崎山蒼志の未知との遭遇 第6回:ギター購入の喜び+2022年になって 崎山蒼志の未知との遭遇 第6回:ギター購入の喜び+2022年になって

崎山蒼志の未知との遭遇
第6回:ギター購入の喜び+2022年になって

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

2022年の目標は持久力、持続力です。

 年末のある日、空き時間になんとなく立ち寄った御茶ノ水の楽器屋さんでオベーションのエレガット・ギターに出会いました。オベーションからエレガットが出ていることは知っていましたが、最近ちょうどライブ用にエレガットが欲しいなと考えていたところで、しかもその4日ほど前にインターネットで見つけて弾きに行こうとまでしていたオベーションのエレガットがすぐ販売済みとなってしまったので、この偶然の出会いになんとも胸が躍りました。

 それはオベーションの1863というモデルで、1990年代に生産されたものとのことです。ボディのうしろはオベーションらしいカーボン素材、生音もなんともオベーションらしい音の篭り方+立ち上がり方。ですがしっかりガットの質感で、弾けば弾くほど魅了されてしまいました。

 大切なラインの音も良い感じで、しかも比較的安価だったので、考えた末、最後は「よっしゃ!」と衝動に身を任せ購入しました。付属品のケースは中が水色で可愛らしく、ギターのボディの木を感じるナチュラルなカラーとも相まって気に入っています。

 2021年は一人暮らしなどあらゆる状況の変化もある年でしたが、今までより新しく楽器を購入する機会が多い年でもありました。まさか年末にまた一本購入してしまうとは……。年の瀬の街のなんとも言えぬ高揚感に後押しされた部分も多少あるかもしれませんが、偶然の有難い出会いに、まったく後悔ない買い物となりました。

 去年手に入れたギターには、同じくオベーションのヴァイパーというエレキもあります。今、メインで使っているのがオベーションのエレアコなので、ワンマン・ライブなどはステージ上にオベーションが三つ巴に並んでいるスタイルとなりそうです。それはそれは楽しみです……。とにかく、早くあらゆる現場で使用したいですね。

 ギターを購入したあとの「買っちゃったよ……」という、どこか背徳感と満足感が入り混じった気持ちに浸りながら繰り出した街は、ちょうど通勤や人流のピーク時で、なるべく人に当たったり迷惑にならないよう細心の注意を払いギター・ケースを持ち運びます。普段なら大荷物で電車へと乗るのは大きな疲弊を感じる瞬間のひとつなのですが、新しい楽器を手にした喜びやドキドキが勝っているため、比較的ポジティブな感覚で過ごせますね。車窓から見える夜空もどことなく年末感を滞留させ、ですがその大気は今にも新しい年へと駆けてゆくようにも見えました。

 そうして明けました新年、今年の目標は持久力、また持続力です。体力的な持久力もそうですが、発言や創作などをより持続力のあるものにしていきたい、そう考えています。ギターに関しても鍛錬や創作のアイディアを湧かせてくれるという意味でも、同じく日々密接に、より一層関わっていけましたらと思っています。勿論、気持ちのリラックスとしましても自然に手に取る存在であり続けてくれるはずです。

 昨年、ギターを通して最も刺激的に音楽を感じさせてくれたのは、ブラック・ミディのジョーディ・グリープでした。現代音楽、ジャズ、ロック、カントリー……。あらゆる年代、あらゆる音楽性を窺える、かつ自由自在で新しさを感じるフレージングは尋常でなく、最も刺激的でした。めちゃくちゃかっこいいです。ライブでの即興性も憧れですし、エレキ・ギターの可能性を感じさせてくれます。

 あらゆる音楽を自分のフィルターを通し鳴らすギタリストに私もなりたいので、技巧的にも上達できる年となりますように。また、素晴らしい音楽に今年もたくさん出会いたいです。弾き語りにおけるリズムのアプローチについても、アフリカのビート感なんかを取り入れられたら面白いのかなと思っています。そういった意味でも、もっと音楽を勉強したいですね。遅ればせながら、今年もよろしくお願いします!

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。現在19歳。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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