崎山蒼志の未知との遭遇  第34回:“Grunge”というペダル 崎山蒼志の未知との遭遇  第34回:“Grunge”というペダル

崎山蒼志の未知との遭遇 第34回:“Grunge”というペダル

新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。

デザイン=MdN

デジテックのGrungeに、一耳惚れしました

5月30日(木)にバンド編成でのワンマン・ツアーファイナルが渋谷O-EASTでありました。そのつい1週間前に個人的に体調を崩していたのもあり(その影響で仙台、札幌公演が延期になってしまいました。すみません。)、不安だったのですが当日は良いコンディションで迎えることができ、ホッとしたのでした。

崎山蒼志

今回のバンドツアーを通して、ひとつ、自分のギターサウンドに変化がありました。いつもブースター兼ノイズ用に、JPTR FXのSuper Weirdoというモジュレーションファズ・ペダルを使っていたのですが、メインのオーバードライブと重ねがけする時に音がブーミーになり過ぎてしまう、かつ、抜けがよくなくなってしまうことに悩んでいました。そんな中、5月30日の本番前リハの際に、いつもお世話になっているPAさんがディストーションのペダルを2つ持ってきてくださいました。

ひとつは、メインのオーバードライブと同メーカーのマッド・プロフェッサーのMighty Red Distortionです。体感、Sweet Honey Overdriveがそのままもっと歪むようになった、という印象でした。ミッドが強くて、ジューシーな、それでいて鋭利というよりは荒々しいチューブアンプっぽい歪み方です。赤いラメっぽい見た目もかわいいです。こちらも好みだったのですが、もうひとつのペダルであったデジテックのGrungeに、一耳惚れしました。

まず、”Grunge”というジャンル名がそのまま名付けられている潔さに、グッときます。デジテックのGrungeは、グランジというには更にメタル寄りな音色という印象で、ハイとローがよく出ます。4つのツマミからなり、LOUDが音量、そしてLOW、HIGHがあり、GRUNGEが歪み量になってきます。とにかく音の抜けが良いです。

個人的な設定としてはLOUDとGRUNGEが1時程、LOWが12時、HIGHが11時くらいです。スイートハニーと重ねがけした時も、抜けの良い鋭利なサウンドのままで、自然なハウリングがかっこいいです。そこが一番グランジっぽいです。

また、いつもペダルボードに入っているエレクトロ・ハーモニックスのQ-Tron、スイートハニー、Grungeを重ねがけした時の、中高域が飛び出た、トリッキーなサウンドもとても好みです。そのまま貸してくださるということでしたので、結果Grungeをペダルボードに組み込みました。それに代わり、JPTR FXのSuper Weirdoをペダルボードから抜きました。こちらも素晴らしいエフェクターですので、これからもあらゆる場面で使っていくと思います。

ですので、エレキのペダル・ボードからファズが消えました……! 自分にとってこれは、数年ぶりのことで、とても大きな変化です。歪みは、スイートハニー、改造済みのボスのDS-1、Grungeの3つとなりました。用途によって使い分け、飛び道具的に3つ重ねがけしたりして使ったりしています。

もともとピーキーなギター・ノイズが好きだったので、その質感もこの3つを重ねがけした時の方が出ている気がします。Grungeを使って、かっこいいギターを弾いていきたいです。

今、秋からのライブは、今のスリーピースバンド編成から、ちょっと異なったバンドサウンドで臨もうと考えています。同期なしで、アコースティックな質感あるサウンドで、生き物のように、全曲繋がりがあるようなアレンジにしたいなと思っています。それに伴い、ギターも箱物かダンエレクトロで、おもにクリーントーン、エフェクターもチューナ含め3つくらいに抑えたいなど、わくわく試行中です。

著者プロフィール

崎山蒼志

さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。

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