「San Francisco Bay Blues」と、エリック・クラプトンとジェシー・フラー 「San Francisco Bay Blues」と、エリック・クラプトンとジェシー・フラー

「San Francisco Bay Blues」と、
エリック・クラプトンとジェシー・フラー

エリック・クラプトンの『Unplugged』という世紀のアコギ名盤のリリース30周年を記念し、作中ブルース・カバー曲をその元となったバージョンとともに紹介していく。今回は1人バンド=ジェシー・フラーによる明るく陽気な「San Francisco Bay Blues」を! クラプトンもバンド全体でハッピーなアレンジを聴かせてくれます!

文=青山陽一

1人バンドで聴かせるジェシー・フラーのオリジナル

フィービー・スノウが独自のアレンジでカバーし、特に日本では彼女のデビュー・アルバムの邦題になったことでよく知られているのではないかと思うが、オリジナルはワンマン・バンド・スタイルで個性を発揮したジェシー・フラーの1950年代半ばの作品。

50〜60年代のフォーク・シーンで人気を集め、ランブリン・ジャック・エリオットやピーター・ポール&マリーなど様々なシンガーにカバーされた。ジェシーは12弦ギターをかき鳴らし、右足で自身が考案した“フォトデラ”と呼ばれるフット・ベース、左足でハイハット、口でハーモニカやカズーを操りながら歌うという驚異的なパフォーマンスで、賑やかなジャグ・バンド風の演奏をくり広げていた。

12弦&カズーの起用に表出するリスペクト

エリックの収録の少し前にはポール・マッカートニーも同企画でカバーしていたが、この世代にとっては少年時代に親しんだポピュラーなアメリカの歌だったのだろう。ジェシー同様12弦のマーティンD12-20をかき鳴らしてリラックスした歌を聴かせるエリック。なんとハーモニカ・ホルダーにつけたカズーを間奏で吹きまくるあたりもオリジナルへのリスペクトだろうか。

さらにカズーは、ウォッシュボードを首からかけたスティーヴ・フェローニ、終盤ではネイザン・イーストまでが口にくわえてブーブーと盛り上げている。ちなみにアンディ・フェアウェザー・ロウはここで吹くまでハーモニカなどはほとんど未経験。本番前夜にエリックから突如無茶ぶりされて仕方なくやってみたのだそうだ。

作品データ

『Unplugged』
エリック・クラプトン

リプリーズ/1992年8月18日リリース

―Track List―

01. 「Signe」
02. 「Before You Accuse Me」
03. 「Hey Hey」
04. 「Tears in Heaven」
05. 「Lonely Stranger」
06. 「Nobody Knows You When You’re Down and Out」
07. 「Layla」
08. 「Running on Faith」
09. 「Walkin’ Blues」
10. 「Alberta」
11. 「San Francisco Bay Blues」
12. 「Malted Milk」
13. 「Old Love」
14. 「Rollin’ and Tumblin’」

―Guitarists―

エリック・クラプトン、アンディ・フェアウェザー・ロウ