「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」ライブ・レポート 「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」ライブ・レポート

「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン
渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」ライブ・レポート

渋谷音楽祭初日の10月15日(土)に、LINE CUBE SHIBUYAにて開催された「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン 渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」。その模様をレポート! 出演者5人がステージで使用したギターも掲載!

文=関口慎一郎 撮影=星野俊

豪華アーティストらの演奏とギター・トークが楽しめた一夜

 今年で17回目を迎えた渋谷音楽祭。その初日の10月15日(土)、メイン会場の1つであるLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン 渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」が開催された。

 出演者は佐橋佳幸、和田唱(TRICERATOPS)、高橋優、渋谷のストリート・ギャラリー“ヨコガオ展”のイラストも手掛けている多才なシンガー・ソングライターSETA、16歳以下のギタリスト世界大会で優勝したギタリスト/シンガー・ソングライター森大翔という面々。ホストはTOKYO FMの番組『THE TRAD』の“副店長”でミュージシャンのハマ・オカモト、タレント/キャスターの中川絵美里、ギター・マガジンのプロデューサー河原賢一郎が務めた。

 イベントは各出演者のライブの合間に、ホスト陣と佐橋、和田、高橋、森がステージに現われて、座談会形式のトーク・セッションを行なう流れになっており、まずは和やかなトークからスタート。

 ギターを始めたきっかけの話題でひとしきり盛り上がったあと、1番手の森のライブへ。森は弦楽カルテットとキーボードを従えながら、オリジナルを4曲演奏。直前のトークでは従兄の影響からギターを始め、当初はエレキ・ギターでヘヴィメタルを弾いていたと語っていた森。粒立ちのいい強烈な速弾きと、迫力のある歌声で観客を圧倒した。

森大翔
森大翔

 2番手は和田唱。アコギによるジャジィなギター・インストで会場をうっとりとさせると、今度はルーパーを駆使した“ひとりバンド・スタイル”でリズミックにアプローチ。そして最後はシンプルな弾き語りというように、短いセットながらも近年のソロ・ツアーの経験を生かしたバラエティ豊かなステージで楽しませてくれた。

和田唱
和田唱

 3番手の高橋優はストレートなギター弾き語り一本で勝負。MCでは今回の一員に選ばれた喜びを語りながら、スローバラードと骨太なストローク・ナンバーを披露。力強い歌声を会場いっぱいに響かせていた。

高橋優
高橋優

 4番手はSETAと佐橋佳幸のデュオ。SETAの芯のあるボーカルに優しく寄り添う佐橋のギターという雰囲気で、中間部では森とハマが演奏に加わり、セッション風のステージに。イベントの締めくくりでは佐橋、和田、高橋、森、ハマがステージに横一列に並んで、ビートルズの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」を熱演。この曲を提案したという和田が伸びのある歌声で演奏をリードしていた。

SETA(vo)、佐橋佳幸(g)
SETA(vo)、佐橋佳幸(g)
SETA&佐橋佳幸に加わったハマ・オカモト(b)
SETA&佐橋佳幸に加わったハマ・オカモト(b)

 FMラジオ局が企画制作したイベントということもあって、ライブだけでなくトーク部分も楽しく、中でも佐橋がギターを弾いた小田和正の名曲「ラブ・ストーリーは突然に」のイントロ誕生秘話で大いに盛り上がる一幕も。長引くコロナ禍の中、音楽や歌の力、弾き語りとギターの魅力を再認識できた貴重な約3時間。通常のライブとはひと味異なる多彩な内容で、観客も大満足の様子だった。

Live Gear

ここからは出演者5人がステージで使用したギターを特別にご紹介しよう。

佐橋佳幸

Beffnick homie SAHASHI MODEL #2

佐橋佳幸のBeffnick homie SAHASHI MODEL #2

佐賀県に工房を構える合瀬潤一郎氏が製作するベフニックブレスワークのカスタム・モデル。マーティン000シェイプのモデルで、こちらは2本所有するうちの2号機。12フレット上には佐橋家の家紋のインレイが入っている。今回のライブ・イベントでは全曲この1本で通された。

和田唱

1955 Martin 000-18

和田唱の1955 Martin 000-18

スプルース・トップ、マホガニー・サイド&バックの1955年製Martin 000-18。000サイズは小ぶりで抱えやすいことから、比較的フィンガースタイルのプレイヤーに好まれる。和田もこの日はステージの椅子に腰掛けながら、「ミスティ」のジャジィなソロ・ギター・アレンジをフィンガー・スタイルでエレガントに聴かせてくれた。その「ミスティ」のほか、「Raspberry」の冒頭と「1975」で使用。


1941 Gibson L-00

和田唱の1941 Gibson L-00

ルーパーを使った「Raspberry」で活躍した1941年製Gibson L-00。スプルース・トップのマホガニー・サイド&バックで、ギブソンの小ぶりなマホガニー・ボディ・フラットトップのルーツにあたるモデル。ヘッド・ロゴはギブソンの古いスクリプト(筆記体)タイプ。和田は小ぶりなマホガニー・ボディのギターが好みなのかもしれない。

高橋優

Gibson DOVE

高橋優のGibson DOVE

モデル名にもなっているピックガードの“鳩(DOVE)”のデザインが特徴のGibson DOVE。スプルース・トップのメイプル・サイド&バック。デビュー当時から高橋優がDOVEを愛用していることを知ったギブソンが3年ほど前にカスタム製作したブラック・フィニッシュのモデル。トラスロッド・カバーには漢字で“高橋優”と名前が彫られている。

森大翔

Taylor 114ce

森大翔のTaylor 114ce

森大翔のメイン・ギターTaylor 114ce。小ぶりで抱えやすいグランド・オーディトリアム・シェイプのエレガット・モデルで、スプルース・トップ、ウォルナット・サイド&バック。Taylorはモダンな弾き心地が特徴なので、森のようなアグレッシブなプレイには相性抜群。


Taylor 812ce

森大翔のTaylor 812ce

Taylorの上級モデルTaylor 812ce。こちらは今回のイベントのためにレンタルされたもの。グランド・コンサート・シェイプで、スプルース・トップのインディアン・ローズウッド・サイド&バック。森のステージのラスト・ナンバー「すれ違ってしまった人達へ」で使われたのが本器と思われる。

ハマ・オカモト

1966 Hofner 500/1

ハマ・オカモトの1966 Hofner 500/1

ポール・マッカートニーの使用で有名なヴァイオリン・ベースHofner 500/1。SETAと佐橋佳幸のセットに加わった際はFenderのジャズ・ベースを弾いていたが、最後のセッション曲はビートルズの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」ということもあって、こちらのベースで演奏された。

「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン 渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」公演セットリスト

◎森大翔

  • M1 (新曲)
  • M2 台風の目
  • M3 君の目を見てると
  • M4 すれ違ってしまった人達へ

◎和田唱

  • M5 ミスティ
  • M6 Raspberry
  • M7 1975

◎高橋優

  • M8 勿忘草
  • M9 HIGH FIVE

◎SETA&佐橋佳幸

  • M10 冬が来る前に(紙ふうせん・カバー)
  • M11 TRUE LOVE(藤井フミヤ・カバー)(w/森大翔、ハマ・オカモト)
  • M12 キスしてくれてありがとう(w/ハマ・オカモト)
  • M13 世界に

◎セッション

  • M14 アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア(ビートルズ・カバー)

■TOKYO FM『THE TRAD』公式ページ
https://www.tfm.co.jp/trad/

■「TOKYO FM『THE TRAD』×ギター・マガジン 渋谷音楽祭TALK&SESSIONS」Tシャツ
https://t-od.jp/products/tradgm20221015-ts-001