神はサイコロを振らないのエッジィな音像を彩る、吉田喜一のストラトキャスター、ペダルボード、アンプ 神はサイコロを振らないのエッジィな音像を彩る、吉田喜一のストラトキャスター、ペダルボード、アンプ

神はサイコロを振らないのエッジィな音像を彩る、吉田喜一のストラトキャスター、ペダルボード、アンプ

ギター・チューンが目白押しな新作フル『心海』を2023年9月にリリースした、神はサイコロを振らない。10月からツアーをスタートさせる彼らのリハーサル現場に潜入し、吉田喜一(g)のライブ使用機材を撮影してきた。2022年の取材時から進化を遂げた機材のラインナップを見ていこう。

取材/文=伊藤雅景 写真=星野俊

吉田喜一の使用ギター

Fender/Road Worn ’60s Stratocaster

Fender/Road Worn ’60s Stratocaster(フロント)
Fender/Road Worn ’60s Stratocaster(バック)

プレイ・スタイルの幅を広げたメキシコ製ストラト

2020年頃から使用しているフェンダーのメキシコ製ストラトキャスター。シリアルナンバーから、2011〜2012年に製造された個体だと思われる。新作『心海』のレコーディングでは「What’s a Pop?」や「Popcorn ‘n’ Magic!」などの、カッティング・フレーズが多い楽曲で活躍した。

ピックアップはギター・ソロやリフでリアを選択する以外は、センター・ポジションをメインで使用。以前はフロントも使用していたが、“音がガッツリ前に出てくるので、リアを使うことが増えてきた”そうだ。

また、ストリング・ガイドはダイナガイド製のDynaguide Blackに交換されている。なお、2022年の取材時はトレモロ・ユニットがボディにベタ付けの状態だったが、今回(2023年9月)の撮影時には1mmほどフローティングさせていた。アームも装着されていたため、アーミングを取り入れたプレイも増えてきたのだろうか。

吉田喜一のペダルボード

吉田喜一のペダルボード。

【Pedal List】
①テック作/ジャンクション・ボックス
②Cornerstone/GLADIO SC(プリアンプ/オーバードライブ)
③FREE THE TONE/ARC-3(プログラマブル・スイッチャー)
④Altero Custom Guitars/楓(オーバードライブ)
⑤Fulltone/OCD(オーバードライブ)
⑥SUMO STOMP/Longtail #873(オーバードライブ)
⑦Z.VEX/Fuzz Factory 7(ファズ)
⑧strymon/blueSky(リバーブ)
⑨Line 6/HX Stomp(マルチ・エフェクター)
⑩FREE THE TONE/PA-1QG(プログラマブル・イコライザー)
⑪peterson/STROBOSTOMP HD(チューナー)
⑫FREE THE TONE/PT-1D(パワー・サプライ)

FREE THE TONEのプログラマブル・スイッチャー③を中心にシステムが組まれた吉田のペダルボード。

ギターからの信号は、まずテック作のジャンクション・ボックス①を通過し、プリアンプ/オーバードライブ②を経由後、プログラマブル・スイッチャー③のインプットへ向かう。

③のループには④〜⑧と⑪を接続。③のアウトプットからはプログラマブル・イコライザー⑩に向かい、ジャンクション・ボックス(①)を通過しアンプのインプットへ。

なお、マルチ・エフェクター⑨は、①を経由して、アンプのセンド/リターンに接続されている。そのプログラムは③からMIDI信号を受け取り制御。

なお、プログラマブル・スイッチャー(③)で呼び出すアンプのチャンネル、ペダルの組み合わせは以下のとおりだ。

音色名アンプのチャンネル使用ペダル
クリーンクリーン・チャンネル(Clean)②+⑧+⑩
クリーン+ディレイクリーン・チャンネル(Clean)②+⑧+⑨+⑩
クランチクリーン・チャンネル(Clean)②+④+⑧+⑩
オーバードライブドライブ・チャンネル(BE)②+⑧+⑩
ディストーションドライブ・チャンネル(BE)②+⑤+⑧+⑩
ソロドライブ・チャンネル(BE)②+⑥+⑧+⑩
ファズドライブ・チャンネル(HBE)②+⑦+⑧+⑩
※()内はFRIEDMAN/BE-100 HEAD(ヘッド・アンプ)のチャンネル名。

吉田のサウンド・メイクは、プリアンプ/オーバードライブ②を土台に各種ペダルを組み合わせて作り上げるのが基本のスタイル。リバーブ⑧も各プログラムに組み込まれており、薄く掛けっぱなしにしていることも多い。なお、⑧のFAVORITEスイッチにはSHIMMERモードのリバーブが保存されている。

歪みペダルは④〜⑦の4種類を使い分け。④はクランチ用で、TREBLEツマミをマックスまで上げているところがポイント。⑤はオーバードライブ用で、GAINツマミは低めに設定し、トグル・スイッチはHPを選択。

左から⑤Fulltone/OCD(オーバードライブ)、④Altero Custom Guitars/楓(オーバードライブ)。
左から⑤Fulltone/OCD(オーバードライブ)、④Altero Custom Guitars/楓(オーバードライブ)。

ギター・ソロでは、Centaurをモチーフにしたオーバードライブ⑥を使用。吉田曰く“とにかく音が前に飛んでいきます。ギターが抜けすぎて曲にハマらない時は、オーバルトーンの34-Xtreme(ディストーション)に入れ替えることもあります”とのこと。

Ovaltone/34-Xtreme(ディストーション)。
ボード外にスタンバイされていたOvaltone/34-Xtreme(ディストーション)。

また、各プログラムにプリセットされているプログラマブル・イコライザー⑩は、アンプのツマミでは調節が効かない帯域を補正するために使用。③から受け取るMIDI信号によって、音色ごとにセッティングを切り替えている。

吉田喜一の使用アンプ

FRIEDMAN/BE-100 HEAD
& 412 VINTAGE CABINET

FRIEDMAN/BE-100 HEAD
& 412 VINTAGE CABINET

往年のブリティッシュ・アンプを彷彿させる吉田のメイン・アンプ

2021年の9月に入手したフリードマンのヘッド & キャビネット。新作『心海』のレコーディングでも主役級に活躍した吉田のメイン・アンプだ。BE-100 HEADはパワー管にEL34を採用した3チャンネル仕様のヘッド・アンプで、412 VINTAGE CABINETはセレッションのG12M-25とVintage30を組み合わせたキャビネット。サウンドは“スッキリしているのに音の芯が太く、良いジューシー感もある”とのこと。

セッティング

FRIEDMAN/BE-100 HEADのセッティング。

CHANNEL=プログラマブル・スイッチャーで管理
BRIGHT SWITCH=センター
VOICE SWITCH=右側
CLEAN VOLUME=3.6
GAIN=2
MASTER=1.8
TREBLE=3.7
MIDDLE=5.9
BASS=1.5
PRESENCE=0

作品データ

『心海』
神はサイコロを振らない

ユニバーサル/TYCT-60209/2023年9月27日リリース

―Track List―

  1. Into the deep (Instrumental)
  2. What’s a Pop?
  3. カラー・リリィの恋文
  4. Division
  5. 六畳の電波塔
  6. 修羅の巷
  7. 僕にあって君にないもの
  8. スピリタス・レイク
  9. 朝靄に溶ける
  10. Popcorn ‘n’ Magic!
  11. キラキラ
  12. 夜間飛行
  13. 告白

―Guitarists―

吉田喜一、柳田周作