崎山蒼志の未知との遭遇 第28回:最近導入した機材と新たなギター 崎山蒼志の未知との遭遇 第28回:最近導入した機材と新たなギター

崎山蒼志の未知との遭遇
第28回:最近導入した機材と新たなギター

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

ストラトは最も変わったエレキ・ギター!?

 近頃自分はリハをしていました。10月には本誌で、ツアーの機材を取材して頂きました。中学生の頃から今に至るまで、ギター・マガジンによるあらゆるギタリストたちの機材紹介に胸躍らせ、知らない機材を知ったり、感化されてきましたので本当に有難い限りです。

 その10月のツアーからほぼ機材周りは変わっていないのですが、エレキ・ギターのエフェクターのひとつを、エレクトロ・ハーモニックスのエンベロープ・フィルターであるQ-Tronから、ダンエレクトロのリバース・ディレイであるBack Talkに変更致しました。繋ぐ位置は、アウトがアンプへ行くチューナーの前です。Q-Tronは10月のアルバム・ツアーで「翳る夏の場」という曲で使うために導入していました。導入しなくなった理由としましては、その曲をあんまり演奏しないということ、10月のアルバム・ツアーではギターにもう一人、クジラ夜の街の山本薫くんが参加して下さっていて、空間をエフェクターだったりフレーズで埋めてくれていたので、個人的に空間系はそこまで必要ではなかったのです。

 ただ、鍵盤が加入しての4人編成、またギター/ベース/ドラムのみの3人編成では、エレキの単音のフレーズだったりが寂しいと感じる瞬間があって、そんな時に手元にあったBack Talkがいい感じにハマりまして、以後導入しています。Mixを真ん中ぐらいにして、原音とリバース音で、水流と遡行みたいな多重ギター風サウンドが得られます。

 ギター自体もエレキは10月ツアーから導入した1983年製のスクワイア製ストラトキャスターをメインで変わらず使用しています。かつてはストラトをみんな使っているギターとしか認識できていなかったものの、今ではすっかり魅力に取り憑かれてしまっています。今は同じ年代の同じ日本製である、ジャパン・ビンテージのトーカイあたりのSTタイプも凄く気になっています。

 ストラトを手にしてみて、改めて繊細な表現に適した楽器だなと感じます。アコギだった指弾きのフレーズだって違和感なく奏でられる。最も定番かつ、音に向き合えば向き合うほど、甘さと鋭さが絶妙で、音がストラトでしかない、実は最も変わったエレキ・ギターなんじゃないかなんて思ったりもします。

Harmony Juno

 エレキはストラトともうひとつ! ローディの方に貸して頂きましたHarmonyのJunoです……! 元々可愛いな、弾いてみたいなと思っていたエレキ・ギターでした。また、好きなシンガーでギタリストでもあるマディソン・カニングハムが弾いていたのを見て、ますます興味が湧いていた中、まさかのローディの方が持っていまして、それで貸して頂けたという経緯です。ボディがめちゃくちゃ小ぶりです。コンパクト! 取り回しが効きます。そして何より音がめちゃくちゃ好みです。見た目のビザーリーさよりも音がクリアで温かく、特にフロントはとてもリッチで、歪ませるとゴージャスに響き渡ります。ピックアップはカスタム・ゴールドフォイルのP-90です。もっとじっくり向き合いたい個体です。

 アコギはいつものアダマスで、アンプはエレキがツイン・リバーブ、アコギがDIからローランドのベース・アンプとラインですね。

 最近アート・リンゼイを聴き返していて、バックの演奏に主に歌、そして時たまノン・チューニングのギターで美しいノイズを奏でるというスタイルに改めて惚れ惚れしています。自分も、歌にももっと集中したかったり、ウワモノもいるバンドがいる時は本当はそれくらい偏ったスタイルでもいいのかもしれませんが、中々できることではありません。アート・リンゼイは一人での演奏も本当に凄まじいです。「The Prize」のライブ・バージョンを、ぜひ元の音源と合わせて聴いてみて下さい。脱帽です。

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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