イタリアの伊達男。 エコー 500-3V イタリアの伊達男。 エコー 500-3V

イタリアの伊達男。 
エコー 500-3V

個性的な魅力で多くのギタリストたちを虜にする“ビザール・ギター”を、週イチで1本ずつ紹介していく連載、“週刊ビザール”。今週はイタリアが誇るビザール界の至宝=エコーからの1本をご紹介しましょう。目の覚めるようなブルー・スパークル・トップが目を惹く500-3Vです!

文=編集部 撮影=星野俊、小原啓樹 ギター提供=伊藤あしゅら紅丸、アンダーニース、池辺楽器店 ハートマンヴィンテージギターズ、イシバシ楽器新宿店、Bridge guitars、岩田圭市、リンテ・井藤、Kage Koh、中村宗一郎

ド派手なフィニッシュが目を惹きます。

どのポジションもわりと使える!

他ヨーロッパ諸国と比較してもイタリア製ギターは変わったものが多く、イタリアン・ビザールだけでも十分特集が組めそうなほど。ビザールを突き詰めるとイタリアに行き着く、なんてことも言うとか言わないとか。まさにビザール大国である。

1958年創業のエコーはイタリアン・ビザールを代表するブランドで、ボディ全体にど派手なフィニッシュのセルロイドを貼るのが得意技。本器のブルー・スパークル・トップも実に鮮やかである。ほかにも、ヘイゼル、シルバー・スパークル、レッド・スパークルがある。これはアコーディオンの製造技術の応用とも言われているが、創業者オリビエーロ・ピギーニの叔父であるマリオ・ピギーニもアコーディオン工場を持っていた。

オリビエーロ自身はユーゴスラビアからギターの輸入を行なっていたが、そのクオリティに満足がいかず、1958年にイタリア製ギターを作るべく修道院のなかに工場を作ったそうだ(そんなのアリか?)。その後、第一工場はすぐに多忙を極め、イタリアのレカナティにも工場をオープンする。

自社製品のほかにもヴォックス、ワンドレ、アヴァロン、ダヴォリ、ゴヤなど他ブランドのOEM生産も多数引き受けており、ビザール・ギターの中にエコー製が多いのはそのためだ。さらに弱小のメーカーを買収するなどして大きく勢力を伸ばし、わずか10年足らずの1967年にはエコー・ブランドで42種類ものラインナップを誇っていたというから、商業的には大成功だろう。

ただ、60年代後半に創始者のオリビエーロが交通事故でこの世を去ると、エコーもギター史からはフェードアウトしていく。

エコー 700-4V。

代表的なモデルとしてはロケット・ギターの愛称で知られるROKⅥを始め、700-4V、カデットといったいわゆるビザール系のほかに、ES-335シェイプのバラクーダやストラト風のランサー、へフナー的なバイオリン・シェイプのものなど、コピー系のモデルがある。この500-3Vは、思いっきりジャズマスター/ジャガーを意識したボディ・シェイプだが、全体的にパキっとしたサウンドはむしろテレキャスター寄りだ。ピックアップごとの音色については以下の写真と一緒に見ていこう。

エコー 500-3V/1960年代製

エコーを始め、この時代のビザールに見られるボタン式のピックアップ・セレクターは、アコーディオンの機構に由来するものらしい。左から、M=3つのミックス、1=フロント、3=リア、1+3=フロント+リア、2=センターのみ、0=オフとなる。実際に弾いてみたところ、ほかのビザール・ギターに比べるとフロントのみでも極端にこもることがなく、きらびやかなクリーン・サウンドを出すことができた。リアのみ、センターのみはどちらもジャキジャキとしたサウンドである。フロントとリアのミックスにするとやや太くなり、テレキャスターのセンターのような雰囲気もある。実際に演奏で使うなら、1+3の使い勝手がよさそうだ。

ステイプル・ポールピース・タイプのピックアップ。3シングル構成の本器だが、サウンド傾向として全体的にリッチで、どのポジションでもそれなりに使える音がする。ビザール・ギターではむしろ珍しいと言えそうだ。

指板材はローズウッドで、ゼロ・フレットを採用。ネックの材は不明だが、細めで薄いシェイプだ。

ビブラート・ユニットは、サーフ・ロック的サウンドのもの。アームとボディの隙間が狭く、押し込むというより、ボディから離すような動きを想定しているのかもしれない。

ブルーとホワイトの間に挟まった、ゴールドのバインディングがゴージャスだ。

ヘッド裏には“MADE IN ITALY”の文字が。ペグの機構も少し変わっている。

本記事はギター・マガジン2016年9月号『弾きたいビザール』に掲載された記事を再編集したものです。本誌では、哀愁たっぷりのシェイプを持つ愛しいギターをこれでもかと紹介。好事家のプロ・ギタリストたちが持つビザール・ギターも掲載しています。