ミュートのやり方 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第20回 ミュートのやり方 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第20回

ミュートのやり方 
初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第20回

今回と次回は、鳴らしてはいけない弦をミュートする方法を紹介します。

文・図版作成=ギター・マガジン編集部

今回と次回の内容は次のとおりです。

今回
1:ミュートとは何か?
2:ミュートの基本的なやり方
3:ミュートの実際例:ロー・コード編
4:ミュートの実際例:ハイ・コード編
5:ミュートの実際例:パワー・コード編

次回
6:なぜミュートが必要なのか?
付録:コードブックにおけるミュートの表記法、他

1:ミュートとは何か?

ミュート(mute)とは日本語で言えば「消音」です。ただしミュートにも色々な意味があり、例えば次のA〜Dはすべてミュートと呼ばれます。

A. 音を鳴らさないようにしておくこと
B. すでに鳴っている音を止めること
C. 音をごく短く切ること
D. 音を弱めること

本講座においては、ミュートという言葉を、A.の「音を鳴らさないようにしておくこと」という意味で使います。またその「音」とは「開放弦の音」に他なりません。

2:ミュートの基本的なやり方

ギターは左手で弦を押さえずに右手で弾くと、開放弦の音が鳴ります(当たり前)。コードを弾く時はしばしば、鳴らしてはいけない開放弦の音、左手の指でミュートする必要が生じます

まず簡単なミュートをやってみましょう。

ミュートの基本

まず左手の人差指で6弦の1フレットあたりに軽く触れて下さい。弦がフレットにつくほど強く押さえてはいけません

この状態で右手で6弦を弾くと、音が一瞬「プツッ」と鳴りますが、すぐに止まります。これがミュートです。なお、6弦の音が長く鳴ってしまった時は、指の力を少しだけ強めるか、押さえる位置を少し変えてみて下さい。

この6弦をミュートする時の左手の指の状態を、ネックの断面図、指板図、写真で表わすと次のとおりとなります。図の中のピンク色の×印が、弦に触れるポイントを示しています。また指板図における指の指定は、これまでは指番号で書いてきましたが、今回は都合上、手の絵で示します。

他の弦を押さえながらのミュート

さて、1本の弦をミュートするだけなら簡単ですが、コードを弾く時は、複数の弦を押さえながら同時にミュートもしなくてはなりません。そのためには、弦を押さえるために使っている指をミュートにも使用する必要があります。1本の指が「一人二役」をこなさなくてはならないわけです。

1本の指で二役をこなす方法の1つは、弦を押さえている指の先端の部分を、その上の弦に触れさせるというものです。次の図と写真は、5弦を押さえている薬指の先端で6弦をミュートしているところです。

2つ目の方法は、弦を押さえている指の腹をその下の弦に触れさせるというものです。次の図と写真は、2弦を押さえている薬指の腹で1弦をミュートしているところです。

指の腹で触れる方法では、押さえている弦の下側にある弦を全部ミュートすることも可能です。

親指を使った低音弦のミュート

6弦をネックの上からまわした親指でミュートする方法もあります。ロー・コードでミュートを行なう時は特にこれが重宝します。

手の大きい人ならば、6弦と5弦の両方を親指でミュートすることも可能です。

以上で、主な左手ミュートの仕方を紹介しました。これら個々のミュート・テクニックを、実際にコードを押さえる時にどう組み合わせて使えばよいのかについて、次項で説明します。

3:ミュートの実際例:ロー・コード編

初心者が最初に練習するのはロー・コードだと思いますので、まずロー・コードにおけるミュートの具体例を紹介します

またここではC△7、Dm7、Em7、F△7、G7、Am7、Bm7(♭5)の7つを題材にします。これらのコードはダイアトニック・コードと呼ばれるものです。

※ダイアトニック・コードというものについて、本講座ではまだ一度も説明していませんが、とりあえずこれら7つのコードを適当に並べるだけで、自然なコード進行が作れます。ミュートの練習をしつつ、コード進行作りの練習などもしてみて下さい。

では、これら7つのコードについて、どの弦をどういった指使いでミュートすれば良いのかを図で解説しましょう。1つのコードにつき2つの方法が示されている場合は、自分にとってやりやすいほうを選んで下さい。

6弦をミュートする。左は薬指の先端、右は親指を使っている。

6弦と5弦をミュートする。左は親指、右は薬指の先端と腹を使っている。

ミュートすべき弦はない。

6弦と5弦をミュートする。左は親指と薬指の先端、右は親指のみを使っている。

ミュートすべき弦はないが、右のように5弦を薬指の腹でミュートしても良い。

左は6弦を親指でミュートしている。ただし6弦開放のE音はAm7の構成音に含まれるため、右のようにミュートしなくても良い。

左は中指の先端で6弦をミュートしている。4弦のミュートは中指の腹か薬指の先端で行なう。右は親指で6弦をミュートしている。

4:ミュートの実際例:ハイ・コード編

次にハイ・コードにおけるミュートの具体例を示します。題材とするコードは、先ほどと同じくC△7、Dm7、Em7、F△7、G7、Am7、Bm7(♭5)の7つです。

またここではあえて複数の弦のミュートが必要になるフォームを紹介します。これらはジャズではよく使われます。初心者にとっては難易度が急に上がりますが、今後のために一度チャレンジしてみて下さい。また紹介する指使いは1通りのみですが、やりにくい場合は別の方法も探ってみてください。

人差指の先端で6弦、腹で1弦をミュート。小指の腹で1弦をミュートしても良い。
中指の先端で6弦、小指の腹で1弦をミュート。

6弦は親指、5弦は人差指の先端でミュート。

5弦と1弦の両方を人差指の腹でミュート。
5弦と1弦の両方を人差指の腹でミュート。

5弦は中指の腹、1弦は薬指の腹でミュート。
6弦は人差指の腹、1弦は小指の腹でミュート。

5:ミュートの実際例:パワー・コード編

パワー・コードでのミュートの仕方も紹介しておきましょう。

※パワー・コードとはルートと5度のみで出来たコードのことで、主にはロック系の曲のリフで使われます。構成音に3度の音がないため、コード名は「□omit3」ですが、「□5」と書かれることも多いです。

パワー・コードは低音側の2本(もしくは3本)の弦だけで弾くことが多いので、右手のコントロールがしっかりしていれば、押さえる弦の両隣さえミュートしておけばすみます。しかし高音弦も含めてミュートすることも容易です。

6弦は人差指の先端でミュート。4弦は薬指の腹でミュート。右のように2弦、1弦を人差指の腹でミュートすることも可能。
4弦は薬指の腹でミュート。右のように3弦、2弦、1弦を人差指の腹でミュートすることも可能。

今回はここまでです。今回の内容を読んで「そもそもなぜミュートが必要なのか」とか「なぜミュートしなくてもよい場合もあるのか?」といった疑問を持った人もいるかと思いますので、次回はそのあたりのことを補足します。

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本講座の関連コンテンツ

指板図くんのギターコードブック

コード名を選ぶと指板図が表示されて、音も鳴らせる便利なWEBアプリ。弦を押さえる指の指定やコードの構成音も表示されるので、初心者には特にお薦めです。チューニング・モードもあり!

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初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座

本講座を書籍化した本です。オールカラーで144ページ。電子書籍もあります。

【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは? 
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方 
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方 
◎Cメジャー・スケールを覚えよう 
◎ルートとは?度とは? 
◎コードの構成音一覧 
◎三和音とは? 
◎四和音とは? 
◎テンション・コードとは? 
◎omit3とは?add9とは?sus4とは? 
◎分数コードとは? 
◎続・分数コードとは? 
◎コードは平行移動で覚えよう 
◎続・コードは平行移動で覚えよう 
◎フレット数の書かれていないコード・ブック 
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック 
◎コード・フォームを自分で作る 
◎続・コード・フォームを自分で作る 
◎自分独自のコード・フォームを作る 
◇巻末スペシャル:Fコードの押さえ方と攻略法
◇付録:いろいろ確認できる4つの指板図!