ディスク・レビュー『Jelly Road』ブレイク・ミルズ ディスク・レビュー『Jelly Road』ブレイク・ミルズ

ディスク・レビュー『Jelly Road』ブレイク・ミルズ

『Jelly Road』
ブレイク・ミルズ

『Jelly Road』ブレイク・ミルズ
輸入盤 7/14 全12曲

ギターの宿命から解き放たれたサスティナー内蔵フレットレス・バリトンの音

 文脈への深い造詣のもと、この現代においていまだ誰も聴いたことがないギター・サウンドを提示し続ける数少ないギタリストであるブレイク・ミルズの最新作。

 静謐で内省的なSSW作的だった『Mutable Set』と、ピノ・パラディーノとの共作でジャズ・ファンクのその先を提示した『Pino Palladino And Blake Mills』を経て、ちょうどこの2作品の間に位置するような作品に仕上がっている印象だ。

 本作でやはり耳に残るのが、昨年の来日公演でも目を引いたサスティナー内蔵のフレットレス・バリトン・ギターのサウンド。アタックからの音の減衰というギターの宿命から解き放たれた本器による演奏は、「Skeleton Is Walking」の長尺ソロを始め、アルバム随所で効果的に使われている。

 また、近年ブレイクはBOSSのギター・シンセGP-10GKにすっかりハマっているようで、本作で聴ける電子音響はおそらく本機によるもの。

(岡田拓郎)

【参加クレジット】
ブレイク・ミルズ/クリス・ワイズマン(all)

【曲目】
①Suchlike Horses
②Highway Bright
③Jelly Road
④Skeleton Is Walking
⑤Unsingable
⑥Wendy Melvoin
⑦The Light Is Long
⑧Breakthrough Moon
⑨There Is No Now
⑩Press My Luck
⑪A Fez
⑫Without An Ending

ギター・マガジン2023年8月号表紙

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