ここが凄いぞ、ギタマガ創刊号! 1冊目のギター・マガジン、1980年12月号をご紹介します ここが凄いぞ、ギタマガ創刊号! 1冊目のギター・マガジン、1980年12月号をご紹介します

ここが凄いぞ、ギタマガ創刊号! 
1冊目のギター・マガジン、1980年12月号をご紹介します

ギター・マガジンのバックナンバー読み放題サービスがスタート! 毎週月曜日に1年分のギター・マガジンが本棚に追加されていくぞ! 今回はその第一弾として公開された、創刊号=1980年12月号の内容をご紹介しよう。

※本記事はギター・マガジン2020年12月号に掲載されたものを一部抜粋/再編集したものです。
※著作権の都合上、楽曲のスコアは「WEBでギタマガ読み放題(バックナンバー読み放題)」には掲載されていません。あらかじめご了承下さい。

これがギター・マガジンの創刊号だ!

ギター・マガジン1980年12月号

ロゴのメッセージが今と違う!? ベーシストも対象だった!

“Guitar magazine”というロゴの上には今でもメッセージが書いてあるのだが、創刊当時は微妙に違う文言だった。「FOR PROFESSIONAL,AMATEUR GUITARIST & BASSISTS」となっており、ベーシストも対象の雑誌だったのだ。

ギター・マガジン創刊号のロゴ

記念すべき1ページ目は高中の機材レポート

創刊号の1記事目は、高中正義の機材紹介で始まる。次ページにはシン・リジィのフィル・ライノット(b)、さらに次はCharの機材紹介があり、そこから目次へ。目次前の巻頭にプロの機材を紹介するこの手法は、80年代を通じて続けられていく。

高中正義の機材紹介ページ

表紙と連動のギタリスト特集『ギター・サウンド研究』

創刊当時のメイン・コーナーのひとつが、この「ギター・サウンド研究」だ。現在の「Featured Guitarists」の原型ともいえるこの企画は、毎号1組のアーティストを取り上げ、奏法的に分析していくというもの。表紙と連動しており、ここで取り上げられるギタリストが表紙を飾るというルールだった。

渡辺香津美のギター・サウンド研究
「渡辺香津美のギター・サウンド研究」記事ページ

創刊大特集は豪華3本立て! 気鋭のギタリストが多数登場

創刊号の特集は3つのパートに分かれており、Part.1はニール・ショーン、大村憲司、増尾好秋らのインタビュー。Part.2はエレキ&アコギ通史で、Part.3はエディ・ヴァン・ヘイレン、レイ・パーカーJr.、ライ・クーダー、ラリー・カールトンら23人のプロによるアンケート企画だった。

創刊大特集「今、君はギターにどう取り組むのか!」
創刊大特集PART1

創刊大特集PART2
創刊大特集PART3

ベーマガ創刊以前のベース特集『ベース・サウンド研究』

ベーシストへ向けた唯一の特集企画がこの「ベース・サウンド研究」で、創刊号のテーマは「ブリティッシュ・ハード・ロック・ベース」。スティーブ・ハリス(アイアン・メイデン)、イアン・ヒル(ジューダス・プリースト)、ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)らの奏法スタイルが紹介されている。

『ベース・サウンド研究』

アコギ企画も毎月やってた! 「サウンド・ホール」

「アコースティック派のための編集ページ」というキャッチがついた「サウンド・ホール」はアコギ弾きのための特集企画。これも毎月の定番コーナーだった。

「サウンド・ホール」
高柳昌行&ハッピー・トラウムのコラム

米ギター・プレイヤー誌との編集提携で、世界最先端の情報も!

連載特集以外では、創刊号だけの特別セミナーやアメリカのギター雑誌「Guitar PLAYER」の翻訳記事、新譜のディスク・レビューなども。

米ギター・プレイヤー誌からの翻訳記事
スペシャル・セミナー
ディスク・レビュー

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ギタマガ創刊物語

本格派ギター雑誌を創刊せよ! いざ、前人未到の地へ。

本誌の創刊は1980年の終わり、11月に発売された12月号である。1980年と言えば、ヴァン・ヘイレン『暗黒の掟』やAC /CD『バック・イン・ブラック』といったハードロックの大隆盛、ラリー・カールトンやリー・リトナー、高中正義といった洋邦クロスオーバーの大波など、ギターのテクニカルな側面が大いに花開いていく時期だ。誌面を見ても奏法分析系の企画がほとんどで、ほとんど学研の教則雑誌のような雰囲気すら漂っている。

「当時、編集部が対抗誌として見ていたのは、ヤングギターやプレイヤーではなく、ジャズ・ライフ、アドリブのほうだったんじゃないかな(古森優/四代目編集長)」。

なるほど、創刊号の表紙が渡辺香津美だったこともそう考えると納得である。

創刊当時は、通常の雑誌で言うところの「特集」と呼べるコンテンツが2つあった。まず1つ目は特定のギタリストを分析する「ギター・サウンド研究」。譜例、スケール図、コード・ダイアグラムなどをふんだんに用い、名手のフレーズについて徹底的にフォーカスするコーナーだ。ここで取り上げられたアーティストが表紙を飾り、号によっては本人インタビューやエフェクターのつなぎ方にまで言及していることもある。レイアウトなどはいささか古いものの、すでにギタマガ伝統の分析企画が確立していたのである。

そしてもう1つが本当の「特集」。創刊号は豪華三本立てで、メインは「今、君はギターにどう取り組むのか?」という奏法と精神論を融合させたようなものだ。内容としては、人気ギタリストに特定のテーマについて答えてもらうものが中心で、エディ・ヴァン・ヘイレンの隣にハーブ・エリスがいたりと、その顔ぶれもなかなかに興味深い。

ベース・マガジン、アコギ・マガジンの内容もカバー!

前述の「ギター・サウンド研究」、「特集」という巻頭目玉企画のほかにも、80年代のギタマガを代表する特徴的なコーナーが当初から始まっていた。

「ベース・サウンド研究」はその名のとおりベーシストへ向けた分析企画で、これが5年後のベース・マガジン創刊(85年)につながることは言うまでもない。当時の読者ハガキ欄でも“ついにベーシスト向けの雑誌ができて嬉しい!”という声が多いため、他では読めない内容だったのだ。創刊号のロゴに“BASSIST”という文字があるのもこのためである。

さらに、「SOUND HOLE」というアコギ弾き向けの連載企画。これはもちろんアコースティック・ギター・マガジンの創刊につながるもので(アコギは98年創刊)、第1回は高柳御大の超絶ありがたいお話なのだが、回を追うごとにアール・クルーやパコ・デ・ルシアといったナイロン弦&フュージョン系が頻繁に登場するのも時代を感じさせるところ。

そして、伝統のギター・スコア「GM SELECTION」もこの創刊号から。40年間タイトルが変わらないのはこのコーナーだけで、当時はベース譜も合わせて載っているのもミソ(しかもベースは五線譜のみ。厳しい!)。創刊号の選曲はレインボー、カンサス、TOTO、ラリー・カールトン、アル・ディ・メオラと気合いを感じるが、何と言っても山下達郎「サイレント・スクリーマー」が載っていることに注目したい。近年、本誌で力を入れているシティ・ポップだが、何のことはない、実はギタマガ伝統のコンテンツなのである。

その他、巻頭特集とは別のギタリストがテクニックについてアドバイスをする「創刊号スペシャル・セミナー」や、当時、本誌が提携していたアメリカのギター雑誌「Guitar PLAYER」の翻訳記事、今でも続いている新譜レビューなど、すでに今日の柱となるコンテンツが完成されていたのであった。

ギター・マガジン1980年12月号/表紙:渡辺香津美

ギター・マガジン1980年12月号表紙:渡辺香津美

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GM Mono