布袋寅泰のステージを支える、黒田晃年のアンプ&ペダルボード 布袋寅泰のステージを支える、黒田晃年のアンプ&ペダルボード

布袋寅泰のステージを支える、黒田晃年のアンプ&ペダルボード

ギター・マガジン2023年10月号では『GUITARHYTHM Ⅶ』をリリースした布袋寅泰を特集し、2016年からサポート・ギタリストを務める黒田晃年が“GUITARHYTHMシリーズ”を語ったインタビューも掲載。WEBでは黒田が布袋寅泰のサポート現場で使用してきた機材を紹介する。今回はアンプ&ペダルボードを見ていこう。

取材・文:小林弘昂 撮影:星野俊 協力:林幸宏(FREE THE TONE)

Amplifiers

K&M Analog Designs Custom Head & 1×12 Cabinet

K&M Analog Designs Custom Head & 1×12 Cabinet

ブランド初期に作られた、貴重なハンドメイド・アンプ

ビル・クリナードとジョー・ムロガノスキーによって1999年に創設されたTwo-Rockの前身、K&M Analog Designs。本機はDumble Ampをもとに2000年代初頭に作られたもので、ホワイトのカバリング、そしてヘッド正面にTwo-Rockのロゴがない初期のモデルだ。シリアル・ナンバーは“77”。スーピーカーはElectro-VoiceのEVM-12L Series Ⅱを1発搭載。黒田はたまたま渋谷の楽器店で本機を見つけ、試奏したところ衝撃を受け即購入したという。

サウンドは“ハイエンドっぽくはなくて、いなたいクリーン・トーン”と語る。一時期、布袋の現場でも活躍していたが、現在はMatchlessのChieftain 410をメインで使用。黒田はアンプをクリーンにセッティングし、ペダルで歪ませている。

Pedalboard

【Pedal List】
①ISP TECHNOLOGIES / DECI-MATE MICRO PEDAL(ノイズ・ゲート)
②FREE THE TONE / JB-21(ジャンクション・ボックス)
③Fulltone / Clyde Wah(ワウ)
④FREE THE TONE / ARC-3(プログラマブル・スイッチャー)
⑤FREE THE TONE / SILKY COMP(コンプレッサー)
⑥Xotic / BB Preamp(オーバードライブ)
⑦Keeley / BD-2 Phat Tube Mod.(オーバードライブ)
⑧Keeley / TS808 Mod.(オーバードライブ)
⑨Rockbox / Boiling Point(オーバードライブ)
⑩Eventide / ModFactor(マルチ・モジュレーション)
⑪FREE THE TONE / PA-1QG(EQ)
⑫Electro-Harmonix / Pitch Fork+(ピッチ・シフター)
⑬FREE THE TONE / DVL-1H(ボリューム・ペダル)
⑭Eventide / TimeFactor(マルチ・ディレイ)
⑮Peterson / Stomp Classic(チューナー)
⑯FREE THE TONE / PT-3D(パワーサプライ)
⑰FREE THE TONE / PT-2D(パワーサプライ)

布袋のサポート現場を支える、FREE THE TONE製のボード

FREE THE TONEの林幸宏氏が組み上げた黒田のツアー用ボード。ギターからの接続順は①DECI-MATE MICRO PEDAL、②JB-21を通って④ARC-3のLoop 8のインプットへ。ARC-3のLoop 8のアウトプットから③Clyde Wahを通って④ARC-3のHTSインプットに接続。そしてARC-3のアウトBから⑬DVL-1Hと⑭TimeFactorを通り、再び②JB-21を経由してアンプにつながれる。

④ARC-3の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

  • Loop 1=⑤SILKY COMP
  • Loop 2=⑥BB Preamp
  • Loop 3=⑦BD-2 Phat Tube Mod.
  • Loop 4=⑧TS808 Mod.
  • Loop 5=⑨Boiling Point
  • Loop 6=⑩ModFactor
  • Loop 7=⑪PA-1QG
  • Loop 8(Separate Loop)=⑫Pitch Fork+

⑮Stomp Classicは④ARC-3のチューナー・アウトに接続されている。⑭TimeFactorはループに接続されていないが、MIDIでコントロールされており、ARC-3のプリセットによってオンになることもあれば、黒田がリアルタイムでオン/オフすることもあるそうだ。

①DECI-MATE MICRO PEDALは、黒田も設計に関わり、FREE THE TONEからリリースされた布袋のシグネチャー・ペダル=G-STAGEの影響で導入したもの(G-STAGEにはINTEGRATED GATEを搭載)。本当は歪みペダルのうしろに入れたいそうだが、すぐにシステムを変更することが難しいため、現在はひとまずシグナルの最初につないでいるとのこと。

⑤SILKY COMPは、実は以前、布袋がシステムに組み込んでいたものを使用。黒田はクリーン・サウンドをあまり使うことがなく、本機は歪みペダルと組み合わせることが多いそうだ。

Silky Compには“CUSTOM MADE FOR HOTEI”の文字が。
Silky Compには“CUSTOM MADE FOR HOTEI”の文字が。

オーバードライブ・ペダルが4台用意されており、⑦BD-2 Phat Tube Mod.、⑥BB Preamp、⑧TS808 Mod.、⑨Boiling Pointの順番で歪み量が増えているそうだ。バッキングでは⑨Boiling Pointを、ソロでは⑧TS808 Mod.を使用することが多いという。黒田は⑧TS808 Mod.でバッキングを弾くのも好きなのだが、まわりから“もっとジャキジャキした音にしてほしい”というリクエストをもらうことがあるため、⑨Boiling Pointを使っている。

⑩ModFactorと⑬TimeFactorは、操作性を一緒にしたいという理由で同じタイミングで導入。モジュレーションもディレイもアナログが好みだそうだが、そうするとボードが巨大化してしまうため、デジタルのマルチを選択しているという。⑩ModFactorは歌モノのバッキングでトレモロやロータリー・サウンドを使用することが多く、⑬TimeFactorはギター・ソロで必ずオンにしているほか、バッキングでも様々なプリセットを使い分けているようだ。

⑪PA-1QGはプリセットが可能なEQで、黒田はギターの持ち替え時だけでなく、ギター・ソロやバッキングでも多用している1台。

⑫Pitch Fork+は、今年7月に開催されたB.C.ONLYのライブ用に導入したもの。BOØWYの楽曲を演奏する際、オクターブ上のサウンドを出すために活躍しているという。布袋のレコーディング曲はオクターバーを使ってオクターブ下のサウンドが入れられているフレーズが多く、その再現でも必要とのこと。

ギター・マガジン2023年10月号
『布袋寅泰 GUITARYTHM』

ギター・マガジン2023年10月号
布袋寅泰 GUITARYTHM

ギター・マガジン2023年10月号では『GUITARHYTHM Ⅶ』をリリースした布袋寅泰を特集し、2016年からサポート・ギタリストを務める黒田晃年が“GUITARHYTHMシリーズ”を語ったインタビューも掲載。

作品データ

『GUITARHYTHM VII』
布袋寅泰

『GUITARHYTHM VII』
布袋寅泰

ユニバーサル/TYCT-60215/2023年9月13日リリース

―Track List―

  1. AI Rising
  2. Midnight Sun
  3. Isolation
  4. Andromeda(feat. アイナ・ジ・エンド)
  5. Highway Star
  6. Domino
  7. Mystic 7
  8. Eternal Symphony
  9. Horizon
  10. Break The Chain

―Guitarists―

布袋寅泰、ニールX