ディスク・レビュー『ドリーム・ボックス』 パット・メセニー

フルアコをメインに弾いたソロ・ギター作　バラード・プレイヤーとしての真価を発揮！

　サイド・アイ・トリオの活動に脂が乗っているパット・メセニーだが、そんな中、新しいソロ・ギター作品が届いた。

　これまでのソロ作はアコースティックやバリトン・ギターがメインだったが、今回はフルアコのエレクトリック・モデルを中心に据えて、よりジャズに寄っているのが特徴だ。

　伴奏パートに導かれる形でメロディやインプロをプレイしていくという、二役を1人でこなすダビング手法が採られている。

　ストックしていた音源をまとめ上げたもののようだが、とにかくテーマの美しさは特筆で、歌いまくるアドリブ・ラインも感涙必至！

　①の透明感を醸すピッキング・ニュアンスや②③のアメリカーナの香りなど、どこを切ってもメセニー印。

　そして、⑤やスタンダード⑥⑧での饒舌かつ情感たっぷりのジャズ・プレイはやっぱり嬉しい。

　ジャンルの枠を越えてトップをひた走ってきたメセニーだが、ここにきてバラード・プレイヤーとして真価を改めて示したと言えるだろう。

（久保木靖）

【参加クレジット】
パット・メセニー（g）

【曲目】
①ザ・ウェイヴズ・アー・ノット・ジ・オーシャン
②フロム・ザ・マウンテンズ
③オレ&ガード
④トラスト・ユア・エンジェルズ
⑤ネヴァー・ワズ・ラヴ
⑥アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー
⑦PC・オブ・ベルギー
⑧カーニバルの朝
⑨クラウズ・キャント・チェンジ・ザ・スカイ
⑩コーラル（ボーナス・トラック）