ギター製作に必要な技術を総合的に学ぶことができる専門学校“ESPエンタテインメント東京”。このたび、鈴木重伸(THE ORAL CIGARETTES)が本校のギタークラフト科の学生とコラボし、理想のオリジナル・ギターを製作することになった!
その様子を3回の連載でお届け。初回は、ギター製作の第一段階である“設計”の様子を紹介!
取材・文:錦織文子 撮影:星野俊
※本記事はギター・マガジン2023年6月号に掲載された同名の記事を再編集したものです。
※上写真中央がゲスト・ギタリストの鈴木重伸氏。両側の2人は製作学生の柿木幸之助さん(左)と菱山陽向さん(右)。
工夫を凝らしたアイディアで個性溢れる鈴木モデルを設計!
ギターの製作・設計のほか、開発やリペア、改造、メインテナンスなど楽器製作に必要な技術を総合的に学ぶことができる専門学校“ESPエンタテインメント東京”のギタークラフト科。学生がギタリストとコラボし、オリジナル・ギターを製作してきた実績も数多ある。
この連載では編集部が現場にお邪魔し、プロ・ギタリストのための特別な1本を製作する様子をお届けしよう。今回協力してくれるのは、THE ORAL CIGARETTESで重厚なロック・サウンドを響かせるギタリスト、鈴木重伸だ。
第1回は、彼が思い描くオリジナル・ギターを設計するにあたり、学生たちと詳細な仕様に関する打ち合わせを行なっていく。
鈴木の理想とするギターは、“普段のライブで使える1本が欲しいですね。僕がいつも使っているレス・ポール・カスタムのように馴染み深いギターになったらいいな”とのこと。それに対し、学生たちは様々なアイディアを積極的に提案していった。
鈴木がイメージする理想のギターとは?
製作打ち合わせスタートです!
例えば、サウンドの重厚感を確保するためにボディ材はマホガニーを採用しつつ、ライブ使用を考慮してボディ厚を多少削るのはどうかと提案された際には、鈴木も“確かに少しでも軽くなると嬉しいな!”と合点。こうして打ち合わせでは多くの案が飛び交い、“本当の理想”の状態に近づくように、3人で丁寧に話し合っている様子が印象的だった。
用途やルックスから希望の木材を選ぶ
機能面を追求してパーツを決定
その後、鈴木と話し合った全体像や詳細をもとに、学生たちが製図を行ない、製作予定のギターのイメージが完成。トーン・ノブをプッシュ/プルするコイル・タップ・スイッチや、シンクロナイズド・トレモロの搭載など、機能面で鈴木のスタイルにばっちりハマる仕様が盛り込まれ、鈴木自身も納得いくスペックとなった。
後日、イメージをもとに学生たちが図面作成!
また、学生たちが考案したヘッド・シェイプやヘッド・インレイのデザイン、ボディ・カット部の貼りローズウッドなど、個性溢れるアイディアが反映されつつ、伝統的なルックスを意識した工夫も凝らされている。
鈴木重伸モデル・ギターの完成イメージはこちら!
落ち着きのある上品な色味やルックスにはどこかクラシカルな貫禄もありつつ、オリジナリティの溢れる鈴木重伸オリジナル・ギター。“新時代のスタンダード・モデルになるのでは?”という予感も。今から完成がとても楽しみだ。
*本連載の第2回は2023年6月下旬公開予定です。