B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-で日産スタジアムを揺らした松本孝弘のサウンド・システム B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-で日産スタジアムを揺らした松本孝弘のサウンド・システム

B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-で日産スタジアムを揺らした松本孝弘のサウンド・システム

35周年イヤーに開催された記念すべきB’z LIVE-GYM “Pleasure”から、2023年9月3日(日)に行なわれた日産スタジアム公演のステージで機材撮影に成功。今回は、満員御礼の会場を大きく包み込んだ松本孝弘のギター・サウンドを生み出す、エフェクト・システムとアンプを紹介しよう。

取材・文:関口真一郎 機材撮影:星野俊
※本記事はギター・マガジン2023年11月号に掲載された「Axis’ Gear」を一部抜粋/再編集したものです。

Amplifiers

松本孝弘のサウンド・システム

アンプ・ヘッドはステージ裏に設置

松本の立ち位置とスピーカー・キャビネットの裏側に位置するサウンド・システムの中核エリア。アンプとエフェクターが置かれ、本番中はこちらでギター・テックが演奏に合わせてギターの音色を切り替えている。写真左のラックに収められたTwo-Rock 2台と、中央のラックのTEN 4台がメイン・アンプで、右奥のTEN 3台はバックアップ。中央のラック上部には各種エフェクターが並んでいる。

Two-Rock Bloomfield Drive & Silver Sterling Signature

Two-Rock Bloomfield Drive & Silver Sterling Signature

クリーン系で活躍するTwo-Rock

こちらのTwo-Rock 2台は松本のソロ・アルバム『Bluesman』(2020年)のレコーディング時に手に入れたもの。その際はクリーン/クランチ系で使われたが、その時の印象が良かったのだろう。今回のツアーではアンプ、キャビネットともにTwo-Rockがフィーチャーされているのがポイント。2台の使い分けとしては、上段のBloomfield Driveはアルペジオ系のプレイ、下段のSilver Sterling Signatureはクリーンのソロ用に使われている。

TEN 80/84 & 70/75

TEN 80/84 & 70/75

メイン・アンプはTEN製に刷新

近年はFATアンプがメインだったが、今回はTEN製に刷新されている(FATは、今年TENと改名)。メインは右側の2台(80/84)で、右上は歪みのバッキング用、右下が歪みのソロ用となっている。左側の2台(70/75)はクリーン用で、Two-Rockのアルペジオ用サウンドに当てはまらないような特殊なクリーンを割り当てているそうだ。その70/75に関しては、これまでのFATアンプと比べると、Two-Rock寄りのトーンになるように回路が調整されているという。

Two Rock Cabinets

Two Rock Cabinets

キャビネットはTwo-Rockに統一

今回のキャビネットはTwo-Rockに一新された(上の6台のヘッドはダミー)。もともとスピーカー2発入りのTwo-Rockキャビネットを使っていたところ、4発入りのモデルも試してみたいということになり、レコーディングでチェック。するとサイズが大きいだけに、大きな音にしても鳴りに余裕が感じられることから、ライブでも使用することになった。マイキングしているのは、マイクの立っている中央下段の2つのキャビネットで、左が歪み、右がクリーン用となっている。

Effects

エフェクター・エリア

【Pedal List】
①BOSS/DD-500(ディレイ)
②MXR/EVH Phase 90(フェイザー)
③Maxon/FL301 Reissue(フランジャー)
④Free The Tone/PT-3D(パワーサプライ)
⑤TEN Div./Chorus Prototype(コーラス)
⑥TEN Div./Booster Prototype(ブースター)
⑦TEN Div./Fixed Wah Prototype(固定ワウ)
⑧TEN Div./Booster Prototype(ブースター)
⑨TEN Div./Compressor Prototype(コンプレッサー)
⑩TEN Div./Overdrive Prototype(オーバードライブ)
⑪DigiTech/Whammy Ricochet(ピッチ・シフター)
⑫Free The Tone/PT-3D(パワーサプライ)
⑬Free The Tone/PT-3D(パワーサプライ)
⑭TECH 21/MIDI MOUSE(MIDIフットスイッチ)
⑮KENTON/Thru-5 (MIDI スルー・ボックス)
⑯Free The Tone/AS-1R(リバーブ)
⑰BOSS/DD-500(ディレイ)
⑱BOSS/DD-500(ディレイ)
⑲BOSS/DD-500(ディレイ)
⑳BOSS/DD-500(ディレイ)
㉑TEN/FAT Div./Plus Ultra(システム・ステーション)

エフェクトはコンパクト・ペダルを使用

システムの規模は大型だが、エフェクトに関してはラック・タイプではなく、コンパクト・ペダルで完結させているのが松本のシステムの特徴。

エフェクターの配置はこれまでとあまり変わりはないが、FAT製のコンパクト・エフェクターが並んでいた左側の手前は、すべて青い筐体のTEN製プロトタイプ(⑤〜⑩)に変更された。

BOSS DD-500はモディファイ・モデルを含めて5台用意(①、⑰〜⑳)。右側に4台固まっているBOSS DD-500のうち、その右側の2台はクリーン用、左側の2台は歪み用となっている。曲中でテンポが変わったりすることも多いため、セッティングが異なるものを使い分けているそうだ。

今回の新顔と言えるのは②MXR/EVH Phase 90と③Maxon/FL301 Reissueの2台。㉑のPlus Ultraはアンプを含めた全システムを統括するシステム・コントローラーで、ギター・テックは本機で音色を切り替えている。

コントローラー類が置かれたラック上
左のラック上にはFAT / TENの大ぶりのコントローラー(PLUS ULTRA FOOT YARD)と、小ぶりのコントローラー(SYSTEM STATION)、そしてKORG DTR-1(チューナー)を用意。小ぶりのコントローラーとDTR-1は中央のラックにも入っているので、こちらはサブ機と思われる。
ステージ上のボード
音色切り替えはギター・テックがバックステージで行なうため、ステージ上のボードはシンプル。右からKORG / DT-10(チューナー)、Xotic / XVP-250K(ボリューム・ペダル)、Jim Dunlop / TM95 TAK Cry Baby(ワウ)のみだ。
松本孝弘
松本孝弘

ギター・マガジン2023年11月号表紙

ギター・マガジン2023年11月号
追悼 ロビー・ロバートソン 1943-2023

本記事はギター・マガジン2023年11月号にも掲載されています。誌面ではさらに、ライブ・レポートも掲載! 表紙&特集は8月9日にこの世を去った、ロビー・ロバートソン。