黒田晃年が布袋寅泰のサポート現場で使用してきた8本のギター 黒田晃年が布袋寅泰のサポート現場で使用してきた8本のギター

黒田晃年が布袋寅泰のサポート現場で使用してきた8本のギター

ギター・マガジン2023年10月号では『GUITARHYTHM Ⅶ』をリリースした布袋寅泰を特集し、2016年からサポート・ギタリストを務める黒田晃年が“GUITARHYTHMシリーズ”を語ったインタビューも掲載。WEBでは黒田が布袋寅泰のサポート現場で使用してきた機材を紹介しよう。まずはギターから。

取材・文:小林弘昂 撮影:星野俊

1990’s Gibson Nighthawk Special

1990’s Gibson Nighthawk Special(前面)
1990’s Gibson Nighthawk Special(背面)

テレキャスターの雰囲気を感じる個性的なギブソン・ギター

2000年代に購入したNighthawk Special。当時、黒田はテレキャスターをメインで使用していたが、YUIのサポート現場でハムバッカーのサウンドが必要になり、リア・ピックアップがスラントし、弦が裏通しという、どこかテレキャスターの香りがする本器を導入したという。最近リアが断線したため、ギブソンのVoodooに交換し、赤い部分を黒にペイント。ピックアップはリアのコイル・タップを使用することが多いという。布袋がHOTEIモデルやテレキャスターを手にする際、見た目的にもサウンド的にも対比をつけたいという理由で本器を弾くことが多いと語る。

1993 Gibson Nighthawk Standard

1993 Gibson Nighthawk Standard(前面)
1993 Gibson Nighthawk Standard(背面)

ロックなサウンドの初期Nighthawk Standard

Nighthawk Specialのサブとして、その2~3年後にeBayで購入したNighthawk Standard。ゴールド・パーツにエボニー・カラーという初期の仕様の93年製だ。パーツはすべてオリジナルとのこと。Specialと比べると本器はゴツゴツとしたロックなサウンドで、楽曲によって使い分けている。Nighthawkをメインで使用することについて、黒田は“当時30歳を超えて、人と同じギターというよりは、自分らしくしたいと思ったんでしょうね。僕のプレイ・スタイルはオーソドックスなので、変な音を出したくなるんですよ”と話してくれた。

1959 Gibson ES-225TD

1959 Gibson ES-225TD(前面)

1959 Gibson ES-225TD(背面)

アンサンブルで埋もれないビンテージ・フルアコ

2021年、無観客で開催された布袋の日本武道館公演の直前に購入した59年製ES-225TD。“試奏した瞬間にとんでもない音がしたんですよ。速攻で奥さんに電話しました(笑)”と、手に入れた時のエピーソードを話してくれた。黒田はほぼすべてのギターにD’AddarioのXTE1046 Regular Light(.010~.046)を使用しているが、本器のみハーフラウンド弦を張っている。サウンドは存在感があり、特別ハイが出ているわけでもないのにアンサンブルで埋もれないという。ピックアップ・ポジションはミックスを使用することが多いとのこと。

1993 Music Man Silhouette

1993 Music Man Silhouette(前面)
1993 Music Man Silhouette(背面)

布袋とのマッチングを考えた万能なSilhouette

黒田は布袋に憧れ、18~19歳の時にSilhouetteを所有していたが、その個体が気に入らずに手放してしまったという。時は経ち2020年、“やっぱりカッコ良いギターだな!”と思い、デジマートなどで探していたところ、10万円で売られていた本器を見つけたそうだ。昨年のツアーでは最も使用頻度が高く、布袋がTLシェイプのギターを持つ時はNighthawk Specialではなく本器をチョイスするように。“ハムバッカーだけど抜けるし、うしろにもいける。布袋さんのギターに対してポジショニングがしやすいんです”と信頼を置く1本だ。

1965 Fender Jaguar

1965 Fender Jaguar(前面)
1965 Fender Jaguar(背面)

鳴りの良さで選んだ音の速い65年製

2018年、黒田がサポートを務める今井美樹のホール・ツアーの直前に手に入れた65年製ジャガー。当時、何本もビンテージの個体を試奏したところ、その中で一番鳴りが良かったという本器をチョイス。購入したその日にブリッジをMasteryに交換。黒田は速い音が好みだそうで、Masteryのブリッジにしたところ“自分らしいジャガーになった”という。ピックアップはリアもしくはミックスを選択。レコーディングではほとんど本器を使うとのこと。布袋のサポートでは最近出番がないが、以前は「バンビーナ」などで登場していた。

Hahn Guitars Model 112

Hahn Guitars Model 112(前面)
Hahn Guitars Model 112(背面)

布袋の所有器と同時にオーダーした1本

布袋は2013年頃からHahn Guitarsを愛用しており、2018年に2本のModel 112をオーダー。本器はそのうちの1本を黒田が購入したものだ。黒田曰く“布袋さんはシルバーを持っていて、赤いほうを僕に買わせてくれたんです。そのあと僕のほうで弦を裏通しにしたいとメーカーにオーダーしました”とのこと。購入後、鳴りがイマイチだったためAki’s Guitarでリフレットを施し、ネックも2回削って自身の手に馴染むようにしたという。ピックアップはミックスを選択し、クリーン~クランチの間でストロークしたい時に手にするそうだ。

Blast Cult Spellcaster

Blast Cult Spellcaster(前面)
Blast Cult Spellcaster(背面)

セットアップを経て鳴りを手にしたTLタイプ

2021年、リハーサルの休憩中に布袋とBlast CultのHPをチェックしており、“TLタイプもあるんだ!‘”と本器を発見。その後、布袋の紹介で購入したというSpellcaster。当初はネックがまったく鳴らず、本器もAki’s Guitarにて2回リレットし、セットアップを行なった。そのおかげで最近は凄く良い音になり、まわりからの評判も良いとのこと。サウンドは、いわゆるシングルコイルのTLタイプらしい“ジャキーン!”という感じはなく、図太い音と語る。布袋のサポート現場では、布袋がゼマイティスを手にする時に本器を弾くそうだ。

Gretsch #6120SH Hot Rod Brian Setzer Model

Gretsch #6120SH Hot Rod Brian Setzer Model(前面)
Gretsch #6120SH Hot Rod Brian Setzer Model(背面)

布袋から譲られたバースデイ・プレゼント

2022年の氣志團万博、出番を終えたあとに布袋の楽屋に呼ばれ、ドキドキして向かったところ、“はい、誕生日プレゼントです!”と譲られたブライアン・セッツァー・モデル。黒田にとって初グレッチとなったギターだ。昨年末の幕張メッセと大阪城ホールでのライブで初めて使用し、「Medusa」を演奏した。布袋が所有していた段階で内部にはスポンジが詰められており、黒田は入手後にロック・ピンを搭載。サウンドに関しては“凄く音が良くて、箱モノっぽくないんですよね”とのこと。ピックアップはおもにリアを使用している。

ギター・マガジン2023年10月号 『布袋寅泰 GUITARYTHM』

ギター・マガジン2023年10月号
布袋寅泰 GUITARYTHM

ギター・マガジン2023年10月号では『GUITARHYTHM Ⅶ』をリリースした布袋寅泰を特集し、2016年からサポート・ギタリストを務める黒田晃年が“GUITARHYTHMシリーズ”を語ったインタビューも掲載。

作品データ

『GUITARHYTHM VII』 布袋寅泰

『GUITARHYTHM VII』
布袋寅泰

ユニバーサル/TYCT-60215/2023年9月13日リリース

―Track List―

  1. AI Rising
  2. Midnight Sun
  3. Isolation
  4. Andromeda(feat. アイナ・ジ・エンド)
  5. Highway Star
  6. Domino
  7. Mystic 7
  8. Eternal Symphony
  9. Horizon
  10. Break The Chain

―Guitarists―

布袋寅泰、ニールX