ディスク・レビュー『ワールド・レコード』ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース ディスク・レビュー『ワールド・レコード』ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース

ディスク・レビュー『ワールド・レコード』ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース

『ワールド・レコード』
ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース

ワーナー WPCR-18574/5 ¥3,300 11/23 全11曲

ニール・ヤングというギター弾きの純粋な感情表現に打ち震えよ!

 クレイジー・ホースというとニール・ヤングの怒りや激情を投影するイメージだが、この新作は少し違う。

 地球の恩恵に感謝しつつ、これからの未来へ鋭く目を向けるというコンセプトで、包み込むようなフォーク・サンドによる博愛的なサウンドが多数収録されている。

 この優しさがやたらにジンと来てしまうのだが、それだけに彼の歪んだエレキ・ギターが炸裂する③や⑩がより強いコントラストで刺さってくる。

 ③をぜひ聴いてほしいが、ニール・ヤングという男の歪みサウンドは、手段ではない。自身の人格や思想を全部投影した、純粋な感情表現である。

 ブーミーな膨らみと煌めきが同居した、まったく整理されていない複雑でいびつなトーン。ソロは流麗に歌わせず、美しいメロディを彼なりのイントネーションで奏でる。もはや人間味しかない。

 こういう最高のギター弾きが存命で、毎年のように新譜を発表してくれるその恩恵に、こちらが感謝ですと伝えたくなる。

(山本諒)

【参加クレジット】
ニール・ヤング(g, vo, p, harmonica)、ニルス・ロフグレン(g, p, accordion, vo)、ビリー・タルボット(b, vo)、ラルフ・モリーナ(d, vo)

【曲目】
<Disc1>
①ラヴ・アース
②オーヴァーヘッド
③アイ・ウォーク・ウィズ・ユー(アース・リングトーン)
④ディス・オールド・プラネット(チェンジング・デイズ)
⑤ザ・ワールド(イズ・イン・トラブル・ナウ)
⑥ブレイク・ザ・チェイン
⑦ザ・ロング・デイ・ビフォー
⑧ウォーキン・オン・ザ・ロード(トゥ・ザ・フューチャー)
⑨ザ・ワンダー・ウォント・ウェイト
⑩フェアバンクス

<Disc2>
①シボレー
②ディス・オールド・プラネット(リプリーズ)

ギター・マガジン2022年12月号
『浅井健一(SHERBETS)』
2022年11月11日(金)発売

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Neil Young