様々なミュージシャンとのコラボレーションで実現した、BEGINのギタリスト、島袋優にとって初のソロ・アルバム『55rpm』。そこで使用したギターの一部と、ライブで使用するペダルボードを紹介しよう。
撮影／文＝福崎敬太
Guitars
Fender／Vintage ’62 Stratocaster
“存在を忘れちゃう”くらい、身近すぎるメイン
島袋の絶対的メインは、BEGINのデビュー年である1990年に新品で入手したVintageシリーズの62年リイシュー。当時流行っていたレース・センサー・ピックアップに交換し、“色んな表情が出せる”ということで長く重宝していたが、“この音色にちょっと飽きた”ということもあり、2023年頃にフェンダー純正のピックアップに戻したそうだ。背面の電池ボックスなどに改造の名残が感じられる。
また、初のソロ・アルバムである今作『55rpm』では本器ではなく後述のカスタムショップ製ストラトキャスターが活躍したそうで、その理由は“存在を忘れていたから”とのこと。沖縄の自宅に置いてあるカスタムショップ製を使っている中で、別の場所に保管していた本器の存在が忘れ去られていたそうだ。それほど身近な存在、ということにしておこう。
制作の中盤で“あ、そういえば今回使ってないわ”と気づき、慌ててスタジオに持ち込み無事登場。
Fender Custom Shop／1959 Time Machine Heavy Relic Stratocaster Faded Tahitian Coral
最も活躍したニュー・フェイス
2020年頃に購入した、カスタムショップ製の1959年リイシュー。沖縄に置きっぱなしでレコーディング時に手軽に持ち込めるため、『55rpm』ではエレキのメインとして活躍した。ネックが太く、音も太いそうだ。ピックアップはHand Wired Strat Fat 50’s。
Fender Custom Shop／1960 Stratocaster NOS Sherwood Green Metallic
カスタムショップ製で2トップを担う
前述のコーラル・ピンクの1本とともに、『55rpm』でのエレキのメインとなったカスタムショップ製。島袋曰く、ネックが薄く最も弾きやすいそうで、音は“ザ・ストラトっていう感じ”と語る。「今日は明日のイエスタデイ」の印象的なイントロで登場。
ちなみに、トレモロ・アームの差し込み穴にテープが貼られているが、これはアームがちょうど良い位置で固定できるように中に仕込んであるバネを押さえているもの。
K.Yairi／BL-132RE
多くの名曲を奏でてきたBEGINサウンドの“顔”
1999年の楽器フェアで出会ってから使い続けている、KヤイリのBL-132RE。“本当は少し休ませたいけど、結局このギターに戻ってきてしまう”と語るほど信頼されている1本で、BEGINでの活動はもちろんのこと、『55rpm』のアコギ・パートでもメインとして活躍した。
なお、「タピオカとパンケーキ」のガット・ギターを含め、沖縄に置いてあるほかのヤイリ製ギターもレコーディングでは使用したそう。
Pedalboard
【Pedal List】
①Klon／KTR（オーバードライブ）
②Ibanez／TSV808（オーバードライブ）
③King Tone Guitar／The Duellist（オーバードライブ）
④BOSS／DM-2w（ディレイ）
⑤Electro-Harmonix／Small Stone（フェイザー）
⑥Shin’s Music／Baby Perfect Volume（ボリューム・ペダル）
⑦KORG／Pitchblack Advance（チューナー）
⑧Neotenic Sound Custom／ピュア三線（プリアンプ）
⑨KORG／Pitchblack Advance（チューナー）
⑩Neotenic Sound Custom／Aco Flavor（シグナル・コンディショナー）
⑪KORG／Pitchblack Advance（チューナー）
⑫Neotenic Sound Custom／Aco Flavor（シグナル・コンディショナー）
⑬KORG／Pitchblack Advance（チューナー）
チューナーが4台！
様々なアコースティック楽器を操る島袋のペダルボードは、エレキ用の①〜⑦、三線用の⑧⑨、ウクレレや一五一会用の⑩⑪、アコギ全般用の⑫⑬と4系統が用意されている。
それにともない、1枚のペダルボードにチューナーを4台もセット（！）。
エレキ用のシグナル・チェーンは、①〜⑦の番号順で、⑦からツイン・リバーブに出力される。なお、「ラブソングを歌ってみるよ」のトレモロはアンプ搭載のものを使用。
『55rpm』のレコーディングで活躍した歪みは①で、フェイザー⑤は「貝がらの唄」などで同モデルを使用して気に入り購入した。
また、これまでBOSSのデジタル・ディレイの音が好きで使い続けてきたが、今回の制作で④を導入して“良い具合に音が消えていく感じ”などが気に入り、本格的に採用された。
◆
三線には内部にダイナミック・マイクを搭載しており、⑧でピークの周波数を少し切ることでナチュラルなサウンドに仕上げている。
アコースティック・ギター、一五一会のピエゾ・ピックアップの感度を⑩と⑫で下げることで、より生音に近いサウンドが得られるようにセッティング。
作品データ
『55rpm』
島袋優
テイチク／TECI-1817／2024年2月21日リリース
―Track List―
- 今日は明日のイエスタデイ
- タピオカとパンケーキ
- ラブソングを歌ってみるよ
- ドミナント色のレコード
- シージャー GO GO!
- 太平洋音頭
- converse
- スターリリー
- 海の声 (Mighty Crown Reggae Remix ver.)
- 貝がらの唄
- 青のまま
- 歓びのブルース
- からっぽカタツムリ
―Guitarists―
島袋優、下地イサム、川満祐揮、Kuboty
