1週間でアドリブ入門!“マイナー・ペンタ”を覚えよう! 1週間でアドリブ入門!“マイナー・ペンタ”を覚えよう!

1週間でアドリブ入門!
“マイナー・ペンタ”を覚えよう!

「自分の好きな曲に沿って思い描いたフレーズを自在に弾けたら、きっとめちゃ気持ち良いだろうな~☆」。そんなクールな“アドリブ”に惹かれるビギナーに向けた入門講座がこれ。今回はロック・ソロの基本素材である“マイナー・ペンタトニック・スケール”を紹介します。以下にあげた、その基本的な素材を覚える“7日間トレーニング”をクリアすれば、もう脱初心者への扉はすぐそこ。さぁ、張り切ってGO~!

文/譜例作成=安東滋 浄書=Seventh

Introduction
マイナー・ペンタトニックって何?

“マイナー・ペンタトニック”とは、7音構成のマイナー系スケールから2個の音を省略した、計5音で構成されているスケールです(5種類の音で構成されていることから“ペンタトニック・スケール”と呼ばれています)。その例題として、ナチュラル・マイナーと呼ばれる短音階からマイナー・ペンタトニックを導き出す構図をkey=Cmの設定で書き出したのが図①。ご覧のように、【ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・(ド)】の7音階から“レ”と“ラ♭”の両音を省略した、【ド・ミ♭・ファ・ソ・シ♭・(ド)】の計5音で構成されるスケールが“Cマイナー・ペンタトニック”です(俗に言う、“レラ抜き”というやつですね)。

マイナー・ペンタトニックの構成

マイナー・ペンタトニックはRockの基本素材
~これを覚えるとギター・ソロもバッチリ弾ける!

このマイナー・ペンタトニックはシンプル&ストレートなフレーズ感に一番のキャラクターが発色します。ロッキン&ブルージィなメロディ感を弾き出すのにぴったりの、まさに基本中の基本素材と言えるでしょう。逆に言えば、王道ロック・フィールを描き出すこのマイナー・ペンタトニックさえ覚えておけば、多くのシチュエーションでギター・ソロをバッチリ決められる!……というわけです。この音楽的に応用が効きやすい特性に加えて、構成音が少ないので覚えるのも簡単! ここもビギナーには嬉しいところですね(笑)。

ちなみにこのスケールは前述したようにマイナーkeyの中に当てはめるのがベーシックな思考ですが、実はメジャーkeyの中にも組み込むことができる(“ブルー・ノート”を含む音階として使える)とても便利な素材なのです。その点でも、このマイナー・ペンタトニックは多様な音楽スタイルやシチュエーションで万能的に使えるフレキシブルな素材と言えるでしょう。

使いこなすための基礎トレーニング

1日目:まずは基本ポジションを覚えよう

まず最初に、マイナー・ペンタトニックの基本ポジションから覚えていきましょう。図1に書き出したのは、key=Cm(またはkey=C)に対応させた、Cマイナー・ペンタトニックの構成音を1オクターブと少々の範囲に並べた例、それをシンプルに上下行する例題がEx-1です。フィンガリングは図に補記した指使いが一番わかりやすいでしょう。ピッキングは譜面中に記入した“ダウンだけ”と“ダウン&アップの連続”この2タイプの動きを試してみて下さい(このピッキング・スキルの修練は以下の例題についても同様です)。

基本ポジション
譜例1

2日目:音域をげてシーケンスを弾く

次はポジショニングの範囲を2オクターブ強に広げてみましょう(図2)。6弦上にトニック(仮のド)の目標を置く、その音列に3音セットの定形パターンを当てはめた練習課題がEx-2。規則的に移動するシーケンスを縦割りのボックス・ポジション全体に当てはめて弾くエクササイズです。

なおこの譜例は全部の音をピッキングするサンプルですが、同弦上の2音をプリングでつなげて弾くフレージングも試してみて下さい。その節回しもマイナー・ペンタトニック系の常套句の1つです。

基本ポジションの全体(6弦トニック型)
譜例2

3日目:チョーキングを組み込んでみよう

マイナー・ペンタトニックの実践的な使いこなしポイントのひとつが“チョーキング”の投入。前項で紹介した基本ポジションの中に定石チョーキング・ポイントを記入したのが図3、それを含ませた練習フレーズがEx-3です。ポイントは正確な音程作り。3弦10fと2弦11fの両チョーキングはその手前で鳴らす同音のピッチをガイドにして下さい。

なお、チョーキングする際は力の入れやすい薬指が選択されるのが一般的。本項の課題もその慣例に従って、2弦11fと1弦11fの両チョーキング・ポイントに薬指を指定しておきました。ですが手の小さい人は、その定石に拘らずに、これまでの課題でのフィンガリングをそのまま当てはめて小指でチョーキングしてもOKです(実は小指でチョーキングするギタリストも意外に多いんですよ~:笑)。どちらか、やりやすいほうで弾いてみて下さい。

チョーキングの定番ポイント
譜例3

4日目:第2の必須ポジションを覚える

ほかのエリアでもマイナー・ペンタトニックが弾けると音楽的な対応力がぐんと広がってきます。5弦上に目標のトニックを置く、その必須ポジションが図4。これを先に紹介した6弦トニック型の基本ポジションと合わせて覚えておくと機能性がぐんとアップしますので、頭の中にしっかり入れておいて下さい。

基本ポジション(5弦トニック型)

 このポジション取りでのチョーキング入りのエクササイズをEx-4にあげておきます。前例と同様にチョーキングする指は薬指か小指か、どちらかを選択しましょう。16分音符のピッキングは“ダウン&アップ”でTRY!(以降の譜例も同様に)。

譜例4

5日目:基本ポジションを広げてみよう 

基本ポジションを前後に広げると機能性がもう一段階アップします。そのガイドとなる構図を書き出したのが図5。先に紹介した6弦トニック型基本ポジション(図2)の左右に、拡張したブロックをつなげたものです。そのポジション展開でのトレーニング譜例がEx-5。5弦上と3弦上の移動にスライドを絡ませてスムーズに連結していくのも定石です。

拡張ポジションその1
譜例5

もう1つ、前述した5弦トニック型のポジショニング(図4)を軸にした拡張ブロックを図6に書き出しておきますので、これも同様の要領でつなげて弾いてみて下さい。

拡張ポジションその2

6日目:“5ポジション”を完全制覇!(全体像を見渡してみよう)

ここでポジショニングの選択肢をぐぐ~っと深掘りしてみましょう。マイナー・ペンタトニックを素材に縦割り型のボックス・ポジションを作っていくと、図7に書き出した計5個の基本シェイプ(ポジション①~⑤)ができあがります。これがマイナー・ペンタトニックの全体像です。

マイナー・ペンタトニックの全体像(指板図/Key=Cm or C)

これらの音の配列をしっかりと覚えるのはもちろんですが、それと合わせて、各ポジションが互いに接しながら順に連なっている……この全体的な関連性を把握するのも大きなポイントです。この構図が見えればもうマイナー・ペンタトニックのポジショニングはバッチリ!きっと、指板上のどの位置に指があってもこの音階がきっちりと弾けるはず!

この“5ポジション”をすべて通過するメカニカルな例題がEx-6。この課題さえこなせば、同ペンタトニックのデイリー・トレーニングはもう万全!

譜例6
譜例6

7日目:keyを変えて対応力UP!

さて最後の仕上げに、keyを変えてみましょう。やり方は簡単です、ここまでkey=Cmまたはkey=Cの設定で覚えてきた各ポジションをまるごと左右に平行移動させるだけでOK!(これはギターの特権ですよね:笑)。

その移動の目標になるのが、これまで紹介してきた各ポジション図の中に◉印で記入したトニックの音(keyの中心になる主音)。これをガイドにして、その音を移動させたいkeyのアルファベット音名の位置に合致させていけばOKです。

図8にあげたのは、前出の図5をテンプレートにしてkey=Amまたはkey=Aに対応させて平行移動させた例。そのポジショニングで弾いたフレーズ例がEx-7です。同様の要領で、先に紹介した各エクササイズもkeyを変えて弾いてみて下さい。

Key=Am or Aのポジション
譜例7

終わりに

マイナー・ペンタトニックを7日間でサクサクっと覚える基礎トレーニング、いかがでしたか? ここで取り上げた各ステップを順に積み上げていけば、マイナー・ペンタトニックの基本的なポジショニングと使いこなしのスキルがきっと身につくはず! それぞれの課題をクリアして、ビギナーから中級者へとアップデートしましょう!