連載セミナー「初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座」を開始します。毎週1〜2回の不定期更新で、全33回の予定です。ギターのコードに詳しくなりたい方、ぜひおつきあい下さい!
*本連載は、リットーミュージックのWEBサイトで以前に公開していた同名の連載記事を加筆・修正の上、ギター・マガジンWEBで再公開するものです。
文・図版作成=ギター・マガジン編集部
はじめに
はじめまして。ギターコード指板図くん(WEBアプリ)の「かんたんコードブック」および「作ろう! マイコードブック」の作者のNと申します。
この連載セミナーでは、ギターを始めたばかりの人や、ギターは弾くけどコードにはまったく弱いという人を対象に、ギター・コードに関するごく初歩的なことや、その効率的な覚え方を説明していきます。
この講座を読み終える頃には、コードに関して悩むことが、ほとんどなくなるでしょう。また、ギターの教則本や音楽理論書に書かれていることも、ずっと理解しやすくなっているはずです。
【本講座の目標】
- コード名の意味がわかる
- 簡単なコードならすぐに押さえ方がわかる
- 複雑なコードでも自分で作れるようになる
音の確認について
本講座に出てくる図版のうち、すぐ下に次の「音を確認する」ボタンが付いているものは、書籍版『初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座』の読者サポートページで音を聞くことができます。「音を確認する」ボタンで読者サポートページにアクセスし、そこにある指板図をクリックして下さい。
▲このボタンをクリックすると、読者サポートページのトップページが開きます。
このあとに出てくる図版の下のボタンは、それぞれに対応したページにリンクしています。
用語解説:コード、コード進行、コード名
ではまず、コード、コード進行、コード名という用語について説明しましょう。
コード(chord)とは、日本語でいえば「和音」です。高さの異なる音を3つ以上同時に鳴らすと、それはコードになります(この言い方はあまり厳密ではありませんが、より詳しいことはこの連載の中で説明します)。ギターの場合は、左手の指で何本かの弦を押さえ、右手で複数の弦を弾くことによって、コードを鳴らします。
またコードをいくつか並べると、それはコード進行(chord progression)と呼ばれるものになります。
コード進行の例を、さっそくひとつ見てみましょう。C△7→Am7→ Dm7→G7→C△7という例です。
C△7、Am7、Dm7、G7という文字は、コード名あるいはコード・ネーム(chord name)、コード・シンボル(chord symbol)と呼ばれるものです。コード名についてはいずれまとめて説明しますので、今覚える必要はないのですが、とりあえず読めないと気持ちが悪い人もいるかと思いますので、読み方を紹介しておきます。
C△7 → シー・メジャー・セブンス
Am7 → エー・マイナー・セブンス
Dm7 → ディー・マイナー・セブンス
G7 → ジー・セブンス
また、格子状の線にマルやバツの付いた図は、指板図またはコード・ダイアグラム(chord diagram)と呼ばれるものです。
指板図の見方
ここで指板図の見方を詳しく説明しておきます。
まず左方向がギターのヘッド側、右方向がボディ側になります。
格子状の線のうち、横線はギターの弦で、上から1弦、2弦、3弦、4弦、5弦、6弦になります。縦線はフレットで、その下に付けられた0、1、2、3といった数字は、フレット番号です。
線の上に付いた●、○、×、◎は、それぞれ次のことを意味しています。
*◎は、図中では内側の円が黒ベタになっています)
● = 弦を押さえる
○ = 開放弦(弦を押さえない)
× = ミュート(弦を鳴らさない)
◎ = ルート音
●の「弦を押さえる」というのは、そのとおりの意味です。例えば指板図で4弦の2フレットの位置に●が付いていたら、実際のギターにおいても4弦の2フレットを押さえる、という意味になります。
*「2フレットを押さえる」という表現を使っていますが、実際のギターでは、2フレットの真上ではなく、2フレットと1フレットの間の、なるべく2フレットに近い位置で弦を押さえるようにして下さい。
○の「開放弦」は、弦を押さえない、つまり開放のままにしておく、ということを意味しています。
×の「ミュート」は、その弦は鳴らさない、ということを意味しています。鳴らさない方法には、その弦を弾かない方法と、消音する方法とがありますが、具体的なやり方はいずれ説明します。
◎の「ルート音」とは、その音が「ルート」というものであることを示しているのですが、今日の段階では、◎が1フレット以上の位置に描かれていれば●と同じ意味、0フレット(開放弦)の位置に描かれていれば○と同じ意味だと思って下さい。
指板図が”ひっくりかえっている”理由
先ほどのコード進行の中に出てきた4つのコードの指板図と、それを実際のギターで押さえた場合の写真を比較します。
写真は、ギターを弾いている人の手元を対面から撮影しているので、右方向がヘッド、左方向がボディで、弦は一番上が6弦、一番下が1弦となります。しかし指板図は、写真とは上下左右が逆転しています。
なぜ指板図は上下左右が逆なのかというと、それはギターを弾く人が、自分の左手を上から覗き込んだ状態と同じにするためです。初心者はここで混乱してしまうこともあるようですが、心配は無用! すぐに慣れます。
指板図の表記法はいろいろ
指板図上の●○×◎という記号は、表記法として一般的なものですが、これとは違う表記をする場合もあります。
たとえばフレット番号を表す数字は、フレット(を表す縦線)の真下に描かれていることもあれば、中間に書かれていることもあります。
●、○、◎を区別せずにすべて●で表記したり、×の代わりに何も書かないこともあります。
海外の本やWEBサイトでは、ヘッド側を上方向、ボディ側を下方向にした指板図もよく見かけます。これは本講座の指板図を90度回転させた形になります。
加えて、開放弦を含むコードにはフレット番号が書かれていないこともあります。フレット番号がなくても、どのポジションかは一目瞭然なので、べつに間違いでも手抜きでもありません。
このように指板図の表記法は書き手によって違うことが多いので、初心者の方は一応ご注意下さい。
今日はここまでです。次回のテーマは「Cの構成音と、いろいろな押さえ方」です。
本講座の関連コンテンツ
指板図くんのギターコードブック
コード名を選ぶと指板図が表示されて、音も鳴らせる便利なWEBアプリ。弦を押さえる指の指定やコードの構成音も表示されるので、初心者には特にお薦めです。チューニング・モードもあり!
https://guitarmagazine.jp/guitarchordbook/
*本アプリはスマートフォン、タブレット、パソコン全対応です。
作ろう! マイコードブック
自分独自の指板図やコードチャートを自由に作れる多機能なWEBアプリ。音声機能、自動演奏機能、印刷機能、画像化機能も備え、ギター・コードの学習から、作曲、DTMまで、幅広い用途で役立ちます。
https://guitarmagazine.jp/mychordbook/
*本アプリはパソコン推奨です。
初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座
本講座を書籍化した本です。オールカラーで144ページ。電子書籍もあります。
【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは?
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方
◎Cメジャー・スケールを覚えよう
◎ルートとは?度とは?
◎コードの構成音一覧
◎三和音とは?
◎四和音とは?
◎テンション・コードとは?
◎omit3とは?add9とは?sus4とは?
◎分数コードとは?
◎続・分数コードとは?
◎コードは平行移動で覚えよう
◎続・コードは平行移動で覚えよう
◎フレット数の書かれていないコード・ブック
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック
◎コード・フォームを自分で作る
◎続・コード・フォームを自分で作る
◎自分独自のコード・フォームを作る
◇巻末スペシャル:Fコードの押さえ方と攻略法
◇付録:いろいろ確認できる4つの指板図!