キダ モティフォ(tricot)の愛用機材 新作『不出来』を彩ったギター、アンプ&ペダルボード キダ モティフォ(tricot)の愛用機材 新作『不出来』を彩ったギター、アンプ&ペダルボード

キダ モティフォ(tricot)の愛用機材 
新作『不出来』を彩ったギター、アンプ&ペダルボード

1年ぶりとなる新作『不出来』をリリースしたtricot。ギター・マガジン2023年1月号ではキダ モティフォと中嶋イッキュウの2人のインタビューを掲載したが、ギタマガWEBではそれぞれの愛用機材をご紹介しよう。ここではキダ モティフォのギター、アンプ、ペダルボードをお届け!

文:小林弘昂 撮影:西槇太一

Guitars

Altero Custom Guitars
Astra KID-A

Altero Custom Guitars Astra KID-A(正面)
Altero Custom Guitars Astra KID-A(背面)

独特のスペックを持つオリジナル・モデル

 キダのメイン・ギターは、2012年にフル・オーダーで製作されたAltero Custom Guitarsのオリジナル・モデル。Astraというモデルをベースに、リア・ピックアップとトーン・コントロールが省かれた独特のレイアウトだ。もともとキダはストラトキャスターを使用していたが、センター・ピックアップのサウンドが好みで、当時はリアがあまり好きではなく、このような仕様になったという。

 ボディはアルダー、ネックはハード・メイプル。ブリッジはCallahamのハードテイル・タイプ、ピックアップはVanzandtのTRUE VINTAGEを搭載。今作のレコーディングでは「不出来」、「エンドロールに間に合うように」、「鯨」、「ステンノー」の4曲で使用された。弦はD’Addarioの.010〜.046を愛用している。


Altero Custom Guitars
Astra KID-A Mk-Ⅱ

Altero Custom Guitars Astra KID-A Mk-Ⅱ(正面)
Altero Custom Guitars Astra KID-A Mk-Ⅱ(背面)

仕様を変えた2本目のオリジナル・モデル

 こちらもAltero Custom Guitarsで2013年頃に製作されたモデルで、サブとしてスタンバイ。ライブではチューニングの関係でメイン器と持ち替えることもあるそうだ。メイン器とは違いトーン・コントロールが搭載されているほか、ボディ材にはライト・アッシュが、ピックアップにはVooDoo Pickups製が採用されている。そのため“メインよりも少し丸いというか、太めの音ですね。ピックアップが違うので歪みの乗り方も違います”と語る。

 激しいステージ・アクションにも耐えられるよう、ストラップ・ピンはJim Dunlopのフラッシュ・マウント(埋め込みタイプ)を搭載。サイド・ポジション・マークには蓄光素材の“Luminlay”が採用されており、暗転したステージでのミスやトラブルを防いでくれる。


Fender Made in Japan
Troublemaker Telecaster

Fender Made in Japan Troublemaker Telecaster(正面)
Fender Made in Japan Troublemaker Telecaster(背面)

ボディ・トップをリフィニッシュ

 2020年頃に入手したフェンダーMade in JapanシリーズのTroublemaker Telecaster。もともとボディ・トップのカラーはキャンディ・アップル・レッドだったが、USAラインのTroublemaker Teleに採用されていたアイス・ブルー・メタリックが欲しかったため、ボディ・トップのみリフィニッシュしてもらったという。使用するピックアップはリアかミックス・ポジションで、たまにトーンを絞るとのこと。今作のレコーディングでは「#アチョイ」などで使用された。


Fender Made in Japan
Hybrid Ⅱ Jazzmaster

Fender Made in Japan Hybrid Ⅱ Jazzmaster(正面)
Fender Made in Japan Hybrid Ⅱ Jazzmaster(背面)

プレイアビリティの高い最新型ジャズマスター

 昨年、Hybrid Ⅱの発売のタイミングでフェンダーから贈られたというジャズマスター。今作のレコーディングでは「模造紙ヒデキちゃん」、「OOOL」、「冗談検定」の3曲で使用された。弦が切れてしまっているが、これは“「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングで引きちぎりました(笑)。この曲は演奏するっていう感じではなかったので、もう引きちぎってやろうと思って。たぶんその音は入ってないと思うんですけど(笑)”という。使用するピックアップはリア。気に入っているところは杢目とのこと。

Amplifier

Fender
’57 Custom Twin-Amp

Fender ’57 Custom Twin-Amp

レコーディングでも活躍のハンドワイヤード・アンプ

 キダのメイン・アンプは、2020年に購入した’57 Custom Twin-Amp。57年製Twin-Ampをハンドワイヤードで再現したモデルで、出力は40W、スピーカーはアルニコを使用した12インチのEminenceを2発搭載。入手した経緯は“もともとTwin Reverbを使っていたんですけど、ハイがギラッとしすぎる印象があったので、違うアンプも色々と試したいなと思ってフェンダーに行って試奏して決めました”とのこと。ローもしっかり出るところが気に入っているそうで、今作のレコーディングでもほとんど本機のみを使用したという。

Fender ’57 Custom Twin-Amp(コントロール)
▲ツマミのセッティングはPRESENCEが6、BASSが8、TREBLEが4、VOLUME BRIGHTが8.5。インプットはBRIGHTの1を使用。

Pedalboard

キダ モティフォのペダルボード(左側)
【Pedal List】
①Lee Custom Amplifiers / 12AU7 Buffer + Booster(バッファ/ブースター)
②FREE THE TONE / ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
③VEMURAM / Galea(オーバードライブ)
④Electro-Harmonix / Soul Food(オーバードライブ)
⑤Altero Custom Guitars / KAEDE -楓-(オーバードライブ)
⑥Electro-Harmonix / Memory Toy(ディレイ)
⑦BOSS / DD-5(ディレイ)
⑧BOSS / RC-20XL(ルーパー)
⑨Line 6 / M9(マルチ)
⑩One Control / Minimal Series AB Box(ABボックス)
⑪KORG / Pitchblack Advance(チューナー)
⑫FREE THE TONE / PT-3D(パワーサプライ)
キダ モティフォのペダルボード(右側)
【Pedal List】
⑬Line 6 / HX Stomp(マルチ)
⑭Morningstar FX / MC6 MKII(MIDIコントローラー)
キダ モティフォのペダルボード(全体)

 キダのペダルボードは2枚に分かれている。まずギターからの接続順は、左側の大きいボードの①12AU7 Buffer + Boosterを通って②ARC-53Mへ。②ARC-53Mのアウトから右側のボードの⑬HX Stompへ流れ、メイン・アンプの’57 Twin-Ampという順番だ。⑭MC6 MKIIは⑬HX StompとMIDI接続されている。

 ①12AU7 Buffer + Boosterは音にハリを出すため常にオン。

 ②ARC-53Mの各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

Loop 1③Galea
Loop 2④Soul Food & ⑤KAEDE -楓-
Loop 3⑥Memory Toy
Loop 4⑦DD-5
Loop 5⑧RC-20XL & ⑨M9 & ⑩Minimal Series AB Box(別アンプ)

 ②ARC-53Mはプリセットを組んでおらず、常にダイレクト・モードで使用。

 メインの歪みは③Galeaで、ブースター的に④Soul Foodを足したり、さらに歪みをプラスしたい時には⑤KAEDE -楓-を踏むという。

 ⑧RC-20XLには事前にフレーズを保存しておらず、本機を使用する楽曲の時だけその場で音をループさせるとのこと。

 また、本機を使用する時のみ⑩Minimal Series AB Boxを踏む。というのも、⑩Minimal Series AB BoxのアウトA端子は②ARM-53MのLoop 5のリターン端子に戻っているが、アウトB端子は別アンプに接続されており、⑩Minimal Series AB Boxを踏むことで別アンプからループのサウンドが出せるようになっているのだ。その理由は、“ループのサウンドをメンバーにしっかり聴こえるようにするため”。

 ⑨M9はモジュレーション・サウンドやファズを使用することが多いという。今作のレコーディングでは“Auto-Volume Delay”が活躍したそうだ。

 ⑬HX Stompは今作のレコーディングでも活躍したそうで、モジュレーションはほとんど本機によるものだという。特にオート・ワウを気に入っており、「#アチョイ」のリフでそのサウンドが確認できる。

 ⑭MC6 MKIIは⑬HX Stomp用。AとBスイッチはストンプ・モードとスナップショットの切り替え。Cスイッチは⑬HX Stomp本体の3つのスイッチでエフェクトが足りない場合、ここに1つエフェクトをアサインするという。Dスイッチはチューナーがアサインされており、海外公演で使用するとのこと。EとFスイッチはバンクのアップ/ダウンとなっている。

LIVE INFORMATION

Zang-Neng tour 2023

  • 2023年1月8日(日)/福岡・BEAT STATION
  • 2023年1月15日(日)/宮城・仙台CLUB JUNK BOX
  • 2023年1月28日(土)/愛知・名古屋CLUB QUATTRO
  • 2023年1月29日(日)/石川・金沢AZ
  • 2023年2月4日(土)/大阪・梅田CLUB QUATTRO
  • 2023年2月12日(日)/東京・LIQUIDROOM

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はtricotの公式HPをチェック!

tricot公式HP
https://tricot-official.jp/

ギター・マガジン2023年1月号
『特集:ビートルズ『Revolver』
2023年12月13日(火)発売

ギター・マガジン2023年1月号には、tricotのキダ モティフォと中嶋イッキュウがインタビューで登場! 新作『不出来』のギターについて語ってくれた。

作品データ

『不出来』
tricot

avex/CTCR-96070~1/2022年12月14日リリース

―Track List―

– DISC1 –
01. 模造紙ヒデキちゃん
02. #アチョイ
03. OOOL
04. 冗談検定
05. crumb
06. エンドロールに間に合うように
07. アンドロイド
08. 鯨
09. ステンノー
10. アクアリウム
11. 不出来
12. 上出来 ~不出来Remix~

– DISC2 –
01. 模造紙ヒデキちゃん – Instrumental
02. #アチョイ – Instrumental
03. OOOL – Instrumental
04. 冗談検定 – Instrumental
05. crumb – Instrumental
06. エンドロールに間に合うように – Instrumental
07. アンドロイド – Instrumental
08. 鯨 – Instrumental
09. ステンノー – Instrumental
10. アクアリウム – Instrumental
11. 不出来 – Instrumental
12. 上出来 ~不出来Remix~ – Instrumental

―Guitarists―

キダ モティフォ、中嶋イッキュウ