Axis’ Gear|ミヤ(MUCC)配信ライヴ用にシステムを再構築! Axis’ Gear|ミヤ(MUCC)配信ライヴ用にシステムを再構築!

Axis’ Gear|ミヤ(MUCC)
配信ライヴ用にシステムを再構築!

MUCCの無観客配信ライヴ<~Fight against COVID-19 #3~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION』>が、去る2020年9月20日に開催された。最初のリモート・ライヴも含めると今回で3回目となるオンラインでのライヴだが、サウンド・エンジニアも務めるギタリストのミヤは配信での音質にも一切妥協なし。これまで2回行なったライヴで改善点を洗い出し、配信用のシステムとしてさまざまな機材を再構築したそう。今回は取材班も新型コロナ・ウイルス対策を万全に特別に現地へ潜入、ライヴ機材を撮影させてもらった。

文=編集部 写真=星野俊(機材)、Susie(ライヴ)


今回の無観客配信ライヴ<~Fight against COVID-19 #3~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION』>では、多くのギターが登場した。気になるサウンド・システムの前に、まずはミヤの使用ギターから見ていこう。

Guitars

Hapas Guitars
SLUDGE 727

近年ミヤがお気に入りのドイツ製ブランド=ハパス・ギターズ。本器は今回のライヴでメインとして活躍した1本で、2020年7月頃に入手した個体だ。TLシェイプで7弦のエクストラ・ロング・スケールは初代ハパス・ギターズと同様だが、リア一発仕様で音も硬質かつモダンな印象とのこと。今回はドロップGチューニング用として用意された。「惡-JUSTICE-」、「CRACK」、「World’s End」などで登場。

Hapas Guitars
SLUDGE 727 Custom Shop Limited

Instagramでひと目惚れ、直接連絡すると“日本ではまだ売ったことないけど、送れるよ”と言われ購入したハパス・ギターズのSLUDGE 727。実際に弾いてみるとサウンドもミヤ自身とマッチし、メイン器となった。メイプル指板で“サンバースト・モデルよりクリーンな音”とのこと。ちなみに、前出のサンバーストが3本目のハパス・ギターズ・モデルで、2本目はサンバーストの6弦仕様をオーダーしたそう。

Mayones
Regius 7

ポーランドを拠点に展開しているメイワンズのRegius 7。ミヤ曰く“ハパス・ギターズとは真逆で、すごくバランスが良い”とのことで、高音域から低音域まで分離感も良くきれいに出力されると語っていた。音も“ゴツゴツしすぎていない”ため明るめの曲で使用するそうで、今回は「My World」で登場した。ボリューム・ノブがはずされているのは、弾いている時に右手が当たってしまうため。

dragonfly
EXL-7st

ミヤがdragonflyと共同開発したEXL-7st。2016年頃まで7弦のメインとして活躍していた本器だが、今回はハパス・ギターズのバックアップとして用意され、登場はなし。ボディはフレイム・メイプル・トップのホンジュラス・マホガニー・バック、ネックがメイプルで指板がローズウッドという材構成。メイワンズRegius 7と同様、ボリューム・ノブがはずされている。

MAYBURY Guitars
Recycled RAM T-TYPE

イギリスのメイブリー・ギターズが手がけた、スチーム・パンクな見た目のTLタイプ。古材や廃材を活用した“アップスケーラー・ギターズ”というシリーズをラインナップしており、本器もそのひとつだ。ミヤはInstagramで見かけてデザインが気に入り、怖いもの見たさで注文したそう。古材を使っているからか、“めちゃくちゃビンテージの音がするんです”と本人も語っていた。

Yamaha
Revstar RSP20CR

ルックスに惹かれて購入したそうだが、サウンド面も気に入り最新アルバム『惡』のレコーディングでも活躍したヤマハのRevstar RSP20CR。現在は6弦ギターのメインとして使っているが、今回はセットリストの内容的に登場する場面はなく、メイブリー・ギターズTLタイプのバックアップとして用意されていた。改造点はなく、オリジナルの状態で使用している。

dragonfly
Border Custom 666

ドロップCチューニング用のギターとして用意しており、今回はアンコールで演奏した「ハイデ」、「TONIGHT」で使用された。本器はミヤが初めて入手したドラゴンフライ製ギターのうちの1本で、ダークで激しい音が特徴とのこと。続くトランス・ダーク・グリーンとはコントロールが異なり、こちらは一般的なボリューム&トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター。

dragonfly
Border Custom 666

ウォルナット・カラーのBorder Custom 666のサブとして用意された、トランス・ダーク・グリーンの同型モデル。コントロールがボリュームとハイ/ロー・パス・フィルターで、ふたつのミニ・スイッチは各ピックアップのコイルタップ用。ボディの意匠は友人のペインターによるもので、背面には近年のお気に入りブランド=アースクエイカーデバイセスのステッカーが貼られている。

Fender
American Acoustasonic Telecaster

アコースティック・サウンドが必要な「月の夜」、「月の砂丘」で登場したフェンダーのAmerican Acoustasonic Telecaster。通常はポジション5の“コア・アコースティック”で使用し、「月の夜」のソロではポジション1のエレクトリック・サウンドを選択して演奏していた。ソロ中にはチョーキングする場面もあったが、弦はアコースティック用のブロンズ弦を張っている。

Fernandes
TE-85

ミヤが高校生の頃に入手したフェルナンデスのTE-85。インディーズ時代から弾き倒してきた本器は、“ほぼビンテージのボディ”ということで、搭載されているEMGピックアップとの相性がどんどん良くなってきているそう。枯れたきらびやかなビンテージ・サウンドを最大限生かすよう、クリーン・サウンドが印象的な「流星」で使用された。本人曰く“手放せない1本”とのこと。

続いて、配信ライヴ用にアップデートされたというサウンド・システム周りへ。

PEDALBOARD SECTION

各セクションの内容は下にて詳述するとして、まずはボードの全体像をご紹介しよう。

こちらがメイン・ステージ用のボード。左側のボードAを主軸に、右側のボードBを飛び道具的な用途でプラスしている。

テック操作用の拡張ボード。

クリスタル・ピアノが設置されたサブ・ステージ用のボード。

ボードA(メイン・ステージ用①)

A1ーFREE THE TONE/JB-82S(ジャンクション・ボックス)
A2ーFREE THE TONE/ARC-4(プログラマブル・スイッチャー)
A3ーFREE THE TONE/EFS-3(EXスイッチ)
A4ーJHS Pedals/Muffuletta(ディストーション/ファズ)
A5ーJHS Pedals/Colour Box(コンソール・シミュレーター)
A6ーMORLEY/Bad Horsie Liberty Wah(ワウ・ペダル)
A7ーJ.Rockett Audio Designs/ARCHER(オーバードライブ)
A8ーFREE THE TONE RM-1S(リング・モジュレーター)
A9ーBOSS/DM-3(アナログ・ディレイ)
A10ーBOSS/PS-3(ピッチシフター/ディレイ)
A11ーJHS Pedals/Little Black Buffer(バッファー)
A12ーEarthQuaker Devices/Disaster Transport SR(MODディレイ/リバーブ)
A13ーBOSS/CE-1(コーラス)
A14ーCooper FX/Generation Loss(Lo-Fiフィルター)
A15ーMXR/M234 Analog Chorus(コーラス)
A16ーGamechanger Audio/PLASMA COIL(ファズ)
A17ーFREE THE TONE/PA-10G(プログラマブルEQ)
A18ーSonic Research/ST-200(チューナー)
A19ーFREE THE TONE/PHA-1(フェイズ・インバーター)
A20ーFREE THE TONE/MB-5(MIDIスルー・ボックス)

ギターからの信号はジャンクション・ボックスA1を経由してスイッチャーA2へ。スイッチャーA2はEXスイッチA3でコントロールを増設し、各種ループをコントロールしている。まずファズ系を管理するセパレート・ループ8に入り、A4、A5を制御。ループ1にはワウA6、ソロ用のループ2はA7〜A8、ループ4がA9〜A12を経たのちボードBへ続く。ループ5はコーラス用でA13〜A15、ループ6がA16からボードBへ。ループ7にはプログラマブル・イコライザーA17で、必要な際にインサートする。ループ3はボードCのARC-53M(C1)へ。

ボードB(メイン・ステージ用②)

B1ーFREE THE TONE/JB-82S(ジャンクション・ボックス)
B2ーBOSS/TE-2(エコー)
B3ーBOSS/DM-2w(アナログ・ディレイ)
B4ーDEMEDASH/T-120(MODエコー)
B5ーEarthQuaker Devices/Afterneath(ディレイ/リバーブ)
B6ーEarthQuaker Devices/Ghost Echo(ゴースト・エコー)
B7ーGamechanger Audio/PLUS PEDAL(サステイン・ペダル)
B8ーAnasounds/AGES(トレモロ)
B9ーEarthQuaker Devices/Aqueduct(ビブラート)
B10ーBOSS/PS-5(ピッチシフター)
B11ーAnasounds/Spinner(EXペダル)
B12ーJHS Pedals/Stutter Switch(ミュート・スイッチ)
B13ーShin’s Music/Perfect Volume(ボリューム・ペダル)

こちらのボードBは、ボードAのスイッチャーA3のループ4とループ6につながっている。ループ4がA9〜A12からジャンクション・ボックスを経由してボードBのB2〜B7という順につながっている。ループ6は、ボードAのA16からジャンクション・ボックスを経由してB8〜B10と順に接続。B11はトレモロB8のEXPペダルで、演奏中にプロペラを蹴っ飛ばすと、回転速度に応じてトレモロのスピードを変えられる。残念ながら今回のライヴ映像には収録されていないようだ。B12はスイッチャーA3の前段に配置されたミュート・スイッチで演奏中の休みパートの際に踏む。

ボードC(バックステージ側)

C1ーFREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
C2ーVoigt-Kampff/Big Muff Mod(ファズ)
C3ーEarthQuaker Devices/Sunn O))) Life Pedal(オクターブ・ディストーション)
C4ーJ.Rockett Audio Designs/ARCHER Ikon(オーバードライブ)
C5ーEarthQuaker Devices/Plumes(オーバードライブ)
C6ーAnasounds/UTOPIA(アナログ・ディレイ)
C7ーLeqtique/ProVoost(ブースター)
C8ーGFI System/Specular Tempus(ディレイ/リバーブ)
C9ーapi/TranZformer GT(プリアンプ/コンプレッサー/EQ)
C10ーFREE THE TONE/ARC-4(プログラマブル・スイッチャー)
C11ーFREE THE TONE/EFS-3(EXスイッチ)
C12ーOne Control/Minimal Series AB BOX(ABボックス)
C13ーSonic Research/ST-200(チューナー)
C14ーKORG/Pitchblack Custom(チューナー)
C15ーBOSS/FS-5L(EXスイッチ)

メイン・ボードAのスイッチャーA2のループ3にこのボードがつながっており、中央のC1を始点に各ペダルが制御されている。ファズ系としてC2〜C4、メインのクランチとしてC5、ディレイとリバーブとしてC6〜C8を用意。C9はラインの音に味付けをするために、すべての前段に入っている。スイッチャーC10はスイッチャーA2のスレイブで、テックが操作する。C2はイギリスのヴォイト-カンプフによるビッグマフ・モディファイで、見た目を気に入り購入。Bass、Trebleコントロールが追加されているほか、歪みのキャラクター調整、筐体ジャック側にある“メーターの針の振れ具合”を調整するツマミなど、ユニークな仕様だ。ABボックスC12はテックがチューニングする時に使用する。

ボードD(サブ・ステージ用)

D1ーShin’s Music/Perfect Volume Hybrid(ボリューム・ペダル)
D2ーFREE THE TONE/JB-21(ジャンクション・ボックス)
D3ーFREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
D4ーAnasounds/SAVAGE(オーバードライブ)
D5ーEarthQuaker Devices/Disaster Transport(MODディレイ)
D6ーBOSS/DM-3(アナログ・ディレイ)
D7ーJHS Pedals/The VCR(ボリューム/コーラス/リバーブ)
D8ーJHS Pedals/The VCR(ボリューム/コーラス/リバーブ)
D9ーBOSS/TU-3s(チューナー)

クリスタル・ピアノが設置されているサブ・ステージ用のボードで、フェンダーのAmerican Acoustasonic StratocasterとフェルナンデスTE-85をつないで使われていた。接続順はまずボリューム・ペダルD1に入り、ジャンクション・ボックスD2を経由してスイッチャーD3、各ペダルをループさせたのち、D2を経由してKemperへ出力される。D3のループは、D4〜D8の順番どおり。D7&8のThe VCRは用途違いで使用しており、D7はコーラス用、D8はクリーン・ブースター&リバーブとしてかけている。このボードではディレイやコーラスがおもに使われ、歪みは基本的にKemper側で設定しているそうだ。Acoustasonic StratocasterもKemperをDI的に使用しており、今回は“このアプローチがすごく良かった”と語っていた。

AMPLIFIER SECTION

続いてアンプ・セクションとして、ラック・エフェクトも含めて見ていこう。全体はメイン・ステージ用とそのバックアップ、そしてサブ・ステージ用という構成だ。メイン・ステージ側をA、サブ・ステージ側をBとして、まずはAを紹介する。

アンプ・セクションA

A1ーKEMPER/Profiler Rack(プロファイリング・アンプ・シミュレーター)
A2ーBOSS/SE-70(マルチ・エフェクター)
A3ーBOSS/SE-70(マルチ・エフェクター)
A4ーDrawmer Electronics/DS201(ノイズ・ゲート)
A5ーNEVE/3415X(マイク・プリアンプ)
A6ーFURMAN/PL-PLUS DMC(パワー・コンディショナー)
A7ーFREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
A8ーBOSS/OC-3(オクターバー)
A9ーBOSS/PS-3(ピッチシフター/ディレイ)
A10ーKEMPER/Profiler Rack(プロファイリング・アンプ・シミュレーター)
A11ーBOSS/SE-70(マルチ・エフェクター)
A12ーWarm Audio/WA273(ステレオ・マイク・プリアンプ)
A13ーFURMAN/PL-PLUS DMC(パワー・コンディショナー)

以上がメイン・ステージ用のアンプ・セクションA。3枚目の写真に映るケンパーがバックアップ用で、写真1枚目のケンパーとほぼ構成を同様にセットアップしている。ポイントはA5やA12などのプリアンプで、このあたりが“ライヴならではの空気感”を演出する要素だそう。A7はアンプのセンド/リターンにつながれ、マルチ・エフェクターA2、ペダルA7〜8をループさせてプログラムしている。

アンプ・セクションB

B1ーKEMPER/Profiler Head(プロファイリング・アンプ・シミュレーター)
B2ーBOSS/SE-70(マルチ・エフェクター)
B3ーWAVERIDER/WR-81(マイク・プリアンプ)
B4ーNEVE/1066(マイク・プリアンプ)
B5ーNEVE/1066(マイク・プリアンプ)

こちらがサブ・ステージ用のアンプ・セクションB。フェンダーのAcoustasonic Telecasterを使用する時はケンパーをDI的に使用するため、B3〜B5といったマイク・プリアンプによる“演出”が重要になってくる。

INFORMATION
今回の配信ライヴが映像作品化決定!!

「~Fight against COVID-19 #3~『惡-THE BROKEN RESUSCITATION』
MUCC

DANGER CRUE/MSHN-088(Blu-ray)、MSHN-089(DVD)/2020年11月25日リリース

―Track List―

01.惡-JUSTICE-
02.CRACK
03.海月
04.アイリス
05.TIMER
06.Friday the 13th
07.カナリア
08.月の夜
09.月の砂丘
10.流星
11.アルファ
12.目眩 feat. 葉月(lynch.)
13.World’s End
14.My WORLD
15.蘭鋳 feat. 葉月(lynch.)
〜encore〜
16.ハイデ
17.TONIGHT

―Guitarist―

ミヤ