取材・文=井戸沼尚也 機材写真=星野俊 デザイン・図版=猪野麻梨奈
オーバードライブの定番として1981年以来の長い歴史を持つBOSS SD-1。そのセッティングを6人のギタリストが明かす本企画の4人目として登場するのはtricotのキダ モティフォだ。彼女のように、生まれた時にはもうSD-1があったという世代は、本機をどのように活用しているのだろうか。
KIDA’S SETTING
私の中での歪みの基準
私のSD-1は、もともと私が中学2年でギターを始めた時に父が持っていたものなんです。それを譲り受けて、ずいぶん長い間使っていましたね。tricot初期のミニ・アルバム『爆裂トリコさん』、『小学生と宇宙』あたりはSD-1を使った音です。最初はとてもキレイな黄色だったんですが、そこからけっこうボロボロになって、色が薄くなるまで使い込みました。
そのあとにSD-1Wが発売されてそちらに切り替えてからも、SD-1の音を継承したスタンダード・モードのほうを使っていましたから、やっぱりSD-1の音が自分に馴染んでいるんだと思います。ギターを始めた時から使っている最初のエフェクターですし、私の中で歪みの基準になっているのかもしれません。
具体的な使い方としては、別の歪みペダルで軽く歪みを作っておいて、それをSD-1でもっと押し出すような、ブースター的な使用法です。なので、音が潰れすぎないようにDRIVEは低め。それから、ギター自体の高音がキレイに鳴るモデルを使うことが多いので、ペダル側のTONEはやや絞ります。ツマミが3つしかなくてわかりやすいし、歪みの音もキレイなので本当に使いやすいですよね。値段的にも手に入れやすい価格ですし、軽いけど丈夫で壊れにくいのも便利。最初に使う歪みペダルとしてオススメしたいです。
PROFILE
キダ モティフォ●1989年生まれ。4人組ロック・バンド、tricotのギター&コーラス。アルテロ・カスタム製ギター、フェンダー製トラブルメイカー・テレキャスターなどを愛用。バンドの最新作は7月29日に配信リリースされた『おまえ』。
LAST RELEASE
『おまえ』tricot
avex/cutting edge
デジタル・シングル
本記事は『ギター・マガジン2020年9月号』にも掲載されています。表紙巻頭特集は「シティ・ポップと夏。〜とろける極上ギター・ソロ篇」。ぜひチェックしてみて下さい!