Sound Analysis機材から探る第2期JBGサウンド Sound Analysis機材から探る第2期JBGサウンド

Sound Analysis
機材から探る第2期JBGサウンド

ジェフ・ベックは活動の時々でそれぞれアイコニックな存在となるギターを抱えている。セイモア・ダンカンが手がけたテレギブや、リフィニッシュされた1954年製レス・ポール=オックスフォードなどなど……。ここではそんな彼が第2期ジェフ・ベック・グループで手にしていたギターや機材について語りたい。

文=久保木靖 Photo by Blick/RDB/ullstein bild via Getty Images

自身の“声”となるストラトキャスターとの出会い

ベックは過去のインタビューで、“自分の演奏スタイルはボーカリストたちにインスパイアされた”と語ったことがある。確かにギターという楽器は、チョーキングやスライド・バーを活用することで声のように半音未満のピッチ・コントロールが可能だ。それに加えて“アーム”という武器を手に入れたことで、ベックの表現力は新たな領域に入った。そう、その後ずっとメインの愛器となるストラトキャスターの入手である。

ざっくりと、ヤードバーズ時代=テレキャスター、第1期ジェフ・ベック・グループ(以下JBG)=レスポールと変遷してきたベックのギターだが、『Beck-Ola』(1969年)あたりから、ジミ・ヘンドリックスの影響もあり、ストラトが登場する。第2期JBG時代となると、おそらく何本ものストラトを持っていたと思われるが、最も印象的なのは、ドイツのテレビ番組『Beat Club』に出演した際(1972年)に使っていた、通称“フランケン・ストラト”だろう。

これは、塗装を剥がしてナチュラル・フィニッシュ風にした1966年製のボディに、2つのストリング・ガイドが付いたラージ・ヘッド/ローズ指板(1971年以降製)のネックを取り付けたもの(下写真で手にしているのは、ネックの付け替え前のもので、まだスモール・ヘッド/メイプル指板だ)。ピックガードがカッタウェイ横の部分でカットされており、これはブースターを内蔵したスイッチが付いていたという説もあるが、真偽は不明だ。そしてフロントPUのみ、ポールピースの短い1954〜1955年製のものがマウントされている。このようにさまざまな部品を組み合わせているために、“フランケン”と呼ばれるにいたった1本だ。

このストラト以外には、『Beck-Ola』の頃に入手したホワイト・フィニッシュでローズ指板のものがある。こちらもネックが度々付け替えられた可能性があり、それぞれの特定は困難。もしかしたら、のちに『Wired』(1976年)のジャケットにお目見えするものかもしれない。

アンプはこの時期、ストラトのキャラクターを最大限に活かすために、マーシャルのヘッド&ボトムというシンプルなセットアップを基本としていた。ただ、サンやオレンジ、フェンダーなどを使ってる写真もあり、さまざまなものを試していた時期だったのかもしれない。ちなみに、『Jeff Beck Group』(1972年)のプロデュースを務めたスティーヴ・クロッパーの“レコーディングで使用されたのは私のOld Tweed Gibson Comboだった”という証言もあるが、これも真偽のほどは定かではない。エフェクターに関しては、歪み系はカラー・サウンドのOverdriveとTone Bender 、ワウはジェンのCry Babyというのが、当時のステージ写真で確認できる。