「Worried Life Blues」と、エリック・クラプトンとビッグ・メイシオ 「Worried Life Blues」と、エリック・クラプトンとビッグ・メイシオ

「Worried Life Blues」と、
エリック・クラプトンとビッグ・メイシオ

エリック・クラプトンの『Unplugged』という世紀のアコギ名盤のリリース30周年を記念し、作中ブルース・カバー曲をその元となったバージョンとともに紹介していく。今回は8小節ブルースの定番チューン、「Worried Life Blues」! その源流とクラプトン版の来歴を探る。

文=青山陽一

エリックの声質や歌い回しに近いメイシオのボーカル

直接的には41年にピアニスト&シンガーのビッグ・メイシオ・メリウェザーが録音したバージョンがオリジナルだが、元々はスリーピー・ジョン・エスティスによる35年の「Someday Baby Blues」を改作したもので、別名「Someday Baby」とされている場合もある。

「Key To The Highway」にも似た8小節進行を持つブルースで、ビッグ・メイシオ版は彼のピアノとボーカルに加え、スライドの達人タンパ・レッドのギターとランサム・ノウリングのベースを加えた3人編成での録音。

メイシオのボーカルはちょっとエリックの声質や歌い回しに近い雰囲気もあり、言い方を変えれば彼がこのバージョンをいかに聴き込んだかも推し量れると思う。

今は見ることのなくなった、フラット・ピックのアコギ・ソロ

70年代から度々この曲を歌っていたエリックだったが、公式音源になったのは79年の日本公演を収めた『Just One Night』が最初。

『Unplugged』では本編には収録されなかったが2013年のリイシューでアウトテイクの1つとしてリハーサル音源と映像が公開された。

マーティン000-42を抱えたエリックがこれをつま弾いていると、徐々にバンドメンバーが加わってフル編成となり、ゆったりしたテンポで楽曲はスタート。今ではアコースティックではまったく使わなくなったフラット・ピックを手に、レイドバックした演奏をくり広げる。最初のソロはチャック・リーヴェルの華麗なピアノをフィーチャーし、エリックはコーダ部分の1コーラスでハイ・ポジションまで使った彼らしいソロをブルージィに決める。

作品データ

『Unplugged』
エリック・クラプトン

リプリーズ/1992年8月18日リリース

―Track List―

01. 「Signe」
02. 「Before You Accuse Me」
03. 「Hey Hey」
04. 「Tears in Heaven」
05. 「Lonely Stranger」
06. 「Nobody Knows You When You’re Down and Out」
07. 「Layla」
08. 「Running on Faith」
09. 「Walkin’ Blues」
10. 「Alberta」
11. 「San Francisco Bay Blues」
12. 「Malted Milk」
13. 「Old Love」
14. 「Rollin’ and Tumblin’」

―Guitarists―

エリック・クラプトン、アンディ・フェアウェザー・ロウ