3ピース・バンド、羊文学のギター・ボーカルを務める塩塚モエカが、2023年12月14日(木)のワンマン・ライブ“まほうがつかえる2023”で使用した機材を大公開! 彼女たちの幻想的な世界観を演出するギター、アンプ、ペダルボードを、本人のコメントと合わせて見ていこう。
取材/文=伊藤雅景 写真=星野俊
Guitars
Fender Custom Shop/’66 Jaguar Deluxe Closet Classic
これからの羊文学のサウンドを彩る、新たなメイン・ギター
塩塚がフェンダー・アーティストとしてパートナー・シップを結んだ記念に購入した、カスタムショップ製のジャガー。ライブでは、激しさよりも奥行きが欲しい時に本器をチョイスするそうだ。メインのピックアップ・ポジションはセンター&フロントのミックス。なお、チューニングはレギュラーで、弦はエリクサーのOptiweb(.010-.046)を使用。
塩塚モエカのコメント
何本も試奏をして、“凄く良い音だ!”と一瞬で思いました。自分がカスタムショップ製のギターを持つとは思っていなかったので、身が引き締まります。
音色は、もう1本のジャガー(フェンダー/American Vintage ’65 Jaguar)と比べて上品な感じです。
お気に入りポイントは、ヘッドの部分もボディと同じように塗装されているところ(マッチング・ヘッド)。“チルめ”な音楽を演奏してそうな色味も好きです。
Fender/American Vintage ’65 Jaguar
インディーズ時代からの相棒
インディーズ時代から羊文学のギター・サウンドを支えてきたフェンダーのジャガー。ロゴ・デカールの削れやボディ裏の塗装に、長年使い込まれたことによる貫禄が出ている。チューニングはレギュラーで、使用弦はダダリオのXTS(.010-.046)。なお、大きな改造点はないが、ブリッジ・サドルがブラス製のものに交換されているのがポイント。
塩塚モエカのコメント
当時はジャズマスターが欲しかったのですが、楽器屋のお兄さんに勧められてこのジャガーを買いました。
荒々しさもありながらまとまりの良い音色で、“ジャキーン”という音の明るさ、厚みの加減もピッタリで、とても気に入っています。
それと、淡いソニック・ブルーも可愛くて大好きです。ラッカー塗装なので、使い込むほどに塗装が剥がれて、育っていくところにも愛着が湧いています。
Pedalboard
【Pedal List】
①YOUSAYSOUNDS/カスタム・ジャンクションボックス
②KORG/Pitchblack X(チューナー)
③Fulltone/OCD(オーバードライブ)
④Vemuram/SHANKS ODS-1(オーバードライブ)
⑤A.Y.A TOKYO JAPAN/drivesta(オーバードライブ)
⑥Electro-Harmonix/Ram’s Head Big Muff Pi(ファズ)
⑦Arion/SCH-Z mod(コーラス)
⑧Ninevolt Pedals/Bath Time Reverb(リバーブ)
⑨Red Panda/RASTER(ディレイ/ピッチ・シフター/フェイザー)
⑩strymon/Bluesky(リバーブ)
⑪Electro-Harmonix/Canyon(ディレイ/ルーパー)
⑫strymon/Ojai(パワーサプライ)
⑬strymon/Zuma(パワーサプライ)
空間系ペダルのチョイスがキモ!
ペダル同士の間隔にこだわったというペダルボード。
ギターの信号は、①のジャンクション・ボックス(②の下に配置)へ入力後、③〜⑪の番号順に通過し、アンプへ向かう。
歪み系ペダルは③〜⑥の4つを採用。OCD(③)は常時オンにしており、クリーンにセッティングしたアンプと組み合わせて、基本のクランチ・サウンドを作っている。
SHANKS ODS-1(④)の用途を聞くことはできなかったが、おそらくOCDで作ったクランチ・サウンドをさらにプッシュするような役割だろう。ギター・ソロでは、drivesta(⑤) とRam’s Head Big Muff Pi(⑥)を楽曲によって適宜使い分けている。
空間系ペダルは⑦〜⑪の計5台。これらのエフェクターが、羊文学のリバービーなギター・サウンドの核を担っている。ちなみに、「1999」のイントロで聴くことができる幽幻な残響音はBath Time Reverb(⑧)によるものだ。
また、多数のモードが選べるRASTER(⑨)は、リバース・ディレイとして使用。
なお、パッチ・ケーブルとDCケーブルは、ジャンクション・ボックス(①)と同じYOUSAYSOUNDS製の特注品だ。
塩塚モエカのコメント
貰い物で使い始めたエフェクターが多いのですが、自分でペダル買う時は見た目が可愛いやつから選んでいます。歌いながら弾くので、シンプルなところが大事かなと思っています。
Amplifier
Fender/1978 Dual Showman Reverb(Head Amp)
String Driver/SD212(Cabinet)
バンド・サウンドに合わせ改良されたヘッド&キャビネット
羊文学の世界観を彩る塩塚のメイン・アンプ。ヘッドは1978年製のDual Showman Reverb。セッティングは後述のとおり。真空管はすべてTang-Sol製の物に交換されており、基板内のパーツもカスタムが施されている。
キャビネットは、ダンブル系ヘッド・アンプと組み合わせられることも多いString Driver製のもの。音をタイトにするため、10kgの重りの袋をキャビネット内に2つ仕込んでいるのがこだわり。
塩塚モエカのコメント
広がりがあって、ちょうどよくブライトです。3人の音を埋めるために空間系のエフェクトを多用するので、リバーブのノリが良いところがとても気に入っています。
Setting
- チャンネル:VIBRATO 1
- BRIGHTスイッチ:OFF
- VOLUME:5
- TREBLE:3.1
- MIDDLE:6
- BASS:4
- REVERB:2.1
- SPEED:不明
- INTENSITY:不明
- MASTER VOLUME:3.4