『ア・ラ・サラ』
クルアンビン
バンドの原点を見つめ直した強固なエキゾチック・グルーヴ
本誌の連載「此処ではない何処かへ」でもお馴染み、マーク・スピアー率いるクルアンビンの最新作が届いた。
アジアや中東など世界各地の土着音楽からの影響を取り入れた斬新なサウンドが支持を集め、2015年のデビュー以来、着実にその人気を拡大してきた彼ら。
ただ、良くも悪くも活動の規模が大きくなりすぎた反動があったようで、今作はゲスト・ミュージシャンを迎えることなくメンバー3人のみで原点回帰をテーマに制作したという。
その結果改めて浮き彫りになったのが、トリオ編成ならではの限りなく研ぎ澄まされたアンサンブルの妙だ。
先述のとおりクルアンビンといえばエキゾチックな音楽性がトレードマークではあるのだが、それと同じくらい重要な核がこの部分なのである。
十八番の無国籍なペンタ・フレーズを織り交ぜつつ、コード感とメロディを同時に成立させるようなマークのプレイ・スタイルもますます冴え渡っていて、②⑤⑥などを始め全曲がその好例と言える。
(田中雄大)
【曲目】
①Fifteen Fifty-Three
②May Ninth
③Ada Jean
④Farolim de Felgueiras
⑤Pon Pón
⑥Todavía Viva
⑦Juegos y Nubes
⑧Hold Me Up (Thank You)
⑨Caja de la Sala
⑩Three From Two
⑪A Love International
⑫Les Petit Gris
⑬May Ninth (2008 Demo)