有馬和樹(おとぎ話)2022年の使用機材 有馬和樹(おとぎ話)2022年の使用機材

有馬和樹(おとぎ話)
2022年の使用機材

おとぎ話の有馬和樹(vo,g)の使用機材をご紹介。新作『US』のレコーディングで使用した機材と、ライブで活躍しているアンプ&ボードは必見!

取材・文=小林弘昂 機材写真=星野俊


Guitars

1965
Guild Starfire Ⅲ

石田長生から譲り受けたメイン

有馬のメイン・ギターは、2013年に故・石田長生から譲り受けたという65年製Strafire Ⅲ。ピックガードをはずしている以外はオリジナルの状態だが、オクターブ・チューニングが合わなかったり、ネックがガタつくなど、経年劣化が激しいという。しかし、有馬は“死ぬまで使う”と語る。ピックアップはリアを使用。今作のレコーディングでは「ESPERS」で有馬が使用したほか、「DEAR」、「RINNE」、「VIOLET」などのバッキングのダビングでは牛尾が演奏した。弦はD’AddarioのRegular Light(.010〜.046)で、押弦した際にあまり滑らないところが気に入っているそう。“アンプが2台になったことでアンプのボリュームを抑えることができて、ハウらないセッティングがわかってきたから楽しい。正解がないのが良いですよね”とのこと。

Martin
Standard Series D-41

おとぎ話の未来を担う1本

2020年10月に購入したスタンダード・シリーズのD-41。本器を手にしてから作る楽曲が変わったそうで、今作『US』は本器のおかげで出来上がったと言っても過言ではない。レコーディングでも「ROLLING」と「ESPERS」以外のすべての楽曲で使用された。有馬曰く“レコーディングでは今回初めて使ったんですけど、自分の理想とする音で録れたから良かった”とのこと。本器を手に入れてから1年以上弾き語りライブを続けたことで、“自分の中に入ってこようとしている状態”だという。弾き続けてもサウンドは枯れず、キラキラ感がしっかりと残っているそうだ。ちなみに、ライブ/レコーディング共にマイクを立てて集音している。弦はマーティンのAuthentic Acoustic Strings Marquis Silked Custom Light(.011〜.052)を使用。

Amplifier

Fender ’65 Super Reverb
&
Music Man 210 Sixty-Five

 ライブでは、45W出力で10インチ四発の’65 Super Reverb(左)と、65W出力で10インチ二発のMusic Man製210 Sixty-Five(右)を2台同時に鳴らしている有馬。どちらもクリーン・サウンドに設定し、ほぼ同じくらいの音量にセッティング。

 ’65 Super ReverbはVIBRATO ch.の1にインプット。各ツマミはVOLUMEが3過ぎ、TRERLEが5手前、MIDDLEが5、BASSが5.5、リバーブとトレモロはオフに設定されていた。有馬曰く“Super Reverbの好きなところは中音域がしっかりしているところ。歳を取るごとにギャンギャンしない音のほうが好きになってきたから、キレイで芳醇に、そしてほんのり暴れてほしくて、Super Reverbがちょうどいい”とのこと。今作のレコーディングでは「ESPERS」のバッキングで使用された。

 210 Sixty-Fiveは右側のインプット1を使用。各ツマミはVOLUMEが2、TREBLEが3、MIDDLEが5、BASSが6、リバーブとトレモロはオフに設定されていた。本機に関しては“Super Reverbだけだと中域だけが抜けてくるから、それ以外の部分をMusic Manで支えています。おもに下を支えるかな。そうすることでSuper Reverbのローをあんまり出さずに済んでいる”とのこと。

Pedalboard

新機材を導入したニュー・ボード

①BOSS / TU-3(チューナー)
②MXR / Micro Amp(ブースター)
③Death By Audio / Interstellar Overdriver(オーバードライブ)
④Electro-Harmonix / Soul Food(オーバードライブ)
⑤J. Rockett Audio Designs / Archer Ikon(オーバードライブ)
⑥Electro-Harmonix / OP-Amp Big Muff(ファズ)
⑦Death By Audio / Apocalypse(ファズ)
⑧Death By Audio / Fuzz War(ファズ)
⑨Demeter / Tremulator(トレモロ)
⑩MXR / Carbon Copy(ディレイ)
⑪Death By Audio / Echo Dream 2(ディレイ/ファズ)
⑫Death By Audio / Reverberation Machine(リバーブ)
⑬BOSS / RV-5(リバーブ)
⑭VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)
⑮VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)

 ギターからの接続順は①〜⑬の番号通りで、⑬RV-5からSuper Reverbと210 Sixty-Fiveの2台のアンプへ分岐される。

 ②Micro Ampはライブハウスの大きさや楽曲によってオン/オフを決定。広い会場でオンにすることが多いそうだ。

 オーバードライブは③④⑤の3台が置かれているが、最近のライブでは“どの曲で何を使うかは決めていない”そうで、完全に気分によって使い分けているとのこと。③Interstellar Overdriverは歪ませない楽曲で使用。⑤Archer Ikonは最近のお気に入りで、有馬曰く“前までは全部のペダルが同じようなトーンで音作りをしていたんですけど、これを入れてからはそうじゃなくなった。芯ができたから、1台1台キャラが確立できた気がします”と語る。メイン・ギターのStarfire Ⅲが枯れた音なので、ライブによってはTREBLEツマミを1時、もしくはそれ以上まで上げることがあるという。今作のレコーディングでは有馬がエレキ・ギターを弾いた「FALLING」、「DEAR」、「ESPERS」で本機を使用したほか、ライブでは「SMILE」や「COSMOS」などの優しい楽曲でオンに。牛尾と同じくGAINツマミを9時くらいに抑えており、アンプのクリーンを持ち上げるような使い方だ。

 ⑥⑦⑧のファズも気分で踏み分けているそうだ。今作のレコーディングでは、「ESPERS」のバッキングで⑦Apocalypseを使用。

 ⑨Tremulatorは「綺麗」などで使用。⑩Carbon CopyはMODスイッチをオンにし、「COSMOS」のアルペジオなどで暖かみのあるサウンドを創出するほか、「運命」などではツマミをいじって発振させることも。

 ⑪Echo Dream 2はあまり踏まず、テンションを上げるためにボードに組み込んでいるそうだ。⑫Reverbration Machineは使用回数が多く、深めのリバーブにセッティング。⑬RV-5はSPRINGモードにし、そのほかのツマミはすべて12時にしてほとんどの楽曲でオンにしているが、「TEENAGE KIXX」などのパンクな曲ではオフに。

Others

 有馬が使用する小物類。カポはKyser製。ピックはJim Dunlop製Tortex Flex Triangleの0.73mmを愛用している。

LIVE INFORMATION

おとぎ話
日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>

2022年8月13日(土)
開場16:00/開演17:00
チケット発売中:全席指定¥6,600(税込)

【プレイガイド】
e+
チケットぴあ
ローソンチケット

作品データ

『US』
おとぎ話

felicity / P-VINE RECORDS/PCD-27063/2022年6月22日リリース

―Track List―

01.FALLING
02.BITTERSWEET
03.DEAR
04.ROLLING
05.RINNE
06.VOICE
07.VIOLET
08.SCENE
09.VISION
10.ESPERS

―Guitarists―

有馬和樹、牛尾健太