“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はチャック・ブラウン&ザ・ソウルサーチャーズ! 懐かしのゴー・ゴー! これまでになくファンキーで、ちょっと洒落た雰囲気のストマンをご堪能あれ!
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
ライブの十八番は「ストマン」!
80年代後半から90年代にかけて、一瞬流行ったワシントンD.C.のGo-Goミュージック。シンコペーションを効かせた跳ねるビートで盛り上がるファンキーなダンス・ミュージック。パーカッション(重要)とホーンも含む大人数バンドで、ライブではそのグルーヴを延々と押し通して、休むことなく色々な曲をメドレー状に演奏していく、果てなきグルーヴ・ミュージックだ。ライブ盤LPでは片面一つながりで、特定の曲が聴きたい時は、“だいたいこの辺か?”と針を落とすしかなかった。
打ち込みが全盛になりつつある時期、対極的に肉体性を打ち出した音楽だったが、その跳ねる感覚は、90年代のニュー・ジャック・スウィングなどにも多大な影響を与えた。
そのGo-Goのゴッドファーザーと呼ばれたのが、チャック・ブラウン(1936~2012)。60年代からギタリストとして活動し、70年代には自身のバンド、ソウル・サーチャーズを結成。79年の「バスティン・ルース」がR&Bチャート1位に。その頃に、Go-Goの基本スタイルが出来たと思われる。
ライブではデューク・エリントンなどのスタンダードなジャズから最新ヒットなどまでこなすが、世代的にブルースも血肉化されており、「ストマン」は十八番だった。『Go Go Swing Live』(1986年)収録版は、渋い歌とジャジィ&ブルージィ・ギターがGo-Goビートに乗り、「ストマン」史上、最もファンキーな仕上がりに。ストマン進行ではないが、9小節目に6度にいくのが洒落ている。「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース」をさらっとメドレーにしているのもニクい。