ディスク・レビュー『Orchestras』 ビル・フリゼール ディスク・レビュー『Orchestras』 ビル・フリゼール

ディスク・レビュー『Orchestras』 ビル・フリゼール

『Orchestras』
ビル・フリゼール

『Orchestras』ビル・フリゼール
輸入盤 4/19 全16曲

映画音楽的要素を拡張させたオーケストラとの共演ライブ盤

 トーマス・モーガン(b)、ルディ・ロイストン(d)と共に、ディスク1はベルギーの管弦楽団ブリュッセル・フィルハーモニック、ディスク2はイタリアのウンブリア・ジャズ・オーケストラと共演したライブ盤。

 スタンダード曲のほか、フリゼールのオリジナルや愛奏曲をプレイしている。

 もともとフリゼールの楽曲は映画音楽的だと感じていたが、オーケストラとの共演によりその魅力を存分に発揮。

 特にストリングスを含む60人編成のブリュッセル・フィルハーモニックとの曲は素晴らしく、怪しさと美しさが同居するフリゼールの代表曲「Throughout」はベルギーの豊かな自然風景を想起させる響きへ進化し、チャーミーなテーマの「Rag」では移動式遊園地のような特別な楽しさを醸し出してくれる。

 ホールの影響からか、ギター・サウンドは甘い空気感をまとっており、オケとの馴染みも良い。フリゼール自身も余韻のあるストリングスに寄り添うようなプレイを見せてくれるのが新鮮だ。

(今井悠介)

【曲目】
Disc 1
①Nocturne Vulgaire
②Lush Life
③Doom
④Rag
⑤Throughout
⑥Electricity、ほか全9曲

Disc 2
①Lookout for Hope
②Levees
③Strange Meeting
④Doom
⑤Electricity
⑥Monica Jane、ほか全7曲