世界が注目する気鋭のギタリスト、ボウ・ディアコ。ネオソウルやヒップホップ由来のトラックを色彩豊かなギターで彩るボウの魅力は、澄み切ったクリーン・サウンドにある。SNS界隈で人気に火がついた彼は、制作環境もデスクトップ完結の現代っ子。ここではそんなボウの気になる愛用機材を見ていこう。
文=福崎敬太 Photo by Beau Diako
Guitars
YAMAHA CG122MC(左)&1974 Fender Telecaster Deluxe(右)
写真左は1stフル・アルバムのタイトル、『Nylon』の由来にもなったヤマハCG122MC。クラシック・ギターのエントリー・モデルで、表板はスプルース。表題曲「Nylon」は本器で初めて弾いた楽曲とのことだ。“いつかはもっと高価なものを買うかもしれないけど、今の時点ではこれで十分なんだ。僕が初めてプレイしたギターも父のヤマハ製アコースティックで、僕はあのギターから多くを学んだよ”とのこと。
写真右のフェンダー・テレキャスター・デラックスは、ボウ・ディアコの相棒とも呼べる1本で、1974年製の個体。『Nylon』でもほとんどのエレキ・パートは本器で弾いた。このギターについては、本人の言葉で入手の経緯を紹介しよう。
ボウ・ディアコ YouTubeを見ていたらこのギターを使っているバンドがいて、クリーンでキラキラなサウンドでまるでベルが鳴っているような感じだったんだ。今思うと大胆な買い方をしたなーと思うけど、eBayでアメリカから買ったんだよ。幸運なことに問題のないナイスなものが届いてくれて、かなりプレイしやすいしスムーズでキラキラなサウンドでかなり気に入っているんだ。フレットも大きいものが打ってあって、それがさらにプレイしやすくしてくれているよ。
Fender American Ultra Stratocaster
フェンダーから贈られたというAmerican Ultra Stratocaster。2019年に発表されたモデルで、ボディ・カラーはプラズマ・レッド・バースト。写真ではボリューム・ノブの“S-1”スイッチが押されているため、フロントとミドル・ピックアップのパラレル接続状態となっている。今作では「Turn Your Phone Off」で使ったそうだ。
Recording System
Desktop

ボウのデスクトップ環境がこちら。ほとんどの場合、ギターからユニバーサル・オーディオのApolo Twin(オーディオ・インターフェース)へと入力され、写真左のMacboook ProでAbleton Live(DAWソフト)で録音される。
ギターのプラグインはAmpliTubeのデフォルト・プリセットの中からクリーンなセッティングのものをチョイスし、ライン録音とミックスしているそうだ。このミックス具合については“テレキャスターのサウンドって何もいじらなくてもナイスなサウンドだし、AmpliTubeによってさらに煌めきを加えるといった目的で時々使っている感じかな”と語ってくれた。
ギターのエフェクトもPC内で調整しており、今作ではFabFilterのプラグインを多用したそうだ。また、“ヴァルハラDSP(Valhalla DSP)のリバーブやAbletonの中に入っているストックのプラグインを使っている。後者のほうがCPUに負荷をかけなくて助かるっていうメリットもあるからね(笑)”とのこと。
なお、ドラムはループ・サンプルを使い、ストリングスやスティール・ドラムなどはVSTプラグインを用いてトラックを作っている。また、モニター・スピーカーはアダム・オーディオ(ADAM Audio)のADAM-A7で、MIDIキーボードは形状から推察するにアートリア(Arturia)のKeyLabシリーズだろう。
AKG C3000B
アコースティック・ギターを録音する際に使用したAKGのコンデンサー・マイク=C3000B。
audio-technica ATH-M50x(左)&beyerdynamic DT 990 PRO 250OHM(右)

ヘッドフォン・モニターにはオーディオ・テクニカのATH-M50x(写真左)とベイヤーダイナミックのDT 990 PRO 250OHM(写真右)を愛用。
MOTU UltraLite mk3

2019年に行なった初取材の頃から長年使ってきたオーディオ・インターフェースは、MOTUのUltraLite mk3。彼のInstagramで見ることができる演奏動画のサウンドは、本機を使ってレコーディングされたものが多い。つい最近壊れてしまったそうだ。