2024年3月4日(月)、フェンダーHighwayシリーズをフィーチャーしたライブ&トーク・イベント“Fender Workshop -Highway Series- at FENDER SHOP in MIKI GAKKI AMERICAMURA”が開催された。ここでは、ゲスト・ギタリストに春畑道哉と遠山哲朗を迎えた当日の模様をお伝えしよう。
取材/文=西本勲
Fender Highway Seriesとは?
伝統的なアコースティック・ギターの外観を踏襲しつつ、軽量かつ薄型のボディで快適な演奏感を実現した、フェンダー・アコースティックの新シリーズ。フィッシュマンの最新テクノロジーFluence Acousticピックアップ・システムにより、豊かな響き、トーン、ダイナミクスを余すところなく表現する。ドレッドノート・タイプとパーラー・タイプの2種類/4モデルをラインナップ。
会場のFENDER SHOP in MIKI GAKKI AMERICAMURAは、アジア初のフェンダー公式SHOP in SHOPとして大阪の三木楽器アメリカ村店にオープンしたスペースで、今年で5周年を迎える。春畑はそのオープニング・イベントにも出演しており、同店との縁は深い。
そして遠山は、今年2月~3月にかけて行なわれた春畑のソロ・ツアー“MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND at Billboard Live 2024 SPRING HAS COME season3”に帯同。息の合ったプレイで春畑を支えた。そのツアーでも活躍したHighwayシリーズの魅力を、演奏とトークで伝えるのが今回の内容である。
フェンダーのさまざまなモデルが壁一面を埋め尽くす店内の特設ステージに、Highway Series DreadnoughtのNaturalモデル(ボディ・トップ材=シトカ・スプルース)を手にした春畑と、同All-Mahogany(ボディ・トップ材=マホガニー)を手にした遠山が並ぶ。
アンプは、春畑が’68 Custom Deluxe Reverb、遠山はAcoustic SFX II。
足元には両者ともENGAGER BOOST(ブースター)が置かれ、春畑のみTHE BENDS(コンプレッサー)も併用していた。
イベントが行なわれたのは先述したツアーの大阪公演翌日で、客席にはライブに続いて参加したと思われるファンの姿も多い。
しかし、ステージとの距離の近さはそれ以上。
MCを務めたFM802のDJ大抜卓人が「これは超プレミアムですよ!」と盛り上げる中、春畑は「昨日より緊張する(笑)」と照れた様子を見せつつも、遠山とのデュオ・セッションが始まるとスイッチが入る。
この日に演奏されたのは4曲。バッキング・トラックは使わず、ふたりだけで奏でるサウンドをじっくり聴かせる趣向だ。
まずは挨拶代わりに、自身の代表曲「Straight to My Heart」を披露。原曲ではエレキで朗々と弾かれるメロディが、Highwayシリーズの艶やかな音色で新たな表情を見せる。それを遠山のバッキングが優しく包み、この1曲だけでもHighwayシリーズの幅広いトーンをたっぷり味わえる演奏に。
続く「Native Dance」では、リードとバッキングの役割を入れ替える場面もあり、「思っていた以上に音が違う」(遠山)という両モデルの違いをわかりやすく伝えた。
トーク・コーナーでは、「本当のアコギみたいに、小さい音から大きな音まで自然に表現できるのがすごい」という春畑の言葉から、Highwayシリーズへの賛辞が次から次へと飛び出した。
その多くは別掲のインタビュー記事でも語られているので参照していただきたいが、ここではイベントでのコメントをいくつかピックアップしよう。
「厚いボディのアコギと違って、Highwayシリーズは立って弾いているときも手元がすごく見えやすいんです。ネックもアコギよりずいぶん細いので、どんな人も弾きやすいと思います」(春畑)
「コンター加工もされているから、春さん(春畑)みたいなリード・ギター寄りのスタイルの人でもアコースティック・ギターが楽に弾ける。あと、ネックのジョイント部で角度を簡単に変えられるので、弾きやすさの調整がしやすいんです」(遠山)
「僕らが弾いたのはドレッドノート・タイプですが、パーラー・タイプはさらに小さくて可愛い。女性にもちょうど良いサイズですね」(春畑)
「ピックアップもすごく良くできていて、限りなく生っぽい音が出ます。コンター・ノブの効きも良く、トーンで硬さ柔らかさを変えるのとは違って、音の存在感や深みをコントロールできる。僕は春さんと演奏するとき、バッキングとメロディのバランスを整えるのに重宝していますが、さらに幅広く使える可能性を感じます」(遠山)
「今後、ツアーには必ず持っていく1本になると思います。そしてプロだけじゃなく、これからギターを始める人が比較的手を出しやすい価格なのも良いなと思いました」(春畑)
「若い人を中心にギターの新しい演奏スタイルが生まれている中、Highwayシリーズを使って新しいことをやる人も出てくるだろうなと予感させてくれるギターですね」(遠山)
最後は再びふたりのデュオで、2月にリリースされたTUBEとGACKTによるコラボ楽曲「サヨナラのかわりに」と、スティーヴィー・ワンダー「Isn’t She Lovely」を演奏。
アコースティック・ギターの音がそのまま大きくなったと錯覚するほどの豊かなサウンドが空間を満たす……Highwayシリーズの持ち味が余すところなく表現された1時間弱の内容に、来場者たちは大満足の表情を浮かべていた。