3ピース・バンドのdowntが、初のフル・アルバム『Underlight & Aftertime』を2024年にリリース。そのレコーディングでも使われた、ギター・ボーカルの富樫ユイがライブで使用するストラトキャスターとペダルボードを紹介! 透き通るような煌びやかなクリーンから、轟音のファズ・サウンドまで、オルタナティブ的な“ギターらしさ”を引き出す彼女の機材を見ていこう。
取材/文=伊藤雅景 写真=福崎敬太
Guitar
Fender/Special Edition Standard Stratocaster
富樫のステージングを彩る、絶賛改良中のメイン器
downt結成前に入手したという、フェンダーのメキシコ製ストラトキャスター。ライブでは本器をメインで使用している。以前はテレキャスターを持つことが多かったが、ストラトキャスター特有のサウンドと、“かわいい”ルックスに惹かれ購入したそうだ。新作『Underlight & Aftertime』のレコーディングでは、「underdrive」、「Yda027」の2曲で登場した。なお、チューニングはレギュラーでセットアップ。
ピックアップ・ポジションは、センターがメイン。セレクターには誤作動防止用のテープがリア側に貼られているが、フロントを使用することもないそうだ。ボリューム、トーンは基本、マックスの状態。今後、コイルタップ機能の増設や、ピックアップの交換も考えているとのこと。
倍音を増やすため、イナーシャ・ブロックとトレモロ・スプリングを交換している。スプリングはRaw vintage製のものを5本掛けでセットしている。
Pedalboard
【Pedal List】
①KORG/Pitchblack Advance(チューナー)
②Xotic/RC Booster(ブースター)
③BOSS/BD-2(オーバードライブ)
④Human Gear/FINE OD(オーバードライブ)
⑤BOSS/DF-2(フィードバッカー/ディストーション)
⑥Electro-Harmonix/Big Muff Pi(ファズ)
⑦Electro-Harmonix/Russian Big Muff(ファズ)
⑧strymon/El Capistan(ディレイ)
⑨Vital Audio/VA-08 MkII(パワーサプライ)
空間系ペダルに頼らない、ストイックなペダルボード
歪みペダルを詰め込んだ直列ペダルボード。
富樫は、ライブでアンプをクリーン・サウンドにセッティングしており、歪みはすべてエフェクターで作り出している。
ギターの信号は①〜⑥の番号順に通過し、アンプへ向かう。ファズ(⑦)とディレイ(⑧)は取材時に持参してくれたペダルで、ライブでは不使用。
2番目に接続されるRC Booster(②)は、クリーン・ブースターとして使用。アンプで足りない帯域を持ち上げる感覚で使っている。後続の歪みペダルと組み合わることもあるが、無駄な帯域がブーストされてしまう場合はオフにするとのこと。
BD-2(③)とFINE OD(④)はクランチ用のペダル。FINE ODは、ハイをこもらせたセッティングにしており、ボーカル・メロディを際立たせたいセクションで使うことが多い。
DF-2(⑤)は最近入手したペダルで、富樫曰く“間抜けで、おもちゃみたいな音がする”とのこと。その独特なサウンドが買われ、新作『Underlight & Aftertime』のレコーディングでは「underdrive」のメイン・リフのサウンドを担うエフェクターに抜擢された。
ボードの最後尾にあたるBig Muff Pi(⑥)は3rd期のビンテージ。ギター・ソロや、“音量を一番デカくしたい時”に踏むペダル。
Russian Big Muff(⑦)は借り物のペダルで、ディストーション的な歪み方が気に入っているとのこと。新作のレコーディングでは「紆余」、「underdrive」などで登場した。
ボードに左上に置かれたstrymonのEl Capistan(⑧)は、バンド・メンバーから“空間系ペダル禁止令”が出ているため、現在は使えないそう。ただ、富樫自身のお気に入りペダルということで、取材時に持ってきてくれた。
作品データ
『Underlight & Aftertime』
downt
P-VINE/PCD-25384/2024年3月6日リリース
―Track List―
- underdrive
- Whale
- AM4:50
- prank
- Yda027
- 煉獄ex
- mizu ni naru
- 8/31(Yda011)
- 紆余
- 111511
- 13月
―Guitarist―
富樫ユイ