GRAPEVINEの『another sky』再現ライブを彩った、西川弘剛のペダルボード&アンプ GRAPEVINEの『another sky』再現ライブを彩った、西川弘剛のペダルボード&アンプ

GRAPEVINEの『another sky』再現ライブを彩った、西川弘剛のペダルボード&アンプ

2023年2月23日(木)に中野サンプラザホールにて開催された、GRAPEVINEの『another sky』(2002年)を全曲再現する公演、“in a lifetime presents another sky”。今回は、そのライブでリード・ギターの西川弘剛が使用していたペダルボードとアンプをご紹介。ペダルを巧みに使い分け、多彩なドライブ・サウンドを生み出す彼のシステムの秘密に迫っていこう。

取材/文=伊藤雅景 協力=TEAM ACTIVE・大和正尚(GRAPEVINEギター・テック) 写真=星野俊

Pedalboard

西川弘剛のペダルボード。

【Pedal List】
①VOX/V847 Wah Pedal(ワウ・ペダル)
②HUMAN GEAR/FINE PARABOX CRYO(ライン・セレクター)
③BOSS/TU-2(チューナー)
④D*A*M/MEAT HEAD(ファズ)
⑤HomeBrew Electronics/Germania(ファズ)
⑥Jack Deville Electronics/Deuce Coupe Overdrive(オーバードライブ)
⑦Providence/PEC-4V(プログラマブル・スイッチャー)
⑧Crowther Audio/HOT CAKE(オーバードライブ)
⑨テック作/TS9 Mod.(オーバードライブ)
⑩MXR/phase 90(フェイザー)
⑪Demeter Amplification/TRM-1(トレモロ)
⑫MXR/Carbon Copy(ディレイ)
⑬BOSS/DD-500(ディレイ)
⑭F-Sugar/Proline Custom(パワーサプライ)
⑮Limetone Audio/BC CUBE(バッテリー・チェッカー)

ファズへのこだわりがうかがえる西川のペダルボード。まず、ギターからの信号は①のワウに入り、②のライン・セレクターへ。②のアウトAは④〜⑥、スイッチャー⑦へと進み、アンプへと信号が送られる。一方のアウトBはチューナー③に接続。⑧〜⑬は⑦に接続されている。

④〜⑥のファズ・セクションは、④がギター・ソロ用、⑤と⑥がメロディの裏で鳴らす用。また、この3台は電池駆動になっているのもポイント。ファズのバッテリーの残量チェックには⑮を使っている。

スイッチャー⑦の各プログラム内容は、下記の表のとおりだ。西川も田中と同様にダイレクト・モードで使用。

⑥のスイッチ番号使用するペダルの番号
L1⑧+⑨
L2
L3⑪+⑫
L4

まず、メインのオーバードライブはL1の⑧+⑨。細かい歪みの質感を求める際は⑧で、⑨がよりダーティな音色だ。これらと④〜⑥のファズで、多彩なドライブ・サウンドを作り出している。

L2はフェイザー⑩のみ、L3にはトレモロ⑪→ディレイ⑫の順番で2つのペダルが接続されている。

マルチ・ディレイ⑬はL4のループにセッティング。楽曲に合わせて緻密に作り込んだサウンドは⑬を使うが、音の輪郭をぼやかす用途では⑫を使用しているとのこと。

Amplifier

Marshall/JCM800 2205
Marshall/JCM800 1960A Cabinet

Marshall/JCM800 2205、Marshall/JCM800 1960A Cabinet

“西川のサウンド”を作り出した不動のメイン・アンプ

20年以上メイン・アンプとして君臨し続ける、西川の相棒とも呼ぶべきアンプ=JCM800 2205。テック曰く、修理/改造をくり返すうちに“JCM800らしいサウンド”からはかけ離れているそうだ。まさに西川とともに成長してきた1台と言えるだろう。

エフェクト・ペダルを踏んでいない状態でもかなり歪ませられるセッティングで、クリーン〜クランチのサウンドはギター側のボリュームや、右手の強弱のコントロールで生み出している。なお、本機のメンテナンスや修理は東京都中野区の工房=F-sugarが手掛けている。

Marshall/JCM800 2205の裏面。
Marshall/JCM800 2205の裏面。バック・パネルが取りはずされ、冷却用のファンが取り付けられている。
Marshall JMP 2203
JCM800の裏にサブとしてセッティングされたMarshall JMP 2203。FUJI ROCK FESTIVAL ’22のステージでは本機を使用していた。

Setting

Marshall/JCM800 2205のセッティング。
Marshall/JCM800 2205のセッティング。

こちらはJCM800 2205のセッティング。ボードからの信号はHIGH INPUTに接続され、各ツマミの目盛りはPREAMP=9時、MASTER=8時、TREBLE=12時すぎ、MIDDLE=2時すぎ、BASS=2時すぎ、PRESENCE=12時すぎだ。

作品データ

『in a lifetime presents another sky』
GRAPEVINE

スピードスター/VIZL-2136/2022年12月21日リリース

―Track List―
(DISC1 Blu-ray)

  1. マリーのサウンドトラック
  2. ドリフト160(改)
  3. BLUE BACK
  4. マダカレークッテナイデショー
  5. それでも
  6. Colors
  7. Tinydogs
  8. LET ME IN~おれがおれが~
  9. ナツノヒカリ
  10. Sundown and hightide
  11. アナザーワールド
  12. ふたり
  13. CORE
  14. さみだれ
  15. Gifted
  16. ねずみ浄土
  17. コーヒー付
  18. 1977
  19. STUDY
  20. Scare
  21. R&Rニアラズ
  22. 風の歌
  23. Alright

(DISC2 CD)

  1. マリーのサウンドトラック
  2. ドリフト160(改)
  3. BLUE BACK
  4. マダカレークッテナイデショー
  5. それでも
  6. Colors
  7. Tinydogs
  8. LET ME IN~おれがおれが~
  9. ナツノヒカリ
  10. Sundown and hightide
  11. アナザーワールド
  12. ふたり

―Guitarists―

田中和将、西川弘剛