『i 触れる SAD UFO』
崎山蒼志
アーバンなムードと魅力的な楽曲で心を惹きつける、長く愛されるべき秀作
1年半ぶり、メジャー3作目となるフル。ガラス玉のようにクリアな歌声と見事な伴奏力のアコースティック・ギターで紡がれる、シンプルに魅力的なポップスがキラキラと輝くアルバムである。
当初、崎山といえば強烈な弾き語りをやってのけるパフォーマーとして注目されたが、今作は作曲家/歌手として堂々たる存在感を放っている。さらにアーバンで心地良いグルーヴの演出など、サウンド構築の面で耳を惹く部分が多い。音楽的好奇心が強いがゆえの四方八方な音作りもなく、とにかく歌モノとしての聴きやすさが際立っている作品だ。
ギター・プレイに関しては、楽曲に寄り添うアコギの繊細なタッチやアプローチがまず素晴らしい。ところどころで鳴るエレキのムードも素敵で、静かにたぎる⑨のソロに熱くなる。個人的には、ceroやKIRINJIなどと近い現代のシティ・ポップ的な全体のムードが文句なしに好き。長く愛されるべき秀作だと思う。
(山本諒)
【参加クレジット】
崎山蒼志(vo, g, b, prog)、サトウカツシロ(g)、Naoki Itai(g, prog)、モチヅキヤスノリ(p)、有島コレスケ/キタムラユウタ/マーティ・ホロベック(b)、高橋直希/GOTO(d)、林怜王(perc)、Kabanagu(prog)、他
【曲目】
①i 触れる SAD UFO
②In Your Eyes
③燈
④プレデター
⑤剥がれゆく季節に
⑥いかれた夜を
⑦覚えていたのに
⑧I Don’t Wanna Dance In This Squall
⑨翳る夏の場
⑩Swim
⑪太陽よ