2022年版 リビングで弾きたい“次世代”小型ギター・アンプ 19選 2022年版 リビングで弾きたい“次世代”小型ギター・アンプ 19選

2022年版 リビングで弾きたい“次世代”小型ギター・アンプ 19選

リビングでお気に入りの曲を弾く。そんな時、“重たくて大きなアンプは大げさすぎるんだよなぁ”……そう思っている読者も多いのではないだろうか。住宅事情や懐事情をふまえればそれもなおさら。しかし、近年は小型アンプでも信じられないほどクオリティが高い! ということで、インテリアとしてもお洒落なものやワイヤレス、ヘッドフォン型などなど、注目の“次世代”小型アンプを一挙紹介する。ギター・ライフが何倍も豊かなものになること間違いナシ!

取材・文:関口真一郎 デザイン:久米康大 撮影:星野俊
*この記事はギター・マガジン2022年2月号から転載したものです。

目次

試奏するのはこの人 – 宮脇俊郎

『ギター基礎トレ365日!』、『最後まで読み通せるジャズ理論の本』など、これまでに単行本や教則DVDを多数手がける。近年では台湾・中国でのデモ演奏やセミナーなど海外での活動も展開。下北沢教室のオンラインでは、3台のカメラや譜面表示を切り替えながら映像記録していく独自のレッスン方式を取り入れている。

ホームページ:http://miyatan.cup.com

↑目次へ

これで⼀⽬瞭然! サイズ比較図

“小型”、“ミニ”っていうけれど、実際にどのくらいの大きさなの? ということで、今回紹介する全モデルを、全国津々浦々の多くのスタジオに設置してある銘機ローランドJC-120と同じ縮尺で並べてみた! これでどれくらい手頃なサイズかおわかりいただけるはずだ。

ギター・マガジン2022年2月号より。

↑目次へ

1. 小型アンプ・デビューに最適、リーズナブル!

まずは、比較的安価なモデルをご紹介。小型アンプ・デビューに迷っている方は、ここから選んでみてはどうだろうか?

BOSS/KATANA-MINI

本格的なチューブ・レスポンス

 BOSS KATANAシリーズのパワフルなアンプ・サウンドをポータブル・サイズで得られるように設計されたバッテリー駆動モデルKATANA-MINI。段階的にゲインアップしていき、ダイナミックで表現力豊かな歪みを生み出すアナログ・ゲイン回路、温かで深みのあるテープ・エコー・タイプのディレイを搭載。アンプ・タイプはBROWN、CRUNCH、CLEANの3種類。小型で軽量ながらも、本格的なチューブ・レスポンスが楽しめる。

視認性が高く、音作りのしやすいコントロール・レイアウト。アンプ・タイプの切り替えはスライド式。エフェクトはアナログライクなディレイを搭載。

「音が自然。実に使いやすい!」

宮脇 ディレイがアナログな感じでいいですね。超小型アンプだと、うまく音をまとめている印象のものも多いんですけど、これは自然です。中低音域も豊かで、ハイもピーキーじゃないので、実に使いやすい。見た目は小さいですけど、音が小さな感じはしません。喫茶店くらいの広さなら、これとカホンだけでいけますね。

BOSS/KATANA-MINI

ボス/カタナ・ミニ

【スペック】
出力:7W
電源:単三乾電池×6、ACアダプター
スピーカー:4インチ×1
サイズ:230(W)×116(D)×181(H)mm
重量:1.2kg

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格11,000円前後)

【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/

↑目次へ

Laney/MINISTACK-B-LION

小型サイズのスタック・アンプ

 Laney LIONHEARTシリーズのスタック・アンプ・デザインを踏襲したミニ・アンプMINISTACK-B-LION。小さなサイズながらも、キャビネットには3インチ・ドライバーを4発搭載。クリーン/ドライブの2チャンネル仕様で、心地よい効きのデジタル・ディレイも装備。スマホアプリと連携し、お気に入りのギター・サウンドが出力できるLSI端子を備えているほか、Bluetoothスピーカーとしても使用可能。電池駆動にも対応する。

入力端子やチャンネル切り替え、コントロール・ツマミがぎっしりと詰まったフロント・パネル。スマホアプリで作ったサウンドが出力できるLSI端子を装備。

「何よりもルックスが抜群ですね!」

宮脇 大型のスタック・アンプをそのまま縮めたこのミニチュア感がお洒落ですね。フロントの編み込みとか、何よりもルックスが抜群。これは気持ちが上がります。ギターの出音にはやや固さが感じられましたが、Bluetooth経由のオーディオ・クオリティは高いです。スピーカーとして使ったり、インテリア的な楽しみ方もできます。

Laney/MINISTACK-B-LION

レイニー/ミニスタック・B・ライオン

【スペック】
出力:6W
電源:単三乾電池×6、ACアダプター
スピーカー:3インチ×4
サイズ:約205(W)×105(D)×295(H)mm
重量:約2.6kg

【価格】
10,800円(税込)

【問い合わせ】
サウンドハウス TEL:0570-02-8888 http://www.soundhouse.co.jp/

↑目次へ

Shining/Guitar Amp SGA-3

ポータブルな超小型モデル

 Shining Guitar Amp SGA-3は、小型で軽量なオールインワン・ポータブル・ギター・アンプ。卓上に置けるほどのサイズでとても軽量。視覚的に音作りしやすいユーザー・フレンドリーなコントロール・パネルを備えており、心地よいロング・ディレイが得られる高品位なアナログ・ディレイを搭載。クリーンとディストーションの2チャンネル仕様で、電池、ACアダプター、USBモバイル・バッテリーと、さまざまな電源に対応している。AUX入力/ヘッドフォン端子も備えており、夜間の練習や自宅での収録にも適している。

必要最小限のコントロールでまとめられたシンプルなコントロール・レイアウト。クリーン/ディストーション・チャンネルの切り替えはボタン式。

「バランスの良い音で、練習には最適」

宮脇 ディレイ・タイムの幅が広いので、付点8分遊びみたいなディレイ遊びができますね。小さな音でも、凄く音が自然でサウンドのニュアンスもちゃんと出ます。音作りがしやすくて、サウンドの特性も素直なので、練習には最適だと思いますよ。音のバランスが良いので、マイクで拾えばレコーディングにも使えますね。

Shining/Guitar Amp SGA-3

シャイニング/ギター・アンプ SGA-3

【スペック】
出力:3W
電源:単三乾電池×6、ACアダプター、モバイル・バッテリー
スピーカー:3インチ×1
サイズ:166(W)×98(D)×124(H)mm
重量:約720g

【価格】
5,980円(税込)

【問い合わせ】
神田商会カスタマー・サポート  TEL:03-3254-3616 https://www.kandashokai.co.jp

↑目次へ

Fluid Audio/Strum Buddy / Strum Buddy Heavy Metal

吸盤で取り付けるユニーク設計

 ギターに吸盤で取り付けるユニークなポータブル・アンプ。本体につないだケーブルをギターに挿し込むだけで、自動的に電源がオンになる仕組みで、いつでもどこでも気軽に演奏を楽しむことができる。それぞれ3種類の簡易エフェクターを内蔵。充電バッテリー式で、最大3.5時間の連続使用が可能となっている。レギュラー・モデルのStrum Buddy(右)と、ヘヴィなサウンドのStrum Buddy Heavy Metal(左)がラインナップ。

このように吸盤でギターに取り付けるユニークなスタイル。アンプ本体にボリュームは付いておらず、音量はギターのボリューム側で調節する。

「これは“徘徊奏法”にバッチリ!」

宮脇 コンセプト自体が斬新で面白いですよね。細かな音作りまではできませんが、2つのモデルそれぞれで、簡易的に音色も調整できます。そして何と言っても“徘徊奏法”に最適(笑)! ギターに取り付けて動き回らないなら、意味がないですからね。凄く軽いので、付けてもギターの重さにはまったく変化が感じられないです。

Fluid Audio/Strum Buddy / Strum Buddy Heavy Metal

フルイド・オーディオ/ストラム・バディ、ストラム バディ・ヘヴィ・メタル

【スペック】
出力:6W
電源:充電バッテリー
スピーカー:4cm×1
サイズ:73(W)×73(D)×57(H)mm
重量:181g

【価格】
オープン・プライス

【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/

↑目次へ

2. とにかく小さくたって本格サウンド!

続いては、そのサイズ感からは信じられないくらいの迫力サウンドを実現する小型アンプたち。現代テクノロジーの粋をとくとご堪能あれ。

Louis/LGA-15Digi

サウンド・バリエーションの広さ

 練習に便利な機能を豊富に盛り込んだオール・イン・ワン小型ギター・アンプLouis LGA-15Digi。クリーンから歪みまで幅広く対応する9種類のアンプ・タイプ、多彩な6種類のエフェクトを備えているほか、最大30秒まで録音、再生、オーバーダビングができるルーパー機能、さまざまなジャンルをカバーする36種類ものリズム・パターンを用意。Bluetooth接続やライン入力を活用することで、外部音源を鳴らしながら演奏することもできる。

筐体上部のコントロール部。揺れもの系と空間系エフェクトのツマミが独立しており、回していくと、シームレスにエフェクトが切り替わる。

「けっこうリズム・パターンで遊べます」

宮脇 けっこうリズム・パターンで遊べますね。音も満足なレベルで、そのうえシンプルながらもサウンド・バリエーションも驚くほど幅広い。いろんなジャンルで演奏してみたいという人にはオススメですね。機能が多彩で、これ1台で完結している感じ。上側からつまめるコントロール・レイアウトも扱いやすくていいですね。

Louis/LGA-15Digi

ルイス/LGA-15デジ

【スペック】
出力:15W
電源:ACアダプター、充電バッテリー
スピーカー:5.25インチ×1、2.5インチ×1
サイズ:225(W)×185(D)×240(H)mm
重量:4.2kg

【価格】
25,000円(税込)

【問い合わせ】
お近くの島村楽器まで

↑目次へ

PHIL JONES BASS/NANOBASS X4

ベース用ながらギターにも◎

 ギターやキーボードなどにもマルチに使える、小型ベース・アンプPHIL JONES BASS NANOBASS X4。超高性能の4インチ・スピーカーと専用パッシブ・ラジエターを組み合わせたモデルで、サイズをはるかに超える低音再生能力が魅力。非常にフラットかつワイドレンジな周波数特性を備え、PHIL JONES BASSとしては初めてBluetoothを搭載。オーディオ・スピーカーとしても優れており、楽器の表情を生々しく再現してくれる。

筐体上部のコントロール・パネル。広めのパネルで、ツマミも大きく扱いやすい仕様になっている。イコライザーはセンター・クリックの付いたオーディオ・タイプ。

「完全に業務用として使えるレベルです」

宮脇 驚くほどフラットな音響特性。キャビネットの重さも適度ですね。音量を相当上げても音割れせずにバランスをキープしているので、モニター用途にもバッチリです。完全に業務用として使えるレベルだと思います。アンプ本体で歪みなどの音作りはできないので、別途ペダルボードを持っていることが前提になりますね。

PHIL JONES BASS/NANOBASS X4

フィル・ジョーンズ・ベース/ナノベース X4

【スペック】
出力:35W
電源:ACアダプター
スピーカー:4インチ×1+パッシブラジエター
サイズ:160(W)×197(D)×200(H)mm
重量:2.4kg
カラー:黒、赤、白

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格32,780円)

【問い合わせ】
JESインターナショナル TEL:0561-72-9801 https://pjbjapan.com

↑目次へ

Hughes & Kettner/Spirit of Vintage / Spirit of Rock /Spirit of Metal

Spirit of Vintage
Spirit of Rock
Spirit of Metal

伝統のケトナー・サウンド

 伝統のヒュース&ケトナー・サウンドを継承した超小型アンプ・ヘッドSpirit Nanoシリーズ。リアルな真空管サウンドを再現するSpirit Tone Generator、パワー・アンプの飽和状態を調整するサギング・コントロールを搭載。アナログ回路に徹底してこだわった仕様で、ピッキング・レスポンスも速く、この小さなサイズからは想像できないほどの大出力を誇る。

 4ノブのシンプルなコントロール・レイアウトを採用しており、背面にはスピーカー・アウトを備えているほか、ヘッドフォン・アウトにはキャビネット・エミュレーション機能を装備。自宅からライブハウス、リハーサルスタジオと、あらゆるシチュエーションで活躍してくれるアンプ・ヘッドだ。

 甘美なビンテージ・トーンが魅力のSpirit of Vintage、骨太なロック・サウンドが持ち味のSpirit of Rock、アグレッシブなメタル・サウンドが自慢のハイゲイン・タイプSpirit of Metalの3機種がラインナップしている。

今回の試奏で使用したスモール・キャビネットHughes & Kettner TM110 Cabinet。迫力の音圧でバランスの良いトーンを再生してくれる。

Spirit of Vintage – 「ブティック系アンプの上質なサウンド」

宮脇 リア・ピックアップで弾いても、ローがしっかりと感じられますね。強く弾けばクランチ、弱く弾くとクリーンという風に、ピッキングのタッチで自由に音色を持っていけます。凄く良い塩梅ですね。いわゆるブティック系アンプのイメージ。こういうアンプと上質なエフェクターを組み合わせるのがイマドキですよね。

Spirit of Rock – 「真空管のようなムチッという音が出ますね」

宮脇 モデリング感ゼロ。本当に真空管アンプを扱っているような感じですよ。音量レベルにかなり余裕があって、MASTERが2でも、めっちゃデカい音がします。SAGGINGの効きが面白くて、真空管特有のムチッという音が出ますね。ギターのボリューム操作にしっかりと付いてきてくれて、歪みのコントロールもしやすいです。

Spirit of Metal – 「ディストーション系でめっちゃ歪む!」

宮脇 GAINが5以下でもめっちゃ歪む! Spirit of Rockに比べると倍くらい歪んでいる印象。フィードバックも自然ですね。Rockがオーバードライブ系なら、こっちはディストーション系。トーン・ツマミは1つですけど、まったく不足感はなく、ベースやミドルの調節をしなくても、良いバランスのまま動いていく感じがします。

Hughes & Kettner/Spirit of Vintage / Spirit of Rock /Spirit of Metal

ヒュース・アンド・ケトナー/スピリット・オブ・ビンテージ、スピリット・オブ・ロック、スピリット・オブ・メタル

【スペック】
出力:25W(最大出力50W)
電源:ACアダプター
サイズ:190(W)×90(D)×90(H)mm
重量:約720g

【価格】
各32,780円(税込)

【問い合わせ】
パール楽器テクニカルサポート TEL:047-450-1090 https://pearl-music.co.jp/hughes-and-kettner/

↑目次へ

3. ルーパーやエフェクトを備えた多機能タイプ!

“よくぞ、そこまで盛り込めたな”と思わず感心してしまう機能充実タイプをピックアップ。ひとりでの練習にもつい熱が入ってしまう……。

BOSS/CUBE Street II

屋外での使用に配慮した設計

 屋外の使用も対応する堅牢性の高いボディ、軽量設計による優れた可搬性が魅力のBOSS CUBE Street II。モニタリングしやすいスラント・キャビネットを採用しており、バッテリー駆動対応でありながら、あらゆる環境において高品位かつパワフルなステレオ・サウンドが楽しめる。マイクとギターを同時に挿せる2インプット方式で、ボーカル・ハーモニー機能やルーパー機能も装備。入出力端子も豊富で、多彩なソロ・パフォーマンスが可能だ。

2インプット方式で、コントロール・パネルの左側がMIC/INSTRUMENTセクション、右側がGUITAR/MICセクション。端子も豊富で拡張性が高い。

「少し上手くなったように聴こえます」

宮脇 いい感じですね。ややコンプ感が強めに感じられますが、その分演奏の粗さをうまく収めてくれるような気がします。少し上手くなったように聴こえる。音像が散ってしまうようなストリートには持ってこいですし、家の中でもそのサウンドを楽しめますね。音量は十分。コントロール・パネルもわかりやすくて扱いやすいです。

BOSS/CUBE Street II

ボス/キューブ・ストリートII

【スペック】
出力:10W
電源:単三乾電池×8、ACアダプター
スピーカー:6.5インチ×2
サイズ:414(W)×285(D)×255(H)mm
重量:4.4kg

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格39,600円)

【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/

↑目次へ

Mooer/Hornet White

レトロ風の可愛らしいデザイン

 Mooer Hornet Whiteはクラシックなラジオを彷彿させるレトロ風のデザインを採用した小型ギター・アンプ。幅広いサウンドをカバーする9種類のアンプ・タイプを備えており、パネル上のボタンでタップ・テンポが設定できるディレイ、モジュレーションとリバーブを用意。お気に入りのセッティングを9種類までプリセットしておくことが可能で、Bluetoothスピーカーとしても使えるほか、その音源に合わせながらギター演奏を楽しむこともできる。

モジュレーション、ディレイ、リバーブのエフェクト・ツマミが独立しており、モジュレーションとディレイには個別にタップ・テンポが用意されている。

「サウンドの幅が広くて、操作しやすい」

宮脇 大正ロマンとも言うべき、レトロなデザイン。まずは見た目が可愛いですね。アンプ・タイプ選択のダイヤルがアンプの正面にあって、パッと切り替えられるのは便利です。サウンドの幅も広いですし、プリセットできるのもいいですね。エフェクトはかかりがわかりやすい。コントロール・パネルの視認性も高いと思います。

Mooer/Hornet White

ムーアー/ホーネット・ホワイト

【スペック】
出力:15W
電源:ACアダプター
スピーカー:6.5インチ×1
サイズ:173(W)×290(D)×255(H)mm
重量:2.9kg

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格16,280円)

【問い合わせ】
LEP INTERNATIONAL ☎0198-23-6600(平日午前中のみの受付) https://www.lep-international.jp

↑目次へ

VOX/VOX MINI GO 10

自宅練習はもちろん、野外でも

 自宅はもちろん、野外でも活躍する軽量かつコンパクトなギター・アンプVOX MINI GO 10。VOX Cambridge 50直系のパワフルでリアルなアンプ・モデルを内蔵しており、8種類のエフェクトを搭載。まるでギターが歌っているような効果が得られるVOCODERも用意されている。さらに33種類ものリズム・パターンやルーパー機能も備えており、ギターとマイクを同時につないで、ソロ・パフォーマンスをすることも可能になっている。

多彩な機能を操るコントロール部。別売りのフット・スイッチを活用すれば、足下でエフェクトやリズム・パターンの選択、ルーパーの操作が可能。

「小さくても往年のVOXサウンド」

宮脇 ルーパーなど、いろんなコントロールを試してみましたが、非常に多機能です。最初こそ操作にやや戸惑いましたが、徐々に慣れてくるでしょう。サウンド的には往年のVOXサウンドがこの小さな筐体に詰まっているという印象。マイクをつなげられる2インプット入力なので、まずはギター・ボーカルの人にオススメですね。

VOX/VOX MINI GO 10

ヴォックス/ヴォックス・ミニ GO 10

【スペック】
出力:10W
電源:ACアダプター、モバイル・バッテリー
スピーカー:6.5インチ×1
サイズ:296(W)×210(D)×294(H)mm
重量:4.5kg

【メーカー希望小売価格】
27,500円(税込)

【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569

↑目次へ

Positive Grid/Spark

次世代のプラクティス・ギア

 BIASアンプで知られるPositive Gridが開発した驚異のギター・アンプSpark。練習やジャムのための機能が満載で、ベース&ドラム・トラックを自動生成したり、好みの楽曲のコードを自動表示したりすることが可能。30種類のアンプ・モデル、40種類のエフェクトを搭載しているほか、1万を超えるトーン・ライブラリーにもアクセスできる。高解像度のオーディオが楽しめるフルレンジBluetoothスピーカーとしても秀逸な1台。

高級感が漂うすっきりとしたデザインのコントロール・パネル。エレキ・ギターだけでなく、ベースやアコースティック・ギター用のチャンネルも用意。

「このままレコーディングで使えます」

宮脇 極めて高音質。グレードの違いを感じますね。レコーディングでもこのまま使えます。全方位的にスキがなく、何よりも音質が素晴らしい。いろんなアンプ・チャンネルが入っていますが、どれもドンピシャと言えるサウンド。内蔵エフェクトもハイクオリティで、低音域も高音域もまったく問題なし。合格です!

Positive Grid/Spark

ポジティブ・グリッド/スパーク

【価格】
出力:40W
電源:ACアダプター
スピーカー:4インチ×2
サイズ:350(W)×180(D)×190(H)mm
重量:5.2kg

【スペック】
35,800円(税込)

【問い合わせ】
メディア・インテグレーション カスタマーケア TEL:03-3477-1493 https://www.minet.jp/brand/positivegrid/top/

↑目次へ

4. いつでも、どこでも! ヘッドフォン・タイプ

そして、場所や時間帯を気にせず音を出せるという点で究極の選択となるヘッドフォン・タイプ。デザイン的にも優れているものばかりだ。

NUX/Mighty Plug

アプリに多彩なトーンを用意

 アプリを使用した多彩な使い方が楽しめるプラグイン・モデリング・アンプNUX(ニューエックス)Mighty Plug。使い方は簡単で、本機にヘッドフォンを接続しジャックに挿すだけ。Bluetoothを使用してスマホやタブレット端末とつないで専用のアプリでの音作りも可能。多彩なエフェクトやアンプ・タイプ、キャビネット・シミュレーターが用意され、お気に入りの設定を保存することもできる。充電バッテリー式で、フル充電では約3時間の連続使用が可能。

音作りの操作はアプリで行なうため、本体にコントロールは設けられていない。USBケーブルをつないでオーディオ・インターフェイスとしても活用できる。

「とにかく軽くて薄い! 手軽さではベスト」

宮脇 これは何と言ってもアプリありきですね。サウンドのクオリティは高いと思います。そしてとにかく本体が軽くて薄い。これは大きなポイントです。これとギターとスマホさえ持っていれば、何とかなるという。けっこうエフェクトが充実していて、音を細かく作り込むこともできるし、手軽さではベストではないでしょうか。

NUX/Mighty Plug

ニューエックス/マイティ・プラグ

【スペック】
電源:充電バッテリー
サイズ:41(W)×81(D)×30(H)mm
重量:62g

【価格】
11,000円(税込)

【問い合わせ】
荒井貿易 TEL:052-711-3311 荒井貿易株式会社お問い合わせフォーム

↑目次へ

FENDER/MUSTANG MICRO

ギターにつなぐだけの簡単操作

 厳選された12のアンプ・モデルと13種類のエフェクターが搭載さた、FENDER MUSTANG MICRO。手のひらに乗るほどのサイズで、重さはわずか51グラム。操作はいたって簡単で、可動式プラグをギターのジャックに挿すだけ。ヘッドフォンをつないで電源を入れ、本体で好みのアンプ/エフェクト・モデルを選べる。オーディオ・インターフェイスとしても活用できるほか、PCやスマホとBluetooth接続すれば、好みの音源や動画とジャムることも可能。

アンプ・タイプの選択やEQの調整、エフェクト選択、ボリュームの調整など、すべて本体でコントロールできるのが特徴。LEDの色で設定を確認する。

「オーソドックスな音で、十分に楽しめます」

宮脇:オーソドックスなギター・サウンドが収められている感じですね。エフェクトはパンニング・ディレイもあったりしてゴージャスでした。細かな音作りはできないものの、十分に楽しめます。ギターのジャック位置に操作性が左右されるので、ストラトキャスターなら問題ないですが、レス・ポールはやや難しいかもしれません。

FENDER/MUSTANG MICRO

フェンダー/ムスタング・マイクロ

【スペック】
電源:充電バッテリー
サイズ:38.1(W)×28.7(D)×80(H)mm
重量:51g

【価格】
14,630円(税込)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://fender.co.jp

↑目次へ

VOX/VGH-AC30

AC30譲りのサウンドを耳元で

 楽器に接続するだけで、すぐに演奏が楽しめるヘッドフォン型アンプVOX VGH。本機は銘機AC30のサウンドにフォーカスしたモデルで、ヘッドフォン部は信頼性の高いオーディオ・テクニカ製のクローズド・エアー・ダイナミック・ヘッドフォンを採用。電源をオフにすれば、通常のヘッドフォンとしても使用できる。リバーブ、コーラス、ディレイ・エフェクトを内蔵しており、音楽プレイヤーを接続すれば、その音源に合わせてジャムも楽しめる。

ヘッドフォン本体にエフェクトやボリューム・コントロールなどを用意。スイッチやコントロール・ノブを右手側に配置することで、操作性を高めている。

普通にアンプで弾いている感覚です

宮脇 王道のサウンドですね。従来のこうしたヘッドフォン・タイプに比べると格段に音が良くて、普通にギター・アンプにつないで演奏しているような感覚が味わえます。自宅や楽屋などでほかの音をシャットアウトして、バンドの音を聴きながら練習にするにはもってこいでしょう。リバーブも十分に立体感のあるサウンドでした。

VOX/VGH-AC30

ヴォックス/VGH-AC30

【スペック】
電源:単四乾電池×2
サイズ:195(W)×160(D)×50(H)mm
重量:230g

【メーカー希望小売価格】
13,750円(税込)

【問い合わせ】
コルグお客様相談窓口 TEL:0570-666-569

↑目次へ

BOSS/WAZA-AIR

革新的な立体音響テクノロジー

 高品位なアンプ・サウンドとエフェクトを搭載、Bluetooth接続によるストリーミングや、スマホによるエディットを可能にした完全ワイヤレス・ギター・ヘッドフォン・システムBOSS WAZA-AIR。BOSS独自開発による革新的な立体音響テクノロジーとジャイロ・センサーにより、まるで実際にステージに立ってアンプを鳴らしているような、かつてない演奏体験が楽しめる。専用のアプリを活用することで、サウンドの編集や保存も可能。

右耳用のヘッドフォンにホイール・タイプのボリュームを用意。写真左の端子はギターとワイヤレス接続する設定の際、トランスミッターを挿す端子。

「まるで映画『マトリックス』の世界」

宮脇 これは以前に試したことがあって、アンプが実際に目の前や遠くのうしろのほうで鳴っている感覚が味わえるんですよね。バーチャルリアリティ。まさにイマドキ。デカいステージで演奏しているような感覚が楽しめます。ギターのマトリックス元年!とも言えますね。ワイヤレスのレイテンシーはまったく感じられないです。

BOSS/WAZA-AIR

ボス/ワザ・エアー

【スペック】
電源:充電バッテリー
重量:340g(ヘッドフォン)

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格45,100円)

【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/

↑目次へ

5. シールド接続のわずらわしさから解放!

最後は、シールドの存在を気にすることなく、部屋の中を自由に歩き回れるワイヤレス・タイプ。インテリアとしても映えるデザインにも注目!

BOSS/KATANA-AIR

アンプ本体からケーブルを一掃

 完全ワイヤレス設計を実現したギター・アンプBOSS KATANA-AIR。電池駆動にも対応しているため、電源コードも必要なし。ケーブル類を一切使用することなく、超低レイテンシーの高音質なギター・サウンドが楽しめる。ワイヤレス・トランスミッターはアンプ本体のドックで充電が可能(アダプター使用時)。専用のアプリを活用すれば、手元で音色をエディットすることもできる。上質でパワフルなBluetoothステレオ・スピーカーとしても秀逸な1台。

トランスミッターは小型サイズ。1回の充電で最大12時間の連続使用が可能。一定時間演奏しないと、自動的にスタンバイ状態になる省電力設計を採用。

「ワイヤレスであることを忘れてました」

宮脇 サイズのわりに大きな音が出せて、しかもサウンドはナチュラル。昔ながらのコントロール・レイアウトなので扱いやすく、アプリを使えばもっと音を追い込んでいける。これ1台でありとあらゆる音が出せると言っても過言ではないですね。ワイヤレスであることを忘れるくらいレイテンシーはまったく感じませんでした。

BOSS/KATANA-AIR

ボス/カタナ・エアー

【スペック】
出力:30W(ACアダプター使用時)20W(アルカリ乾電池使用時)
電源:単三乾電池×8、ACアダプター
スピーカー:3インチ×2
サイズ:350(W)×144(D)×181(H)mm
重量:2.2kg

【価格】
オープン・プライス(市場実勢価格44,000円)

【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター TEL:050-3101-2555 https://www.boss.info/jp/

↑目次へ

NUX/Mighty Air

超小型のワイヤレス・アンプ

NUX Mighty Airはワイヤレス機能と充電バッテリーを備えた小型で軽量なモデリング・アンプ。Bluetooth接続でスマホに保存した音源を再生したり、専用アプリを活用してアンプを遠隔操作したりすることも可能。ワイヤレス使用時、5mケーブルでつないでいるような音質変化をシミュレートするケーブルトーン機能を搭載。自宅練習用としてはもちろんのこと、ライブ前のウォーミング・アップや、旅行のお供としても最適。

ワイヤレス・トランスミッターのプラグは可動式。充電はアンプ本体のインプット端子に接続するほか、USBケーブルを使って行なうこともできる。

「デカいアンプで鳴らしている感覚です」

宮脇 ワイヤレス感ゼロ。小さなアンプですけど、けっこうデカいアンプで鳴らしているように聴こえます。音もクセがなくていいですね。ツマミのコントロール次第で、どの方向にも持って行ける感じです。アプリとアンプを連動させると、アンプのツマミを動かした時に、アプリのパラメーターも同じように動くのがいいですね。

NUX/Mighty Air

ニューエックス/マイティ・エアー

【価格】
出力:10W
電源:充電バッテリー、USB電源
スピーカー:2インチ×2
サイズ:91(W)×186(D)×98(H)mm
重量:780g

【スペック】
30,250円(税込)

【問い合わせ】
荒井貿易 TEL:052-711-3311 荒井貿易株式会社お問い合わせフォーム

↑目次へ

総評

「サウンド・クオリティにしても機能にしても時代の著しい進化を感じましたね。」 ──宮脇俊郎

試奏を終えて

 昔は小型アンプと言えば、1万円くらいのトランジスタ・アンプが多かったんですよ。エフェクトもあまり付いてなくて。それに比べると、今はBluetooth対応やら、スマホでコントロールできたりと、時代の著しい進化を感じましたね。それに昔の小型アンプはしょぼい音しかしなかったので、サウンド的に満足しようと思えば、おのずと大きめのアンプを買うしかなかったわけです。

 それが今では10センチ前後のスピーカーであっても、めちゃくちゃ低音が出るアンプも増えているので、良い時代になったと思います。サウンド・クオリティの高さも印象的で、CDで聴けるような音がそのまま出てくるのは凄いですよね。Bluetooth対応のモデルも多かったですが、スマホでアンプを遠隔操作できたり、伴奏の音源を鳴らしながらギターが演奏できたり……、これは一度体験すると、なかなかもう元には戻れないでしょう。

§

 今回の試奏で気になったモデルをカテゴリ別で挙げてみると、まず“小型アンプ・デビューに最適、リーズナブル!”で言えば、標準の音を知ることができるという意味で、BOSS KATANA-MINIは良かったですね。

 “とにかく小さくたって本格サウンド!”では、PHIL JONES BASS NANOBASS X4と Hughes & Kettner Spirit Nanoシリーズ で悩むところですが、アンプ本体で歪みなどの音作りができるという点でHughes & Kettnerかなと。NANOBASS X4は今回のラインナップの中ではギター専用ではなかったですけど、非常にバランスの取れた製品だと感じました。

 “ルーパーやエフェクトを備えた多機能タイプ!”で言えばPositive Grid Spark。これはまったくスキがなく、素晴らしかったですね。

 ヘッドフォン・タイプだと、ケーブル接続から完全に解放されるという点で、BOSSのWAZA-AIRは良かったです。

 普段、自分のスタジオやギター教室では、VOXのMV50を通すか、そのスピーカー・シミュレーションからMACKIEの卓に入れて、オーディオ・スピーカーから出しているんです。もしくはstrymon IRIDIUMですね。レコーディングはそれだけで何も問題ないんですけど、それだとその場所でしか鳴らせないわけです。部屋を変えたりはできないんですね。

 でも小型アンプなら、そのサウンドを持ったまま、ほかの場所に移動できる。そこは小型アンプのメリットだと思いますね。それとスイッチを入れたら即、弾けるという優位性。これも意外と大きい。プラグインだとパソコンを立ち上げたりする必要があるので、けっこう面倒なんです。

練習用ミニ・アンプ選びのアドバイス

 練習用ミニ・アンプ選びのアドバイスとしては、多機能なモデルはそれはそれでいいんですけど、練習する時というのはそんなに何十種類も音色を変えたりはしないですし、究極的に言えば、下手に弾けば下手に聴こえて、上手く弾いたら上手く聴こえるアンプで練習しないとダメですよね。下手さを隠してしまうアンプでは意味がない。だからまずはバランスの良いノーマルな音が出るアンプであることが大前提かと思いますね。

 家ではエレキ・ギターを生音で弾いて練習している人も多いかもしれないですけど、アンプを鳴らして練習する意義で言うと、歪ませた音で弾く6弦のブリッジ・ミュートの力加減などは、そのサウンドにしないと絶対にわからないですよね。それと鳴らさない弦のミュート。生音で弾いていると、鳴らさない弦が鳴っていてもあまり気にならない。中~上級者になれば、アンプで弾いた時にこうなるという感覚がわかっているので、生音で弾いても、あまり関係なくなってるんですけど、まだその音のイメージができていない段階なら、なおさらアンプにつないで弾かないとダメですよね。

アンプで弾いて“リビング弾き”から脱却!

 生音だといわゆる“リビング弾き”というのがあって、アンプにつながず、リビングで弾いているような弾き方ですけど、アンプを通さない分、その小さな音を生音で確認しようとするので、おのずとピッキングが強くなりがちになるんです。そういう“リビング弾き”ばかりやっている人のギターは、本番でアンプにつないで弾くとうるさくて仕方ないんですよ。結局、エレキ・ギターのおいしい成分を生かしていないような弾き方になっているんです。

 それに生音だと音の減衰が聴こえてこないですよね。エレキ・ギターというのは、その減衰の具合でもって、リスナーを感動させるフレーズを弾くという部分も大きい。なので、アンプで弾くとこういう音になるというイメージがまだでき上がっていない人は、特にアンプを使って練習してほしいですね。

 今では価格帯もお手軽になっていますし、この価格帯でこのクオリティは昔なら絶対ありえないですよ。メインのアンプを持っている中級者以上の人でも、喫茶店クラスの小さな会場用とか、レコーディング用とか、楽屋でのウォーミングアップ用とか、用途に応じてミニ・アンプを持っていてもいいと思いますね。

↑目次へ

*この記事はギター・マガジン2022年2月号から転載したものです。

ギター・マガジン2022年2月号
レイドバック期のエリック・クラプトン

レイド・バック=「くつろいだ、リラックスした」の意。1970年代中期、3年間の沈黙を破ったエリック・クラプトンは“レイド・バック”と呼ばれる穏やかな作風のアルバムを次々と生み出していく。スライド・ギターの大幅な導入やレゲエへの接近、アコギの多用といった豊かな音楽素材がブレンドされた自然体でゆったりとしたサウンドは、ちょっぴり肩の凝る今だからこそ染み渡るものがあるかもしれない。というわけで今月は、レイド・バック期の中でも1974年から76年の3年間にフォーカス。本誌初のレイド・バック特集、ごゆるりとご堪能ください。