウォーターズが暮らした街。さらに、前述のデルタ・ブルース・ミュージアムもあり、文化的にもブルースが生き続けている地である。そして、ロバート・ジョンソンの“クロスロード伝説”の舞台とされている十字路がある場所……そんな聖地で生まれ、現代の音楽を聴きながらもブルースへ傾倒し、若くして圧倒的なテクニックを持つ彼に特別な期待を抱いてしまう人は多いはず。

作品データ

『662』
クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム

Pヴァイン/PCD-94053/2021年7月23日リリース

―Track List―

01. 662
02. シー・コールズ・ミー・キングフィッシュ
03. ロング・ディスタンス・ウーマン
04. アナザー・ライフ・ゴーズ・バイ
05. ノット・ゴナ・ライ
06. トゥー・ヤング・トゥ・リメンバー
07. ユアー・オーレディ・ゴーン
08. マイ・バッド
09. ザッツ・オール・イット・テイクス
10. アイ・ゴット・トゥ・シー・ユー
11. ユア・タイム・イズ・ゴナ・カム
12. ザッツ・ワット・ユー・ドゥ
13. サムシング・イン・ザ・ダート
14. ロック・アンド・ロール
15. エンプティ・プロミセズ

―Guitarist―

クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム