『Imaginary』 MIYAVI
【参加クレジット】
MIYAVI (vo,g)【ゲスト】Kimbra/ Kang Daniel/Troi Irons(vo)、他
【曲目】
①New Gravity
②Imaginary(feat.Kimbra)
③Warrior
④Smells Like Teen Spirit
⑤Living In Fire
⑥Hush Hush(feat.Kang Daniel)
⑦Youth Of the Nation(feat.Troi Irons)
⑧I Swear
⑨Are You With Me?
⑩Dance With Me
⑪Super Hero
MIYAVIの最新の美意識で染め上げられた個性的かつ魅力的な意欲作
MIYAVIの13thアルバムは、彼の新たな魅力が詰め込まれた一作となった。
キャッチーなメロディと表現力に富んだボーカル、デジタル感覚などを核にしたうえでアッパーな①や爽やかな②、肉感的なギター/ベースを配した⑤、ヒップホップが香る⑥、ウォームなバラードの⑨等々、表情の豊かさと完成度の高さを見せているのは実に見事。
MIYAVIのコンポーザー/アレンジャーとしてのスキルが遺憾なく発揮されて、“聴きやすいのに深い”という良質な一作に仕上がっている。
ギターも充実していて、デジタリックな質感のドライブ・トーンやサスティナーとアームを使ってシンセサイザーのようなニュアンスを出しているリード・トーン、シャープなカッティング、細やかな音色の使い分けなど、注目ポイントは実に多い。
キャッチーな楽曲と個性的なギターを融合させて唯一無二の魅力を創出した手腕が光っている。
(村上孝之)
『好きなんだよ』 クレイジーケンバンド
【参加クレジット】
横山剣(vo,k,cho)、菅原愛子/スモーキー・テツニ/Ayesha(vo,cho)、新宮虎児(g,k)、小野瀬雅生(g,k,cho)、洞口信也(b,cho)、廣石恵一(d,perc)、高橋利光(k)、中西圭一(sax,etc)、河合わかば(tb,etc)、澤野博敬(tp,etc)
【曲目】
①モンロー・ウォーク
②ルビーの指環
③プラスティック・ラブ
④DOWN TOWN
⑤冬のリヴィエラ
⑥eye catch* Kokoro kara kimiwo
⑦スカイレストラン
⑧やさしさに包まれたなら
⑨接吻-kiss-
⑩時間よ止まれ
⑪夏のクラクション
⑫eye catch*Aishiteruyo
⑬最後の雨
⑭雨に泣いて
⑮横須賀ストーリー
⑯よこはま・たそがれ
⑰空港
⑱難破船
⑲eye catch*Motto yokumisete
⑳アフリカ象とインド象
㉑あまい囁き
カッコいいおじさんたちが純粋に好きな曲を演奏した快作
初となるカバー作。告知がされてから心待ちにしていたが、まさに期待以上。 最高に楽しめる作品である。
まずは、選曲。メンバーが若い時に聴いてきたであろう、70~80年代のシティ・ポップ/歌謡曲のゴールデン・マスターピースたちばかり! 昨今のリバイバルの追い風もあって、老若問わず刺さるはずだ。
全体のアレンジは比較的原曲に忠実だが、なんら物足りなさを感じさせない見事な歌唱と演奏。まさにタイトルどおり、楽曲への深い愛が滲み出ている。
そして小野瀬のギターだが、まるで超一流セッション・マンのごとく自由自在。いつもよりも楽しんでるのでは? と思うほどの活躍ぶりで、あちこちで聴けるグルーヴィなカッティングを始め、⑪の香ばしいツイン・リード、③④のメロウに歌うソロなど、いつも以上に色っぽい。
カッコいいおじさんたちが本当に好きな曲をガチで演奏した、いやらしくてカッコいい1作だ!
(山本諒)
『Fret to Fret』 Char
【参加クレジット】
Char(vo,g)、ロバート・ブリル(d)、佐藤準(k)、他
【曲目】
①Stylist
②You
③Creepin’
④Infant Elefant
⑤Walking On Air
⑥Gacha Gacha
⑦Rushing’ kiz
⑧Change
⑨Fret To Fret
⑩Mr. Liar
⑪Moving Again
デビュー45周年を飾る注目の新作は自身の表現を追求したスタイル
それほどご無沙汰だった気はしないのだが、オリジナル・アルバムとしては16年ぶり。
内容は70年代にポニーキャニオンから発表したデビュー・アルバムからの3枚に続く4枚目にあたるようでもあり、ポリドール~ユニバーサル時代(98年〜07年)のソロ延長上にあるようでもある。
もちろんBAHOのユーモアも、サイケデリックスのソリッドなカッコよさも含む、要するにチャーのソロ活動における集大成という感触だ。
ロックでもソウルでもJ-POPでもない、約50年かけて培ってきた結果としてのオリジナル・サウンド。いつかやりたかったというスティーヴィー・ワンダーのカバー曲も含む、今Char自身が聴きたい音楽がこれなのだろう。
ロックのリフとファンキーなカッティングのクロスオーバー感覚、いつものブルージィな音色とCharっぽいフレージング、今だからこそ楽しめる音楽がここにはある。
(近藤正義)
『ガッタ・ハヴ・ザ・ランブル』 ブライアン・セッツァー
【参加クレジット】
ブライアン・セッツァー(vo,g,etc)、デヴィッド・ロー・ロリック(b)、ヴィクター・インドリッゾ(d,perc)、他
【曲目】
①チェッカード・フラッグ
②スマッシュ・アップ・オン・ハイウェイ・ワン
③スタック・マイ・マネー
④ザ・ロング・サイド・オブ・ザ・トラックス
⑤ドリップ・ドロップ
⑥ザ・キャット・ウィズ・9・ワイヴズ
⑦ターン・ユー・オン、ターン・ミー・オン
⑧ロカビリー・ライオット
⑨オフ・ユアー・ロッカー
⑩ワン・バッド・ハビット
⑪ロカビリー・バンジョー
+日本盤ボーナス・トラック
唯一無二の求道者が2021年に響かせるネオ・ロカビリー“最新型”の熱量と豊かさ
前作から約7年ぶりとなるソロ名義のスタジオ作品は、不屈の情熱と衝動が高純度で凝縮されたネオ・ロカビリーの傑作アルバム。
感情の躍動がそのまま音になったようなフルアコの響きが、ワイルドかつ骨太な歌声とせめぎ合いながら、クラシカルなロックンロール越しに痛快なまでの熱量を描き出していく今作。
そんな中でも、オリエンタル・スケールを駆使したリフが楽曲をミステリアスに彩る②、後半のソロにモーダル・ジャズのクールなアプローチをのぞかせる⑥、メインフレーズに全音音階のトリップ感をフィーチャーした⑩など、音楽的な遊び心と意匠が楽曲の隅々にまで盛り込まれている。
デビューから40年以上にわたってロカビリーを生き様として奏で続ける求道者=ブライアン・セッツァーが、“最新型”のサウンドで自らの可能性を鮮やかに更新してみせた、新たな金字塔と呼ぶべき名盤。
(高橋智樹)