MR.BIGの最後の武道館で、ポール・ギルバードが操ったペダル・ボード MR.BIGの最後の武道館で、ポール・ギルバードが操ったペダル・ボード

MR.BIGの最後の武道館で、ポール・ギルバードが操ったペダル・ボード

MR.BIGの最後の武道館でポールが操作した2枚のペダル・ボード。これはポール本人が今回のツアー用に組んだもので、初の2枚構成とのこと。ここに並べられた各ペダルについて、使いどころやサウンドのポイントなどを本人が解説!

インタビュー/翻訳=トミー・モリー 撮影=小原啓樹

Paul’s Pedal Board

ポール・ギルバートのペダルボード①
ポールの足下右側に配置されたボード。ギターの信号は①から入り、②〜④の順で直列に続いている。
ポール・ギルバートのペダルボード②
こちらは左側のボード。右側ボードからの信号はLS-2(⑤)へ入り、そこからループAとBに分岐。クリーン・サウンド用のループAはコンプレッサー(⑥)のみ、メインのループBには、⑧、⑨、⑩という歪み3台が接続されている。LS-2のアウトからは、⑦、⑪、⑫を経由し、スプリッターを経て3台のアンプへと続く。

【Pedal List】
①Foxrox Electronics/Octron3(オクターバー)
②JAM Pedals/Retrovibe(ビブラート)
③Mojo Hand FX/Colossus(ファズ)
④JHS Pedals/PG-14(ディストーション)
⑤BOSS/LS-2(ライン・セレクター)
⑥BOSS/CS-3(コンプレッサー)
⑦MXR/Stereo Chorus(コーラス)
⑧JHS Pedals/Overdrive Preamp(オーバードライブ)
⑨BBE/Boosta Grande!(ブースター)
⑩Xotic/AC Booster(ブースター)
⑪Neo Instruments/mini VENT II(ロータリー・エミュレーション)
⑫Catalinbread/Belle Epoch(ディレイ/エコー)

ポール・ギルバートの足下全景
ペダル・ボードの全景がこちら。マイク・スタンドを挟んで、立ち位置の両側に各ボードが配置されている。

本ツアー用に組まれたポールの最新ボード

ポール 僕はツアーの度にボードを組み直していて、毎回中身が入れ替わっているんだ。今回は初めてペダル・ボードを2つに分けて組んでみたけど、けっこう上手くいったんじゃないかと思っている。

 さっそくそれぞれのペダルの使い方を順に説明していくよ。

まず常にオンなのが、Boosta Grande(⑨)とAC Booster(⑩)の2つだね。オフにするのはLS-2(⑤)のループAでクリーン・トーンに切り替える時だけだよ。

ソロに限らず、少しゲインを持ち上げるためのメイン・ブーストはJHSのOverdrive Preamp(⑧)だね。このペダルは、その場で必要な歪み量をコントロールするために、頻繁に操作するよ。「Alive And Kickin’」の指弾きパートなんかだとオフだけど、「Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)」のバッキングみたいにガツガツ刻むような時は常時オンにしているね。

そして、ソロではさらにブースト用としてColossus(③)かPG-14(④)のどちらかを重ねている。だから激しい曲のソロでは、4台の歪みペダルを同時に踏んでいることになるんだ。

 これだけの数のペダルを使い分けられるのも、LS-2で効果的に制御できているからだよね。ちなみにColossusとPG-14は右足側のボードに置いている。なぜかというと僕はソロを弾き始めたらステージの真ん中に向かって歩き、終わり際にまた戻ってくるからなんだ。

僕のシグネチャー・モデルでもあるPG-14は、セッティングによって色々なサウンドが作れるんだけど、正確なピッキングが必要とされる、いわゆるヘヴィメタル的な曲で使うことが多いかな。「My Kinda Woman」は元々レーサー・Xの曲だし、メタルっぽいからPG-14を踏むよ。もっと速いプレイや、丸みのあるサウンドがほしければColossusを選んでいるね。

JHS Pedals/PG-14
JHS Pedalsのシグネチャー・ディストーション、PG-14

空間系についても話そう。Retrovibe(②)は僕の大好きなロビン・トラウワーっぽいスタイルのサウンドだからMR.BIGではあまり使うことがないけど、それでも「Voodoo Kiss」のソロで使っている。MXRの Stereo Chorus(⑦)は、ギターをダブル・サウンドにさせる時に役立つよ。コード・アルペジオなんかでは、大体いつもオンにしてるね。Mini Ventはレスリー・スピーカーのサウンドが出せるペダルで、「Voodoo Kiss」でそのサウンドが聴けたと思う。

Octronは「A Little Too Loose」のメインのリフで使っているよ。あの曲はキー=Bでやったんだけど、普通に弾いてしまうとあまりビッグなサウンドにならないのでOctronを使ってリフをプレイしているんだ。

実はツアー前のリハーサルには、7台もオーバードライブが入った特殊なボードを持って行ったんだよね。

それで色々な組み合わせをトライして、何がベストなのかを探っていたらOverdrive PreampとAC Boosterの組み合わせがマジックなコンビネーションだった。

低音弦がクッキリするし、「Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)」のガツガツしたリフにピッタリだったんだよね。さらに、その間にBoosta Grandeを挟むことで、ローエンドをタイトに維持したままビッグなサウンドにしてくれるんだ。何にせよ、Overdrive Preamp、Boosta Grande、AC Boosterの3台で作るディストーションはかなりグッドだよ。