
文=ワダマコト
チカーノ・ソウルとロックステディの夕暮れ。
チカーノ・ソウルとジャマイカのロックステディの美学には共通するものがあって、夕暮れのリバーブ感とか、埃っぽいスタジオの鳴りとか。米国の60年代ソウルを独特の価値観で咀嚼したような、独特な世界なのである。そんな美学をしっかりモノにしていることをひしひしと感じさせてくれるセンス良い一枚。“チカーノ・オールディーズもロックステディも”という点で、現チカーノ・シーンの重要人物であるジョーイ・キニョネスあたりに通じる味わいだ。アルトン・エリスの③は、アルトンなのに裏打ちじゃない曲をセレクトするひねくれ具合いも偏った音楽バカぶりが滲み出ていてすてきだと思う。日本語詞のスカ・ナンバー⑦は、どこか昭和な香りが秀逸。可憐な歌はディープ過ぎないところが良いし、ギターも隙間の生かし方がわかっている。ストレートに米国ソウルのみをたどってきた耳では、この雰囲気にはならないのである。絶妙のアンバイ、さじ加減だと思う。