ディスク・レビュー『ザ・バラード・オブ・ダーレン』ブラー ディスク・レビュー『ザ・バラード・オブ・ダーレン』ブラー

ディスク・レビュー『ザ・バラード・オブ・ダーレン』ブラー

『ザ・バラード・オブ・ダーレン』
ブラー

『ザ・バラード・オブ・ダーレン』ブラー
ワーナー WPCR-18616 3,190円 発売中 全13曲

彼らの現地点をありのままに提示 このバンドでしか成しえない偉大なる記録

 突如としてリリースされた『ザ・マジック・ウィップ』から8年。再び、ブラー・イズ・バック。彼らほどのキャリアを誇りながら、こんなドラマチックな活動ができるバンドは本当に稀有だろう。

 アルバムに先駆けて発表された②は、グレアムらしい歪んだストレンジなフレーズで“これぞブラー!”的な曲だったが、実はこの曲以外ではそういったものはほぼない。

 グレアムはここ数年の活動を通してギターやペダル類がかなり変わったのでそれも影響しているだろうが、彼らしいRAT的サウンドやハンマリングなどを絡めたコード・ワークなどはなく、珍しくアルペジオを披露している③でのテンポ・ディレイや、④でのトレモロ・アームを使用したプレイなど、全体的にクリーン、モジュレートしたサウンドの繊細なプレイとなっている。

 本作のデーモンの楽曲は内省さを感じさせるが、それを受けたグレアムの真摯に寄り添ったプレイなのだろう。そのうえで聴く⑥は感涙。

(牛尾健太)

【参加クレジット】
デーモン・アルバーン(vo, k, p)、グレアム・コクソン(g, vo)、アレックス・ジェームス(b)、デイヴ・ロウントゥリー(d)、ジェームス・フォード(k)、他

【曲目】
①ザ・バラード
②セント・チャールズ・スクエア
③バーべリック
④ロシアン・ストリングス
⑤ザ・エヴァグレーズ(フォー・レオナルド)
⑥ザ・ナルシスト
⑦グッバイ・アルバート
⑧フォー・アウェイ・アイランド
⑨アヴァロン
⑩ザ・ハイツ
⑪ザ・ラビ
⑫ザ・スワン
⑬スティックス・アンド・ストーンズ(ボーナス・トラック)