今回のテーマは「Cメジャー・スケール」です。Cメジャー・スケールを覚えると、コードのことがとてもよくわかるようになります。
文・図版作成=ギター・マガジン編集部
Cメジャー・スケールはドレミファソラシド
今日は「Cメジャー・スケール」というものを学びます。
スケール(scale)は日本語で言えば音階で、メジャー・スケール(major scale)は長音階です。そしてCメジャー・スケールは、ド(C)の音から始まるメジャー・スケールのことです。
そのCメジャー・スケールの実体は何かというと、単なるドレミファソラシドです。楽器にはほとんど縁がなかった人でも、ピアノでドレミファソラシドを弾いたことくらいはあるのではないでしょうか。
Cメジャー・スケールをギターで弾く場合は、色々なポジションがありますが、初心者にとって一番弾きやすいのは、次のような開放弦を多く使ったポジションでしょう。
どのフレットをどの指で押さえるかは自由ですが、上の指板図に付いている指の絵と同じように、1フレットは人差指、2フレットは中指、3フレットは薬指にすると、Cのロー・コードを押さえる時の指使いと一致するので、これがお薦めです。
そして6本の線に数字が付いたものはTAB譜(タブふ)と呼ばれるものです。本講座では初めて出てきたので、次にTAB譜の見方を説明しましょう。
TAB譜の見方
TABとはタブラチュア(Tablature)の略で、弦楽器の記譜法の一種です。
たとえば、Cメジャー・スケールに続けてCのロー・コードを弾く、ということを五線譜とタブ譜の両方で表現すると、次の譜面のようになります。
TAB譜の6本の線は、上から1弦、2弦、3弦、4弦、5弦、6弦を表わしています。線の上に書かれた数字はフレット番号です。たとえば下から2番目の線に3という数字が書かれていた場合、それは5弦3フレットの音を鳴らすことを意味します。
ギターの指板上には同じ高さの音が複数の箇所にありますが、TAB譜を見れば、何弦の何フレットの音を鳴らせば良いのかがわかります。また五線譜が読めない人でも、TAB譜だけを見て曲を弾くことが可能です。
こうしたわかりやすさのため、現在、日本で出版されているロック系やポピュラー系のギター譜やギターの教則本は、TAB譜が付いているものがほとんどです。ただし、TAB譜にばかり頼っていると、五線譜の読み書きがなかなか身に付かない、という弊害もあるようです。
Cメジャー・スケールの音の並び方
次に、Cメジャー・スケールの音の並び方を見てみましょう。
この図では音符のすぐ下に書かれている「全音」と「半音」に注目して下さい。Cメジャー・スケールでは、「ドとレ」、「レとミ」、「ファとソ」、「ソとラ」、「ラとシ」が全音の関係にあり、「ミとファ」と「シとド」が半音の関係にあります。
ギターでは、半音はフレット1つ分、全音はフレット2つ分の間隔になります。1本の弦の上にCメジャー・スケールの音を並べてみると、その全音と半音の違いが視覚的にも明らかになります。
次の図は5弦上にCメジャー・スケールの音を並べたものです。
なお、ピアノなどの鍵盤楽器の場合、Cメジャー・スケールの各音はすべて白鍵になります。また半音の関係にある「ミとファ」と「シとド」の間には黒鍵がありません。
「ドレミファソラシド」を「CDEFGABC」や「12345678」と言ってみる
次の図では「ドレミ〜」の下に付いた「CDE〜」のアルファベットと「123〜」の数字に着目して下さい。
CDEFGABCは、ドレミファソラシドの英語読みです。これらのアルファベットはコード名の最初に付くアルファベット(C、C6、C7、C△7などにおける’C’)と実に深い関係にあります。しかし詳しい説明は次回以降にします。
12345678は、ドを基準(=1)とした場合のほかの音の音程を表わす数字です。こちらは、コード名の末尾などにつく数字(C6、C7、C△7などにおける’6’や’7’)と非常に深い関係にあります。これについても詳しい話は次回以降にします。
今日のところは、たとえ理由がよくわからなくても、「ドレミファソラシド」を、「CDEFGABC」や「12345678」と言ってみるクセをつけておいて下さい。
Cメジャー・スケールを覚える練習
次に、Cメジャー・スケールを覚えるための練習方法をいくつか紹介しましょう。
以下で紹介する練習の目的は「ギターの指板上のどこにCメジャー・スケールの各音があるのかを頭に叩き込むこと」にあります。よって速く弾く必要はありません。ゆっくりでかまわないので、ひとつひとつ音を鳴らしながら「これはド(C、1)なのだ、次はレ(D、2)なのだ」と意識しながら弾くようにして下さい。口で、または心の中で、「ドレミファソラシド」、「CDEFGABC」、「12345678」とつぶやきながら弾く練習もお薦めです。
1本の弦だけでCメジャー・スケールを弾く練習
まずは5弦1本だけでCメジャー・スケールを弾く練習です。
▼5弦だけでCメジャースケールを弾く練習
5弦3フレットのドを起点とし、そこから15フレットのドまで、順にドレミファソラシドと上がっていきます(上行)。左手は人差指1本でかまいません。これに慣れたら、譜面には書いてありませんが、逆に15フレットから3フレットに、ドシラソファミレドと下がっていく練習もしてみて下さい。
また、3フレットを起点にし、開放(0フレット)までドシラと下がっていく練習もします(下行)。これらの練習をくり返すことで、5弦上のどのフレットに何の音があるかがつかめてきます。
ところで、「コードを覚えるために、この練習が何の役立つのか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんので、ひとつヒントを出しておきます。
次の図は、C、D、E、Fのコードのハイ・コードを指板図で示したものです。フォームはどれも同じで、ただ押さえるポジションだけが違っています。
そして、これらの指板図の中の二重丸(◎)に注目して下さい。この二重丸が5弦3フレットのド(C)にある時は、コードはCとなり、5弦5フレットのレ(D)にある時は、コードはDになります。同様に、7フレットのミ(E)ならばコードはE、8フレットのファ(F)ならばコードはFになります。
こんな風に、ギターのコードは、ひとつのフォームを指板上で平行移動させるだけで、別のコードに変えることができます。この「法則」は、もっと複雑なコード名を持つコードでも変わりません。このあたりのことについては、この連載で今後、より詳しく説明します。
続いて、次のように6弦だけ、4弦だけでCメジャー・スケールの上行、下行を行なう練習もしておいて下さい。
▼6弦だけでCメジャースケールを弾く練習
▼4弦だけでCメジャースケールを弾く練習
複数の弦でCメジャー・スケールの音を弾く練習
複数の弦を使ってCメジャー・スケールを弾く練習もしましょう。次のタブ譜と指板図は、開放弦から3フレットまでのポジション内で、Cメジャー・スケールを弾く練習です。どの弦であれ、1フレットは人差指、2フレットは中指、3フレットは薬指で押さえるようにして下さい。
▼5弦→1弦でCメジャー・スケールを弾く練習(その1)
ここにおいても、「一体何のためにこんな練習が必要なのか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんので、ヒントを出しておきます。
例えば手元にコード・ブックがなくても、「C△7の構成音はド・ミ・ソ・シである」、「Amの構成音はラ・ド・ミである」「Gの構成音はソ・シ・レである」ということさえ知っていれば、それらのフォームを自分で作ることが可能になります。
次の図のように、コードの構成音を指の届く範囲で探し出せば良いわけです。
こんな風に、Cメジャー・スケールは、コードの習得に大いに使えるわけです。
さらに次のポジションでCメジャー・スケールを弾く練習もしておくと、この先ハイ・コードのフォームを覚えたり、自分でコードを作るときに役立ちます。
▼5弦→1弦でCメジャー・スケールを弾く練習(その2)
▼6弦→1弦でCメジャー・スケールを弾く練習
今日はここまで。次回は、コードの仕組みを知るために最も重要なポイントである「ルート」と「度」について説明します。
本講座の関連コンテンツ
指板図くんのギターコードブック
コード名を選ぶと指板図が表示されて、音も鳴らせる便利なWEBアプリ。弦を押さえる指の指定やコードの構成音も表示されるので、初心者には特にお薦めです。チューニング・モードもあり!
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*本アプリはスマートフォン、タブレット、パソコン全対応です。
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初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座
本講座を書籍化した本です。オールカラーで144ページ。電子書籍もあります。
【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは?
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方
◎Cメジャー・スケールを覚えよう
◎ルートとは?度とは?
◎コードの構成音一覧
◎三和音とは?
◎四和音とは?
◎テンション・コードとは?
◎omit3とは?add9とは?sus4とは?
◎分数コードとは?
◎続・分数コードとは?
◎コードは平行移動で覚えよう
◎続・コードは平行移動で覚えよう
◎フレット数の書かれていないコード・ブック
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック
◎コード・フォームを自分で作る
◎続・コード・フォームを自分で作る
◎自分独自のコード・フォームを作る
◇巻末スペシャル:Fコードの押さえ方と攻略法
◇付録:いろいろ確認できる4つの指板図!