約4年ぶりとなる新作『Turntable Overture』をリリースしたカーネーション。ここでは、直枝政広の使用機材を紹介しよう。バンドを代表する数々のアルバム・レコーディングでも活躍したギターやアンプは必見!
取材・文=小林弘昂 人物・機材写真=小原啓樹
Guitars
Amplifier
1964 Fender
Deluxe Reverb
15年以上愛用する初期型
フェンダー・ロゴ・プレートとインプット・ナンバー表記がない超初期型のDeluxe Reverb。63〜64年初期までの特徴だ。直枝は本機を2005年に購入。フィッシュのトレイ・アナスタシオが60年代ブラック・フェイスのDeluxe Reverbを使用しており、それに憧れて大井町にあるシブヤ楽器にて“同じものを探して下さい”と依頼。その後、海外から取り寄せて購入したとのこと。スピーカーはOxford製が搭載されていた。
インプットはVIBRATOの1を使用。各ツマミはVOLUMEが5.5、TREBLEとBASSが6、REVERBが1過ぎにセッティングされていた。リバーブはたまにオンにするそうだ。この設定はES-225用で、テレキャスターを使う際はVOLUMEを7〜8まで上げる。
直枝は本機のサウンドを“最高としか言いようがないですね(笑)。良い歪みで、こいつにしか出せない何かがある”と語る。長いキャリアの中で、アンプはPeaveyやVOX AC30、マーシャル1959SLP、さらにフェンダーのTwin ReverbやHot Rodなどを試してきたが、やはり本機が一番のお気に入りで音量のバランスも良く、ライブではメインで使用。レコーディングでも常にスタンバイさせているそうだ。特に『WILD FANTASY』(2006年)では本機の煌びやかなドライブ・サウンドが堪能できる。
Pedalboard
アンプのサウンドを補正
①Jim Dunlop / Cry Baby Mini Wah(ワウ)
②Crowther Audio / HOT CAKE MID LIFT Standard Circuit ver.(オーバードライブ)
③Liquid Gain / Hydra(オーバードライブ)
④BOSS / TU-2(チューナー)
⑤Maxon / D&S(ディストーション)
⑥BOSS / TR-2(トレモロ)
⑦BOSS / DM-2(ディレイ)
⑧Providence / Provolt 9(パワーサプライ)
⑨CAJ / AC/DC Station ver.2(パワーサプライ)
以前はコンプレッサーやフェイザーなども並べていたが、徐々にシンプルになっていったという直枝のペダルボード。
①Cry Baby Miniは対バンしたバンドのギタリストが使用しており、“それ何ですか!?”と興味を持ち、真似して購入したとのこと。普通のサイズのワウは重いため、ミニの軽さが気に入っているという。
歪みペダルが3台あるが、すべてアンプの歪みをプッシュするブースター用。直枝曰く“バンドの状況にもよるんですけど、基本的には②HOT CAKEと③Hydraの2台を使い分けていて、ちょっとだけ音量と歪みが欲しい時に踏みます。1曲丸々使うことはなくて、部分部分でですね”とのこと。②HOT CAKEはMID LIFTモードに設定。LEDが増設されている。⑤D&Sは学生の頃のバンド・メンバーからもらったという70年代の個体。“暴力的に使う”そうで、ライブでは「アダムスキー」などでオンにする。
⑥TR-2はトレモロ・スピードを上げた設定で、飛び道具的に使用。ライブでは「ぼうふら漂流族」などで使うほか、大森靖子『絶対少女』(2013年)のレコーディングではシューゲイザー・サウンドを作る際に活躍したという。LEDが青に交換されている。
⑦DM-2は2000年代に中古で購入。ライブでは音を浮かせたい時に薄くかけるそうだ。こちらもLEDが青に変更されている。
作品データ
『Turntable Overture』
カーネーション
PANAM / 日本クラウン/CRCP-20585/86/2021年11月17日リリース
―Track List―
01.Changed
02.SUPER RIDE
03.その果てを心が
04.BABY BABY BABY
05.Highland Lowland
06.霧のスーヴェニール
07.マーキュロクロムと卵の泡
08.Rock On
09.I Know
10.海の叙景
11.Blue Black
―Guitarists―
直枝政広、松江潤