日本人として初めて、アイバニーズからシグネチャー・モデルをリリースしたIchika Nito。彼のバンド、Diosの新作『&疾走』でも当然それらが活躍した。今回はアルバムで使用した4本のギターを紹介するとともに、レコーディングで使ったDAWソフトやプラグインについての本人コメントをお届けしよう。
文=福崎敬太 撮影=小原啓樹
Ichika Nitoの使用ギター
Ibanez/ICHI10
絶大の信頼を置く、最初のシグネチャー
『&疾走』のメイン・ギターとして活躍した、ICHI10(読み:イチテン)。アイバニーズからリリースした、Ichika Nito初のシグネチャー・モデルだ。
フロント+センターのミックス、リアとセンターのミックスが多く、「Struggle」のハードなフレーズは前者によるもの。ギター本体の傾向として“高音域の天井を高くしている”とのことで、トーンを絞って使うことが基本とのことだ。なお、ボリュームはフル。
弦はアーニー・ボールのParadigm Super Slinky(.009-.042)を張っている。
Ibanez/ICHI00
彼の歴史に重要な“Talman”をベースにした新シグネチャー
Ichika Nitoの大躍進を支えたTalmanをベースに開発され、2023年夏に発売された新たなシグネチャー・モデル“ICHI00(読み:イチゼロ)。
生まれたばかりのモデルのため、『&疾走』のレコーディングではそこまで登場しなかったものの、「自由」で聴けるファンキーなカッティングは本器によるもの。
Ibanez/AZS2200
バンドでの演奏に重宝している万能選手
高い演奏性と幅広いサウンドメイクを可能にするAZシリーズのシングル・カッタウェイ・モデル。『&疾走』のレコーディングでは、メインのICHI10に次いで活躍した。
Ichika曰く“トラディショナルなTLサウンドに近くもありつつ、コシがあって太い音も出せる。音がめっちゃ良くて、クリスピーなチャキチャキした音が欲しい時や、バンド・ライクなプレイをする時に使います”とのこと。「また来世」、「アンダーグラウンド」、「花束」などで使用。
Ibanez/FRH10N
「&疾走」のリフを奏でた薄胴の高プレイアビリティ・ガット
アルバム表題曲「&疾走」で、低音弦によるビートを織り交ぜた印象的なリフを奏でたのが、FRH10N。薄胴のボディやその形状による高いプレイアビリティ、独自のブレイシングやボディ・サイドのサウンドホールによる鳴りの良さを両立するエレガットだ。
ティム・ヘンソン(ポリフィア)のシグネチャー・モデル=TOD10Nも愛用するIchikaだが、新作のアコースティック・サウンドはすべて本器で演奏された。
【一問一答】
Ichika Nitoの宅録環境
DAWソフトは何を使っている?
Ichika Nito CUBASEですね。
オーディオ・インターフェースは?
Ichika Nito アポジーのJAM Xです。サイズが小さくてもアポジーの音がするし、ツアー中とかに本当に便利なんですよ。価格もそんなに高くないですし。ギターに特化しているから機能は少ないけど、ギターを録るだけならこれで十分なクオリティで録れますよ。
『&疾走』で使ったプラグインは?
Ichika Nito ニューラルDSPのArchetype: Cory Wongがメインでしたね。エンベロープ・フィルターなどのエフェクターもそこに入っているものです。あとはArchetype: Gojiraも使いました。ヴァルハラ(Valhalla DSP)のリバーブも要所要所で掛けています。
ベースも弾いているんですけど、それはニューラルDSPのDarkglass Ultraで録ってますね。ちなみにベースはワーウィックです。
作品データ
『&疾走』
Dios
Dawn Dawn Dawn Records/DDDR-1004/2023年9月6日リリース
―Track List―
- 自由
- アンダーグラウンド
- &疾走
- 渦
- また来世
- 花束
- Struggle
- ラブレス
- 裏切りについて
- 王
―Guitarist―
Ichika Nito