Axis’ Gear|GUNN&祖堅正慶(The Primals)FINAL FANTASY XIV DIGITAL FAN FESTIVAL 2021 Axis’ Gear|GUNN&祖堅正慶(The Primals)FINAL FANTASY XIV DIGITAL FAN FESTIVAL 2021

Axis’ Gear|GUNN&祖堅正慶(The Primals)
FINAL FANTASY XIV DIGITAL FAN FESTIVAL 2021

2021年5月15日〜16日に開催された“FINAL FANTASY XIV DIGITAL FAN FESTIVAL 2021”で、最終日のラスト・ステージを務めたTHE PRIMALSのライブ機材を撮影成功! 先日ギタマガWEBにアップしたライブ・レポート記事と合わせてチェックしていこう。

取材・文=福崎敬太 機材撮影=星野俊 ライブ写真=築地 孝典、大谷ZUN純一朗、アンザイミキ、千葉 美珠々

GUNN’s Guitars

Squier J Mascis Jazzmaster

スクワイヤのJ Mascis JazzmasterがTHE PRIMALSにおけるGUNNのメイン・ギター。家弾き用として購入したものの、使っているうちにそのグリップ感やジャンボ・フレットのモダンな弾き心地を気に入り、チューンナップを施しながら徐々にメインとして昇格してきた1本とのこと。アノダイズド・ピックガードを自身で黒く塗り替えたほか、プリセット・コントロールのバイパス処理やボリューム・ポットをハイパス・フィルター仕様に変更するなど、ライブ使用に合わせた改造が施されている。

Fender FINAL FANTASY XIV Stratocaster

この日のステージでお披露目となった、フェンダーと『ファイナルファンタジーXIV』とのスペシャル・コラボ・ギター。こちらはプロトタイプで、ジョイント・プレートに印字されたロットナンバーは“000”。リア&センターがシリーズ接続になるプッシュ/プッシュ式スイッチ=“リミット・ブレイク・スイッチ”をトーン・コントロールに搭載した、幅広いサウンドが得られる1本だ。ボディは土台となる木材に特別な技法で樹脂を接合したもので、“光”と“闇”を表わしているそうだ。

1980s Fender American Standard Telecaster

「輝ける蒼 〜希望の園エデン:覚醒編〜」でのみ使われたAmerican Standard Telecasterは、“知人から魂ごと預かっている”という1本。ドロップDチューニングで使用し、ピックアップはリアを選択していた。トーンとボリュームはフルで、“ギャリっとするテレキャス・サウンドがほしい時”に登場する。フチなしのブリッジ・プレートや指板のフラットさがお気に入りとのこと。また、改造は特に施されていないが、 黒く塗り替えたピックガードの塗装が、長年の愛用で剥がれている。

1968 Les Paul Custom

知人から“魂ごと”預かっているというビンテージのLes Paul Custom。1968年製の貫禄たっぷりな個体で、「Shadowbringers」で“枯れたハムバッカー・サウンドが必要だった”という理由からステージに登場した。弾き込まれており、ネック裏の塗装もほぼ剥がれ落ちているのがなんともクール。ビグスビーB7があと付けされているほか、フレットもジャンボ・タイプに打ち変えられている。ピックアップなどの電装周りはオリジナルとのこと。

Aria Pro II PE-5350 GE

PE-5350 GEは「究極幻想」で使われた。GUNNが知り合いのアリアプロ2のスタッフと“P-90のLes Paul CustomみたいなPEがあったら”という雑談をしていたところ、のちに楽器フェアで再会した時に“GUNNさん、あれ作ってみたんです”と製品化。ヒールレス・ジョイントや小ぶりなサイズ感からくる演奏性の高さがお気に入りだが、新しいギターの音ということで育てている途中とのこと。プラスティック・パーツまで黒で統一したルックスがクール。トーン・ツマミのステッカー・カスタマイズもポイントだ。

SOKEN’s Guitars

Fender Starcaster

祖堅のメイン・ギターはこのスターキャスター。フェンダーのショウルームで一目惚れし、コンビニへ駆け込みお金を引き出してその場で即購入した1本とのこと。小柄な祖堅にとって抱えた時にしっくりくるサイズ感だったことも入手理由のひとつで、音的にもフェンダーらしいサウンドとハムバッカーの太い音が出せるユーティリティさが気に入ったそうだ。甘い単音でのプレイ時はフロント・ピックアップ、コード弾きで抜けるサウンドが欲しい時はリアという使い分けで、トーンは曲によって感覚的に細かく調整している。

Fender FINAL FANTASY XIV Stratocaster

祖堅のFINAL FANTASY XIV Stratocasterも、もちろんGUNNと同仕様のロットナンバー=“000”のプロトタイプ器。曰く“アベフトシさんのカッティングが好きで、気づいたら持っているギターがフェンダーばっかりだった”そうで、今回のコラボについても“めちゃくちゃ嬉しい”と語っていた。何度も試行錯誤を重ね、ピックアップはV-Mod Single-Coil Stratをチョイス。“リミット・ブレイク・スイッチ”と合わせて、THE PRIMALSで必要なあらゆるサウンドに対応できるようになったと話してくれた。

Fender FINAL FANTASY XIV Stratocaster

ホーン部分の透明さがよりわかるように、うしろから光を当ててみた。

GUNN’s Sound System

Mesa/Boogie/Dual Rectifier
DigiTech/GSP1101
Marshall/JCM 800 2203 Mod.

GUNNのサウンド・システムだが、まずは上写真のアンプ側から解説しよう。マーシャルのセットはサブで、メインのシステムはデジテックのギター・プロセッサー=GSP1101とメサ・ブギーDual Rectifierの組み合わせ。GSP1101が2台あるが、下段は予備とのこと。

今回は曲順や曲目の都合によりサウンドの切り替え箇所が多いため、普段のペダルボードは使わずにGSP1101を選択している。また、プリアンプ段をGSP1101で賄っているため、メサ・ブギー側にはリターン入力で送りパワーアンプとして使用する。つまりギターからの信号としては、ワイヤレスからチューナーへ入り、GSP1101、後述するペダル類と進んで、Dual Rectifierのリターン、という順序だ。

ちなみに、今回のライブでの音には関連しないが、アンプの仕様についても補足しておきたい。まず、Dual Rectifierはチューブをメサ・ブギーの純正に交換してバイアス調整を施している以外は特に大きな改造はなし。マーシャルのJCM 800はマスター・ボリュームを増設し、PRESENCEコントロールを背面に移設している。

最下段はシュアーのワイヤレス・レシーバーULXD4。上2段はどちらもデジテックのギター・プロセッサーGSP1101で、下側は予備として準備。内部で複数のサウンドをプリセットしている。

こちらはラック上に設置されたペダル類。ワイヤレス・レシーバーからの信号は足下のチューナーを経由してGSP1101、エキゾチックのEP Booster→MXR ten band eq、Dual Rectifierのリターン端子へと進む。
今回のライブではアンプ側の設定は関係ないが念のため紹介。GAIN、TREBLE、MID、BASS、PRESENCEの順に、クリーン・チャンネルが9時、2時、3時、1時、11時。歪み側が1時、3時、9時、9時、9時。

今回はサブとしての用意だが、もちろん普段も使っている。セッティングはPRE-AMP=9時、MASTER=3時、TREBLE=7時、MIDDLE=2時半、BASS=4時、MASTER 2=12時。ポスト段のマスター・ボリュームは入手時に増設されていたそう。

GUNN’s Pedalboard

GUNNの足下はGSP1101のコントローラー、CONTROL2とコルグのチューナーPitch Blackのみとシンプルにまとめられている。CONTROL2の各スイッチには踏みやすいようにスイッチ・キャップが付いているが、“9”と“10”は使用頻度が少ないため誤動作防止として付けていない。また、この日は登場しなかったが、メインボードも当日は持ってきていたため、以下で特別に解説しよう。

COLUMN:GUNN’s Main Pedalboard

【Pedal List】
①KATANASOUND/BLUE STRIPE(コンプレッサー/リミッター)
②Ibanez/WD7JR(ワウ・ペダル)
③FREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
④TC Electronic/Nova Repeter(ディレイ)
⑤Neunaber Audio Effects/Immerse Reverberator MkII(リバーブ)
⑥Ernie Ball/VP Jr.(ボリューム・ペダル)
⑦TECH21/Sansamp GT2(プリアンプ)
⑧Boot-Leg/Jaw Breaker(オーバードライブ)
⑨Danelectro/Big Spender(ロータリー・スピーカー・シミュレーター)
⑩Guyatone/MT2(チューナー)
⑪Z.VEX/Fuzz Factory(ファズ)
⑫ANASOUNDS/BITOUN FUZZ(ファズ)
⑬Noah’s ark/AC/DC-1(パワーサプライ)

GUNNのメイン・ボードはファズを気分で入れ替えるというこのセットが基本。ギターから①に入力後、②〜⑥を経由してアンプへ出力される。スイッチャー③の各ループに⑦〜⑨がそれぞれ番号順に接続され、チューナー・アウトから⑩につながっている。

アンプ側をクランチ気味にして、⑧で歪み感をプラスし、⑦は逆に出力を押さえてクリーンにするために使用しているそうだ。

⑪⑫のファズは気分によって歪みペダルと交換したりスイッチャーのあとに追加する。全体の音量感をコントロールするため、ボリューム・ペダルは最後段というのもこだわりポイントだ。

SOKEN’s Sound System

Marshall JCM2000

祖堅のサウンド・システムは至ってシンプルで、ギターからTCエレクトロニックのpolytune(チューナー)、エキゾチックEP Booster(ブースター)、ズームのG3(マルチ・エフェクター)を経由して、マーシャルJCM2000という接続順。ちなみにこのマーシャルは祖堅が所属するスクウェア・エニックスの備品とのことで、THE PRIMALS以外でもイベントの際に使用されることもあるそうだ。

アンプのセッティングに関しては感覚的で、基本的にはULTRA GAINチャンネルを選択する以外、ツマミについては“テープでバミッてあるところに合わせてなんとなく”という程度の調整。

チャンネルBを選択し、GAIN=10時、VOLUME=11時、BASS=8時、MIDDLE=12時、TREBLE=10時、PRESENCE=7時。リバーブはアンプ側ではほぼかけていない。

SOKEN’s Pedalboard

“EP Boosterがありますが、基本的にはアンプ直です”と祖堅本人が語るとおり、ライブ中も頻繁に足下を操作する様子は見られなかった。しかも、自身の立ち位置よりうしろに位置するアンプの真下にペダル類が設置されているので、そもそも演奏中の操作は考慮していないのだろう。コンプレッサーやディレイを曲によってかける必要がある際はG3でカバーするが、こちらも使用頻度はそれほど高くないとのこと。

INFORMATION

THE PRIMALSは、ARCHITECTSで活躍中のサム・カーターをメインボーカルに迎え、2021年11月23日(火)発売予定の拡張パッケージ『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ』のメインテーマを担当することも決定している。